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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第4章 優しい王子
39/52

第38話 帰るまでが遠足

 作戦開始です。


 ミリア達の偵察で、白龍が見つかった。

 ちょうどよい感じの場所にいるらしい。


 シュバルツの第1騎士団50名から30名。

 15名ずつの2部隊として、これを囮部隊とする。

 白龍の近くにいるその他の5色龍を、左右に散るように、地の果てに誘導。

 適当に誘導した後は、囮部隊は地の果てから遠ざかればいい。

 龍は地の果てを護っているので、地の果てから遠ざかれば、追ってこないんだそうだ。


 ミリアの第8騎士団20名全員で、白龍を結界地点まで誘導。

 誘導後は、シュバルツの第1騎士団残り20名と共に、白龍を包囲。

 万が一…結界が破られたり、王子が致命傷を受けたりした場合…その身を持って白龍を拠点から遠ざける。

 つまり「死んでも王子を護れ」である。


 王子のレベルアップのためにも、王子が戦わないといけない。

 マリアの第1魔術師団10名が結界内の白龍を遠距離から攻撃してある程度弱らせる。

 弱ったところを王子が止めを刺す。


 最初から最後までの戦いの経験…これがレベルアップのために必要なのかどうか分からないが、とりあえず最初は安全策で止めだけを狙う。

 かっこいい英雄譚よろしく、王子を最初から戦わせるのは無謀で危険な馬鹿な行為である。


 ちなみに、ニニは王子が止めを刺す時に、白龍の脚を凍らせて動きを止める係りだ。


 5色龍は体長2~3mぐらい。

 白龍黒龍になると、体長5mぐらいになる。



 テントの中で作戦の最後の確認を終えると、王子の号令で龍討伐開始です!!!






 …白龍討伐しました。


 あ…あっけない!!


 遠くから白く輝く身体の龍…そうまさに想像通りの龍がやってきた。

 第8騎士団は、龍の防具で身を固めている。

 作戦通りに白龍を誘導したら…マリアが俺を持って結界発動!


 どんなに魔力を込めても、俺の魔力供給で魔力切れ起きないので、1日分の魔力全部を注ぐイメージで結界張ったそうだ。

 すんごい強力な結界の出来上がりです。


 結界に閉じ込められた白龍を、第1魔術師団が属性魔法で攻撃していきます。

 結界は魔力で作られた属性魔法は通してくれます。

 マリアも俺を持って光属性魔法で攻撃します。


 聖属性魔法は?と思ったら、龍には聖属性魔法が一切通用しないとか。


 ニニをチラっと見る。

 震えている。

 いくら覚悟を持ってきたとしても、いきなり初の実戦が龍だもんな。

 地の果てにくるまでに、自然界のゴブリンや動物をちょっと倒したとは言っても、あれとは次元が違う。


 ニニが白龍の脚を凍らせることが出来なくても問題ない。

 王子だけで十分なのだから。


 十分に白龍を弱らせたところで、マリアが俺を王子に渡す。

 そして王子が白龍に近づくと、結界を解きます。

 結界張ってると、王子が中に入れないからね。


 王子は次の瞬間、身体強化を使い、一瞬で白龍に近づくと、炎闘気を纏った俺を白龍の頭部に打ち込みます。

 …白龍一撃で倒れました。


 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」



 キター!キター!キター!

 一気に5レベルアップ!!!

 大ちゃん予想的中!!!



 あっけなかったけど、これでいいんだ。

 英雄譚やゲームのように、ピンチからの奇跡的な大逆転!みたいな展開は現実にはいらない。

 それは物語の中だからこそ面白いのである。



 そんな感じで龍討伐は続いたのです。


 あれから2週間ほどかけて、白龍2匹、黒龍3匹倒しました。

 龍素材いっぱいです!


 ただ、最初に5レベル上がった以降、レベルは上がらなかった。

 黒龍を倒してもレベルは上がらなかったのだ。

 最初から最後まで王子が戦って倒しても上がらなかった。


 黒龍の2匹目の時に、王子が最初から戦ってみた。

 王子と黒龍を結界に閉じ込める。

 王子が高速で移動するので、属性魔法で援護射撃するのも危ない。


 ニニが黒龍の脚を凍らせようと頑張っていた。

 何度か危ない場面もあったけど、王子は1人で黒龍を倒すことに成功した。


 みなが王子をほめた。

 王子も嬉しそうだった。

 そんな王子を見つめるニニの笑顔が…お父さんとしては心配だった。


 大ちゃんがここにいないので、俺と会話出来る人はいない。

 つまり、龍をどれだけ倒しても、もう王子のレベルが上がらないことを伝えることは出来ない。

 龍素材の確保を考えたら、別に龍を倒すことは悪いことじゃないしね。

 大ちゃんが被害無しで龍を3匹倒せたら上出来と言っていたから、これはかなり良い結果のはずだ。


 これだけ素晴らしい結果が出ている最大の要因はマリアだろう。


 まず、マリアの結界が強力なのだ。


 魔力レベル2になった俺を持ったマリアは、俺を使いこなし始めている。

 ニニと王子は俺に助けてもらっている。

 マリアは逆で俺を使っている。

 道具として使いこなしているのだ。


 後で聞いた話しではあるが、最初の白龍は1日分の魔力を注ぐイメージで結界。

 徐々に…自らの限界を超えた魔力を注ぐイメージで結界を張っていたらしい。

 最後の黒龍を倒した時は、2日分…つまり自分の限界の2倍近い魔力量を注いだ結界を張れたらしい。


 さらには、俺の無限魔力供給を使ったマリアの回復。

 囮部隊は無傷とはいかなかった。

 致命傷を負う騎士はいなかったけど、それなりの傷を負ってしまった騎士もいた。


 そこでマリアの聖属性魔法の回復です。


 回復魔法という魔法は無い。

 回復属性魔法も無い。

 聖属性魔法の中に、その人が持つ自己回復能力を高める魔法が存在するだけ。

 ヒール!と唱えたらあっという間に傷が塞がるなんてことは無いのである。


 神話レベルでは、聖魔法には一瞬で傷を癒したり…死んだ者を生き返させることが出来たそうではあるが…。


 自己回復能力を高めるだけでも効果が高いのだが…ここで登場するのが聖樹草茶である。

 そう…可愛い娘ニニが心こめて作った聖樹草茶だ!


 マリアが聖属性魔法で自己回復能力を高めて、傷口に聖樹草茶を塗る。

 軽い傷なら1日で、ちょっとした傷でも2~3日で治る。

 さらに、聖樹草茶を全員が飲むことで、心も身体も毎日が万全の体調となる。


 さて予定していた日数分の龍討伐を終えて、帰宅の準備です。

 帰るまでが遠足です。

 みんな笑顔で帰り支度をしています。

 死亡者0での白龍3匹、黒龍3匹の龍素材ゲットです。

 大戦果です!



 イベント発生です。

 こういうゲーム的なイベントはいらないっていったじゃないですか…。



 帰り支度を終えて、まさに拠点から空飛ぶバイクで飛ぼうとした時。

 誰かが空を指さして叫びました。


 みな…空を見上げて呆然としています。

 俺も呆然としてます。


 そこには…殺意を持ってこっちを見る…バハムートの化身がいました。




ステータス

炎闘気を纏う剣士の木の棒

状態:お話出来る優しい王子の炎闘気を纏う剣士の木の棒

レベル:15

SP:5

スキル

闘気:レベル2

魔力:レベル2

属性:レベル1

剣術:レベル2

身体強化:レベル1

炎魔法:レベル1

脱人見知り:レベル1


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