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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第4章 優しい王子
33/52

第32話 属性付与

 王子絶賛凹み中。


 森の中を歩いて悪魔との戦闘が何度かあった。

 王子はダメだった。

 まったくダメだった。


 シュバルツは王子がピンチでも、ほとんど手を出さない。

 悪魔を1匹だけ残して他を瞬殺する…あとは本当に見てるだけ。

 反対にミリアは、王子がピンチになると条件反射のように助ける。

 それをシュバルツが注意しているように見えた。


 王子は悪魔と距離があるうちはいいのだが…近づくと緊張が高まってしまうのだろう。

 心臓バクバク状態ってやつだ。

 まともに俺を振ることが出来ない。


 俺が悪魔に当たりさえすれば、それで倒せるというのに…。


 闘気レベル1に属性レベル1。

 これを取ったことで、俺は強くなった。


 属性。

 これは予想通り、俺に何らかの属性を付与して強くするものだった。

 ただ…属性付与出来るのは持ち主に依存する部分があった。


 王子は火魔法と炎魔法の才能がある。

 おれが属性スキルで炎を使うと、闘気と共に炎が俺を纏う。

 火よりも炎の方が強いのだ。

 名付けて炎闘気!!


 逆に属性スキルで氷を使う。

 氷闘気ですね。

 一応氷の属性は付与されるんだけど…すんごい弱い。

 炎とは逆の氷だったのもあるんだろうけどね。

 

 つまりどんな属性でも付与出来るけど、持ち主の相性の良い属性ほど強力になるようだ。

 いや…どんな属性でもというのは間違いだな。

 なぜか聖の属性は付与出来なかった。

 聖闘気…これも俺的には危機一髪だな。



 俺がどんなに強くなっても、持ち手が俺を振れないのは困る。

 16歳までお城に引き籠りしていたとはいえ、ちゃんと家庭教師をつけてもらい、勉強も剣の訓練もしていたそうなのだが…。

 勉強はともかく、訓練は形だけだったんだろうな。

 王子はどう見ても武闘派じゃない。

 図書館で本を読みながら優雅に紅茶を飲んでいるタイプだ。


 これはプロジェクトZの持ち手変えた方がいいんじゃないかな。

 帰ったら大ちゃんに相談してみるか…。

 でも大ちゃんの溺愛ぶりを考えると、言い難いな~。



ステータス

魔力を秘めた超闘う木の棒

状態:優しい王子の魔力を秘めた超闘う木の棒

レベル:7

SP:1

スキル

闘気:レベル1

魔力:レベル2

属性:レベル1

剣術:レベル1

身体強化:レベル1



 SPは1ある。



 闘気、魔力、属性、剣術、身体強化、炎魔法、火魔法、脱人見知り



 炎魔法でも取って、遠距離から悪魔を倒させるか?

 それで自信がつくかもしれないし。

 いや待てよ…脱人見知り…。


 人見知り。

 その言葉の定義をどう捉えるか難しい。


 人見知りとは…独りでいるときにコーヒー缶のラベルを読み込む達人である。

 人見知りとは…常に音楽を聴いて他人を寄せ付けない達人である。

 人見知りとは…上手ではない愛想笑いの達人である。



 定義はいろいろあると思うが、緊張とか、あがり症とかそういうことだよね?

 つまり…脱人見知りスキルを取ったら、王子自信満々になれるんじゃね?!


 俺は期待を込めて、脱人見知りスキルを取った。



ステータス

魔力を秘めた超闘う木の棒

状態:お話出来る優しい王子の魔力を秘めた超闘う木の棒

レベル:7

SP:0

スキル

闘気:レベル1

魔力:レベル2

属性:レベル1

剣術:レベル1

身体強化:レベル1

脱人見知り:レベル1



 あれ?俺の名前変わらなかった…けど、王子の名前が変わった?!

 お話出来る優しい王子って…今まで会話出来なかったのかよ。

 ん?…そういえば、王子は頷くだけだな。

 王子の声って…初日のパン屋で店員を呼んだ時から聞いたことないぞ。

 あの時も店員呼んだらパンを指さして買っただけだしな。


 今日も…王子がシュバルツやミリアに話しかけたこと無いな。

 ほとんどミリアが王子に話しかけて事を進めているだけ。

 しかも、ミリアの言葉は全部YESかNOで答えることが出来るものばかり。

 つまり、頷くか、頭を横に振るか…それで意思疎通が成立してしまっている。


 ま~横に振ってミリアの言葉を否定したことないけどね。


 俺は魔力で王子の脱人見知りスキルに干渉した。


 王子が顔を上げる…そしてミリアとシュバルツに何かを話した。


 ミリアは口を塞ぎ驚き…シュバルツは手に持っていた剣を落とした。



 「レベルアップしました。」



 話しただけでレベルアップかよ!



 話すだけでレベルアップという信じられないチートっぷりを発揮した王子。

 脱人見知りによって、ミリアとシュバルツに何かあれこれと聞いているようだ。

 王子の言葉に驚きながらも、答えていく2人。

 悪魔退治を中断して、3人で1時間近く話し込む。

 その間…ミリアやシュバルツが、王子に剣の振り方や身体の動かし方など、身振り手振り教えていく。


 途中、何度か悪魔がやってきたけど、シュバルツが瞬殺していた。


 そして2人からの講義?を受け終えた王子は歩き出す。

 目指すは悪魔!

 弱い悪魔!!!

 一匹だけの悪魔!!!



 そしてその時はやってきた。

 悪魔が3匹いた。

 ミリアとシュバルツが一瞬で1匹ずつ倒す。

 

 何が起こったのか分からないといった感じで、呆然と立ち尽くす悪魔が1匹。

 その悪魔に…王子は近づいていく。

 そして…炎闘気を纏った俺を…上段から振り下ろす!!!!!



 …悪魔は倒れた。

 炎闘気で叩かれた悪魔は頭が吹き飛び、身体は黒く焦げていた。

 王子は荒い息を吐きながら…倒れた悪魔をじっと見ている。

 ミリアとシュバルツは声を出さずに立っている。


 やがて…王子が何かを呟く。

 するとミリアが王子の手を取り涙を流す。

 シュバルツもその場で片膝をつき頭を下げている。


 城に戻る。

 大ちゃんが飛んできた。

 大ちゃんは王子を抱きしめ、ミリアから報告を聞こうとした。

 すると…王子は自分の言葉で大ちゃんに報告した。

 それを聞いた大ちゃんは固まっていた。

 1分ぐらい固まっていただろうか。

 石化が解けると…大声で泣きながら王子を抱きしめた。


 その日の夜…お城で盛大なパーティーが開かれていた。

 主役はもちろん王子だ。

 王子は俺を持ちながら、主賓の席でいろんな人と話した。

 王子の声を聞いた人はみんな驚いていた。

 その場にいたみんながハッピーだった。

 そんな夜だった。



 ……俺はプロジェクトZの失敗を確信した。



 「レベルアップしました。」←悪魔倒した時

 「レベルアップしました。」←パーティー参加中




ステータス

魔力を秘めた超闘う木の棒

状態:お話出来る優しい王子の魔力を秘めた超闘う木の棒

レベル:10

SP:3

スキル

闘気:レベル1

魔力:レベル2

属性:レベル1

剣術:レベル1

身体強化:レベル1

脱人見知り:レベル1


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