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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第4章 優しい王子
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第35話 残酷な失敗

 奥さん、事件発生です。

 今度も本当です。


 ある日の早朝、俺はニニと一緒に仲良く聖樹草茶を作っていた。

 ニニは今日も可愛い。

 今日のニニの法衣の種類は白衣のナース…違うそこじゃない。



 成長した王子なのだが…俺のレベルが上がらなくなった。

 話せるようになり、シュバルツやミリアと効果的な訓練を行い自信をつけた王子。


 先日の茶番劇とは違い、小穴に向かった王子は悪魔をばしばし倒していった。

 小穴から出てくる悪魔はまったく問題にならない。

 ただ、どんなに倒しても俺のレベルは上がらなかった。


 それならと中穴に向かった。

 中穴から出てくる悪魔は、小穴以上に詳細に管理されている。

 悪魔が動けるようにしている範囲は限定的だ。


 現在確認されている中穴は5個。

 その中でも比較的に弱いとされる悪魔がいる穴に向かった。


 まず悪魔はまったく問題無かった。

 王子は小穴での実戦経験を得て、加速的に成長している。

 慣れていっているのだ。


 徐々に強い悪魔が出る中穴に移動していく。

 結局、中穴の中でも一番大きくて、一番強いとされる悪魔も問題なかった。


 シュバルツとミリアがいて、王子が常に1対1で戦える状況だったとしても、王子の成長ぶりは凄まじいだろう。

 ほんの1ヶ月前まで…人と話すことすら出来なかった王子なのだから。


 中穴を回るので移動時間などもあり、1ヶ月弱ぶりに城に戻った俺達。

 大ちゃんは当然のように飛んでやってきて王子を抱きしめてた。

 大ちゃん…女王の仕事は大丈夫なのか?


 大ちゃんは期待を持って俺を持つ。

 レベルはいくつ上がったの?と当然に聞いてくるだろうと俺は思っていた。

 …上がってないんだよね。



ステータス

炎闘気を纏う剣士の木の棒

状態:お話出来る優しい王子の炎闘気を纏う剣士の木の棒

レベル:10

SP:0

スキル

闘気:レベル2

魔力:レベル2

属性:レベル1

剣術:レベル2

身体強化:レベル1

炎魔法:レベル1

脱人見知り:レベル1



 (え?1つも上がってないの?!)


 (うん…大ちゃんこれはちょっと失敗したかもしれない)


 (失敗?)


 (うん…さすがの大ちゃんも息子の溺愛で気付けなかったんだろうと思う。)


 (私が気付けなかった?)


 (王子さ…成長し過ぎたんだよ…王子自身が…俺が必要なくなってきてる)


 (あああ!!!!!!)



 大ちゃんは天を仰いだ。



 俺の成長システムは複雑だ。

 正確に俺達も把握出来ていない。


 ぽいぽいチートっぷりを発揮してレベルを上げていった王子。

 それを当然と思ってしまっていた。


 俺無しでは会話が出来ない王子。

 俺無しでは何も出来ない王子だと思ってしまっていた。


 会話に関しては間違いないのだが…戦闘に関しては違う。

 もちろん俺を持った方が強いのだが、俺を持たなくても…普通の剣を持って戦っても王子は強いのだろう。

 王子のスキルには「剣術」と「身体強化」があった。

 つまり、王子には剣術の才能もあったし、身体強化の才能もあった。


 人と会話出来るようになり、質問出来るようになった…天才剣士なのだ。

 今まで訓練していなかったわけじゃない。

 見た目が武闘派に見えなくとも、持っていた才能は武闘派だったのだ。


 さらに失敗したのが「中穴」の悪魔を倒してしまった。

 その経験を得て、王子はさらに成長してしまった。

 「中穴」の悪魔をいくら倒しても、もう俺のレベルは上がらないだろう。


 つまり正解は…あの日の茶番劇なのだ。

 あれを何度も繰り返させるべきだったのだ。

 本当の経験を積ませていけなかった。


 とても王子には聞かせられない話しだな。



 失敗してしまったものはしょうがない。

 巨星に抱いてもらいながら、大ちゃんとの作戦会議が始まる。


 (参ったな~…本当に私の失敗だわ…ラインハルトちゃんが成長していくのが嬉しくて…こんなことになるなんて…)


 (失敗は誰にだってあるさ…それに王子が成長しないでいたとしても、俺のレベルがぽんぽん上がっていく状況が続いたのか分からないさ。)


 (はぁ~…そうよね)


 (まぁ、その…それはそれで…その…具体的にはどうする?)


 具体的にはどうする…つまり持ち手を変更するか?という話しなのだが。


 (う~ん…シュバルツに聞いた話しだと、今の王子でも大穴の悪魔と戦える戦力にはなるらしいのよね。でも私が求めているのは、大穴の境界線までに進める英雄なの。持ち手を変更することも考えておくけど、人選も難しいわね…これは女王都合のプロジェクトZ成功前提での話しなんだけど…英雄になっちゃうのよ。塞いだ人は。誰でもいいわけじゃないのよね~)


 ここでも女王としての苦悩が…そうか俺を使って大穴塞いだら英雄…誰でもいいわけじゃない。

 例え王子と同じ才能を持っていたとしても、その人が英雄になってしまっていいのかという問題があるわけだ。


 (ラインハルトちゃんの才能には問題がないんだから…ここはちょっと英雄になるための試練といこうかしら。)


 試練?


 (いっちゃん確認なんだけど、ゴブリンロードは、森の中の獲物をどんなに倒してもレベル4から上がらなかった。でも悪魔を倒したらレベル6に一気に上がった。つまり強敵を倒せばレベルが上がる可能性は高いのよね)


 (間違いないね…大穴いくの?)


 (大穴じゃないけど…大穴の悪魔並みに強い動物がいるのよ)


 (大穴の悪魔並みって…すごいな。そんな動物がいるのに、自然界のゴブリンはよく生きていられるな)


 (ある特定の場所にしかいないからね~)


 (ふ~ん…どんな動物なの?)



 俺は動物学者に聞きたい。

 動物の定義とは何なのか。

 動く物なら、動物と表現していいのか。



 (いっちゃんも1度は聞いたことある動物だよ♪ 龍って動物なの)



 龍って動物ですか?


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