第百六十二話 報いの後でその五
そうして引き摺っていってだった。ゴミ箱の周りに本当に頭だけ出して捨てた。これで終わりであった。
「一件落着っと」
「犯人っていうのはばらさないの?」
「それは」
「あそこまでやったら充分よ」
だからしないというのである。
「もうね」
「そう。充分なんだ」
「あれで」
皆ビアンカのその言葉を聞いた。
「じゃあ話はこれで終わって」
「帰ろうか」
「さてと。兎達だけれど」
しかしここでビアンカはその被害を受けた兎達のことを考えていた。
「あの子達だけれどね」
「他に飼育係選ばれるんじゃないの?」
「もっとましなのが」
「いえ、ここはちょっと推薦したいわ」
こう言うのである。
「さもないと下手したらまた変な飼育係選ばれるじゃない」
「そういえば確かに」
「あんなのがなってたんだし」
言われてみればそうだった。問題はそういう飼育係を選ばないことだ。皆このことまでは考えていなかったというよりは楽観視していたのである。
「もっと酷いのがなるケースだって有り得るし」
「それだったら」
「最後までしっかりとしないとね」
また言うビアンカだった。
「最後の一手までね」
「じゃあ懲らしめたのは」
「その中の一手に過ぎないってことなの」
「そういうこと。あれは前半戦ね」
それだというのである。
「これからは後半戦よ」
「まともな飼育係を兎達に提供する」
「それね」
「さて、誰がいいかしらね」
ここであらためて考えるビアンカだった。
「果たして誰がいいかしら」
「じっくり考えるか」
今彼女に言ってきたのは双子の兄であるアルフレドだった。
「今すぐに結論を出さないでだ」
「っていってもできるだけ早いうちにね」
ビアンカはこう兄に返した。
「出さないと。兎達が困るから」
「確かにね。それにしても」
「この小屋って」
皆その兎小屋の前にいた。あらためてその中を見るとだった。
ようやく怯えが消えて小屋のあちこちに移っている兎達だった。しかしその小屋の中は実に汚かった。糞や食べ残しで満ちていた。
「全然掃除してなかったんだな」
「そうね」
皆その小屋を顔を顰めさせて言い合う。
「いじめるだけで」
「本当にとんでもない飼育係だったのね」
「餌にしておけばよかったかな」
こんな意見まで出て来た。
「これだったら」
「そうかもね」
こうまで言われる。しかし今はそれよりもだった。
「何とかしないとね。このままじゃ兎達が可哀想だし」
「お掃除しましょう」
ビアンカが皆に言ってきた。
「兎達の為にもね」
「中等部のだけれどいいの?」
コゼットはそこが少し気になって彼女に問うた。
「それでも」
「あんたはどうするの?」
問われたビアンカは楽しそうに笑ってそのコゼットに問い返した。
「こうした場合は」
「決まってるじゃない」
そのコゼットはにこりと笑って言葉を返してみせた。
「こうした場合はね」
「ええ。こうした場合は」
「するのよ」
一言であった。
「お掃除をね。するのよ」
「そういうことよ」
彼女の今の言葉ににこりと笑ってみせたビアンカだった。
「それじゃあ」
「わかったわ。皆で手分けしてね」
「皆でやったらすぐよ」
こうも言うビアンカだった。
「っていっても希望者のみだけれど」
「じゃあ全員ね」
「僕も」
「私もよ」
今ここにいる全員が希望者だった。こうしたところは真面目な彼等だった。
「兎達の為にね」
「ちょっと頑張りましょう」
こうして小屋掃除をボランティアでするのだった。これでビアンカの言う前半戦は終わった。
報いの後で 完
2009・10・19
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