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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
最終章 そして伝説へ
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第41話 超大穴

 神よ…どうして貴方は試練をお与えになるのですか。

 数日…いやたった1日でもよかったのです。

 事を起こすことを我慢出来なかったのですか?



 事件発生です。

 とっても洗い上手になったマリアに洗ってもらう前に事件発生です。



 4個目の大穴発生。

 しかも…今までの大穴を超える、超大穴です。


 3個目の大穴を賢老会に秘密にしていた大ちゃんですが、この4個目の超大穴を見つけてしまったのが、賢老会側の人達で…秘密には出来ませんでした。


 賢老会としては3個目の大穴…しかも超大穴を見つけて大騒ぎ!

 穴から侵攻してくると予想されるのは…ベルゼブブです。


 大ちゃんも困りました。

 本来なら、超大穴に対処するための軍配置を考えるのですが、秘密にしちゃてた3個目の大穴の対処もある。

 このタイミングでさらに、大穴もう1個ありました~♪なんて言ったら、それこそ大混乱です。

 どうにかして、内密に3個目の穴を塞いで、4個目の超大穴に対処したい。



 大ちゃんが難しい顔で考えていると、ミリアが飛んできます。

 真っ青な表情で大ちゃんに報告するミリア。

 それを聞いた大ちゃんの表情がみるみる険しくなっていきます。



 (くそじじぃ共め!!!!)



 俺は恐怖しました。

 大ちゃんの怒りの声は…美しい女王の声ではなく、42歳おっさんの声だった。



 そして事態は一気に動く。

 時計の針が早く動いていると錯覚するほどに…。



 まず大ちゃんのおっさん声を引き出した賢老会がしでかしたこと。


 悪魔は本当に地下世界からやってきているのか?

 聖樹王の木の根の穴は…幹を通じて天界に繋がっているのではないのか?

 悪魔は本当は天界からやってくる…大罪の審判…アルフ王が私達を滅ぼそうとしている!


 という思想を持った人達がいます。

 主に賢老会のじじぃ共です。


 そこで考えたのが、聖樹王を燃やしてしまえばいいのではないか?


 いやいや、どうやって燃やすのよ?と大ちゃんに聞いたら


 (メギドの火よ)


 メギドの火…どうやら大罪に関係しているものらしいのだが、大ちゃんもそれが何なのか詳細をつかめていない。

 賢老会がその存在を秘匿しているのだ。

 じじぃ共曰く、メギドの火は実在するし、自分達の手にある…らしい。


 そしてじじぃ共が過激行動に出ちゃった!

 メギドの火を発生した超大穴にぶちこんで、やってくるベルゼブブを倒す!


 メギドの火がどんなものか分からない上に、使ったらどうなるかも分からない。

 それは賢老会のじじぃ共も同じで、使ったらどうなるか分からないことをしようとしている。


 そもそもこの大地をそのものと言われている聖樹王を燃やして、この世界が無事とは思えない。



 大ちゃんは決断した。


 マリア、シュバルツ、ミリアを呼ぶ。


 「ミリア。お前は第8騎士団及び第9騎士団を率いて、発生したとされる4個目の大穴に向かえ。じじぃ共の手下がメギドの火を使うと言ってきている。現場ではどのような事態が起きるはまったく分からない。 全ての権限をお前に任せる…出来るだけ…時間を稼げ」


 指示が曖昧だ。

 時間を稼げってどれくらい…何を目標に時間を稼げばいいのか分からない。


 「すまない…」


 大ちゃんが呟く。

 その言葉にミリアは騎士の忠義を示す敬礼を取るだけ…そして部屋を出ていく。

 死を覚悟して。


 「俺はいいのですか?」


 シュバルツが問う。


 「お前は替えがきかない…簡単に死ぬことは許さん。聖樹の滴を飲んだお前には、生きて戦い抜く義務があるのを忘れるな。マリア、王子と共に、第1騎士団、第2騎士団、第3騎士団を率いて秘匿している3個目の大穴に向かい…穴を塞げ」


 大ちゃんの女王の側面を見ると同時に、簡単に死ぬなとは言うけど、大穴を塞ぐことだって歴史上成功したことない命令だ。


 「第2、第3騎士団まで出すと…東の大穴に対処するのが第4騎士団だけになりますが?」


 「構わない…彼らには命を懸けて時間を稼げと命令しろ」


 非情だ…非情だけど俺に何か言う権利なんて無い。

 正しいのはきっと大ちゃんだからだ。


 「マリア。シュバルツと共に第1魔術師団と第2魔術師団を率いて3個目の大穴に…頼む」


 マリアは頷くだけだ。


 大ちゃんは一瞬だけ言葉に詰まるが…冷静に静かな声で命令する。


 「ニニを王子の後方支援として連れていけ」


 俺は何も言えなかった。



 バハムートの化身の素材から武器を作る時間も無く、慌ただしく準備が整えられて…俺は王子と共に出発した。


 大ちゃんは、整列する騎士魔術師達を激励すると…王子の手にある俺を握りしめる。





 (お願い…王子を…みんなを…世界を…お願い)





 それが大ちゃんとの最後の言葉になった。


 俺は2度と…この城に戻ってくることは出来なかった。


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