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第二十一話 想い人は誰!?その二
「そんな背徳はね、イスラエルじゃ即刻裁判よ」
「そうなの」
「そうなのって。決まってるでしょ」
 えらく感情的になってきていた。
「近親相姦も同性愛も。物凄く悪いことじゃない」
 普通になっているとはいえやはり例外もある。イスラエルはその例外に当てはまるのである。これはイスラエルだけでなくユダヤ人全体に言えることである。
「死刑になってもおかしくないわ」
「じゃあさ」
 ダイアナがそのおかんむりの彼女に問う。
「それを漫画に描いたら?」
「間違いなく刑務所行きね」
「やっぱり」
 イスラエルでは当然のことであるようだ。
「とにかくね。そんな嫌らしい妄想は私の漫画では絶対に描かないからね」
「あくまで清純に?」
「そういうこと」
 これまたきっぱりと言い切った。
「私が描くのは男の子と女の子だけよ」
「それじゃあさ」
 ダイアナはそれを受けて話を変えてきた。
「彰子ちゃんの彼氏って誰か思いつく?」
「彰子ちゃんの!?」
 問われたアンは急に怪訝な顔になった。
「そう。誰か思いつく?」
「また難しいこと言うわね」
 アンはそう言葉を返した。
「彰子ちゃんよね」
「ええ」
「ええとねえ、誰か候補になりそうなのって」
「カムイとか洪童とかは?」
「あの二人は問題外」
 アンはジュリアがあげたその二人をあっさりと切り捨てた。
「如何にもって感じのもてない君じゃない」
「またえらくきついわね」
 ペリーヌがそれに突っ込みを入れる。
「キャラクターとしては面白いけれどね」
「じゃあフックとかジョルジュは?」
「軽いタイプも似合いそうになりわね」
 アンはダイアナにそう返す。
「確かに」
「かといって彼女いるタイプはねえ。やっぱり」
 アンはやはりお固い。そういうのは不許可であった。
「何か急に減ったわね」
「そうね。あっ」
 ここでペリーヌが気付いた。
「そうだ。ギルバート」
「却下」
 だがこれはアンが即答した。
「あらっ」
「絶対に合わないわ」
「そうかしら」
 だがペリーヌは自分ではそうは思わなかった。
「意外と似合うかも」
「いいえ、絶対に似合わないわ」
 だがアンはムキになってそう言い返す。
「絶対にね」
「それはいいけれど」
 そんなアンを見てダイアナが言う。
「何でそんなにムキになってるの?」
「そうよね」
 ジュリアもそれに応える。
「何かさ。急に」
「おかしいわよね」
 ペリーヌも言ってきた。
「どうしたのよ、急に」
「そうよ、ギルバートとあんたは」
 二人の仲の悪さというかアンが彼を嫌っているというのは傍目ではよくわかることであった。
「それなのに」
「何でそんなにムキになるのよ」
「そ、それはね」
 顔が少し赤くなって横を見ていた。
「あんな暑苦しい性格でしょ。だからそうはもてないかなって」
「結構ルックスはいいけれどね」
「そうよね」
 だがこういうことにかけてはダイアナやジュリアの方が上であった。さしものアンも劣勢である。
「別にもてないってわけじゃね」
「そうそう。あの性格だって慣れたらもしかしてね」
「いや、それはないわよ」
 けれどアンはどうしてもそれを否定する。
「何があっても」
「やっぱりおかしいわよね」
 ペリーヌもアンの言葉を妙に感じだしていた。
「今のあんたの様子」
「同感」
「もしかして何かかくしてる?」
「いえ、いえ別に」
 ジュリアにもダイアナにも言われて劣勢に陥る。しかも見ればアンは三人に比べて小柄なので余計に苦しい立場に追い込まれてしまっている。
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