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第百八十二話 いざ描いてみてその一
                  いざ描いてみて
 漫画研究会の部室においてである。アンとルビーはお互いに向かい合って席に座っている。その机の上には漫画道具が全て揃えられている。
 そしてである。まずはアンが言うのであった。
「それでだけれど」
「何?」
「ネタ探しは上手くいったみたいね」
 微笑んでこのことを言ってきたのであった。
「どうやらね」
「どうしてそう思えるの?」
「その表情見ればわかるわよ」 
 笑ってこう話すアンであった。
「満足した顔してるからね」
「まあね」
 そしてルビーもそれを否定しない。包み隠さずといった感じである。
「実際にね。上手くいったわ」
「やっぱりね」
「四コマの主人公も決まったし」
 まずはこのことも話した。
「ペンギンの漫画も決まったしね」
「じゃあ描けるわね」
「ええ、描けるわ」
 はっきりと答えることができた。
「充分にね」
「じゃあ今からは」
「描くわ、アシスタントは」
「任せて」
 アンはアシスタントについては自分から志願した。
「それはね」
「そう。それじゃあね」
「期待していていいから」
 ルビーを後押しする様に言ってみせるアンだった。
「わかったわね」
「ええ、じゃあ」
「早速描くけれど」
 ここでルビーの言葉はふとした感じで言ってきた。
「ただね」
「ただ。何だ?」
「主人公だけれどね、四コマのね」
「それがどうかしたの?」
「赤いタツノオトシゴと青い鰻だけれど」
 ロザリーと一緒に見た水族館のそれをである。今ここでまた話すのであった。
「それでどうかしら」
「赤いタツノオトシゴと青い鰻ね」
「そうよ。私はいいんじゃないかって思うんだけれど」
「いいんじゃない?」
 アンは特に注釈をつけることなく答えた。
「それでね」
「いいと思うのね」
「キャラのインパクトはいいわ」
 まずそれについて言及するのであった。
「それはね」
「そう、インパクトは合格ね」
「赤と青で対称的だし」
 色についても話す。
「それもいいわ」
「じゃあ合格なのね」
「大体はね。ただね」
「ただ?」
「大切なのはデザインね」
 それが問題だというのである。
「それだけれどね」
「デザインなのね」
「それはどうなの?」
 それについても問うのであった。
「これで」
「そうね。いいと思うわ」
 それでいいと返すアンであった。そうしてまた言うのであった。
「ただね」
「ただ?」
「もう少しインパクトが欲しいかしら」
 こう言うのである。
「少しね」
「インパクトなの」
「ちょっと地味じゃないかしら」
 ルビーが描いたそのタツノオトシゴと鰻を見ながら話す。それは確かに可愛らしいが何処か地味な印象を与えてしまうものであった。
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