ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第二十四話 妹達その一
                     妹達
「妹ねえ」
 蝉玉は教室で彰子の話を聞いていた。春香の話であることは言うまでもない。
「一言で言うと春香ちゃんも大変ね」
「そうだね」
 スターリングが彼女の言葉に頷く。
「洪童は妹思いだからね」
「あれはもう妹思いってレベルじゃないわよ」
 蝉玉は苦虫を口に含んだような顔で言う。
「妹馬鹿ね」
「妹馬鹿」
「ええ。シスコンっていうのともまた違うし」
「そうなの」
 彰子がそれに目をパチクリとさせる。
「彰子ちゃんとこだと仲のいい姉妹になるのよ」
「うん」
「けれどあいつはね。馬鹿になっちゃってるのよ」
「そうなの」
「結局は程度の問題なのよ」
 蝉玉はこう述べる。
「あんまりにも熱中し過ぎたらやっぱり馬鹿よ」
「ふうん」
「フランツみたいにね」
「これだ!この魔球だ!」
 そのフランツが後ろで漫画を読んで一人騒いでいた。
「ゴッドスラシュタイフーン!これだ!」
「ああなったらつける薬はないわよ」
「フランツ君って馬鹿なの」
「あいつとテンボ、ジャッキーを馬鹿って言わなかったら誰を馬鹿って言うのよ」
 このクラスの三馬鹿と言えばこの三人である。なお成績も三人がぶっちぎって悪かったりもする。ちなみに洪童は成績に関しては案外まともであったりもする。
「ああいうのこそを馬鹿って言うのよ」
「ふうん」
「まあそれはいいとしてさ」
 スターリングが話を変えてきた。
「このクラスって結構妹いる人が多いよね」
「そういえばそうね」
 蝉玉もそれに頷く。
「私自身妹で実際に妹三人いるし」
「僕もアリスがいるし」
 スターリングにも妹がいる。
「ベンも三人いるよね」
「ああ、何でかわからないけれど僕が面倒見ているよ」
 そこにベンがひょっこりとやって来た。
「同居してるしね」
「何かそれって大変みたいね」
「選択とか掃除は妹達がしてるけれどね」
「じゃあかなりましなんじゃないの?」 
 蝉玉は言う。
「いやあ、そうでもないよ」
 だがベンの言葉は今一つ歯切れが悪い。
「どうしてもね」
「そうなの」
 スターリングがそれを聞いてベンに顔を向けてきた。
「うん、結構手がかかるよ」
「ベン君の妹さんって小さかったっけ」
「まだ中学生だしね」
 彰子に対して困った顔で返す。
「特に料理なんかはまだ」
「まだまだなのね」
「うん」
 ベンの答えが苦い。
「それで僕が作ってるんだよ」
「あんた料理できたんだ」
 蝉玉はそれを聞いて目をパチクリとさせてきた。
「意外!?」
「ええ」
 そして素直にそう述べてきた。
「てっきり妹さん達がしてるんだと思ってたわ」
「それだけは別なんだよ」
 彼は答える。
「どうしてもね」
「こだわりってやつ?」
「そう言うんならそうだろうね」
「何か意外だね」 
 スターリングがそれを聞いて述べた。
「ベンが料理に五月蝿いって」
「別に五月蝿いつもりはないけれどね」
 そう前置きはした。
「けれどね」
「それでもってやつね」
「そういうこと」
 また蝉玉に答えた。
「そこが案外難しいんだよ」
「それわかるわ」
 蝉玉は彼の言葉に腕を組んで頷いてきた。
「料理はこだわりよねえ」
「わかってるね、蝉玉ちゃん」
「私は中国人よ」
 それだけで充分な言葉であった。
「料理にはこだわりがあるのよ」
「成程」
「蝉玉の作った料理って凄く美味しいんだよ」
 スターリングも述べてきた。
「一度食べるとね。忘れられなくなるんだ」
「そうなんだ」
「ちょっと待って」
 しかしそれにメイミーが突っ込みを入れてきた。
「あんた蝉玉の料理食べたの」
「そうだよ」 
 スターリングは屈託なく返した。
「それがどうかしたの?」
「ふうん」
 メイミーはそれを聞いて思案げに頷いてきた。
「成程ね。もうそこまでいったんだ」
「何がだよ」
 おっとりしたスターリングには事情が完全に飲み込めてはいなかった。完全にというよりは全くである。
「彼女の手料理をねえ」
 メイミーはわざと意地悪い笑みを浮かべてスターリングと蝉玉を見てきた。
「案外隅に置けないわね」
「?」
「ちょい待った」
 何が何なのかわかりかねているスターリングに対して蝉玉の返事は素早かった。
小説・詩ランキングsite_access.php?citi_id=254078182&size=200cont_access.php?citi_cont_id=766008103&size=200


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。