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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第3章 怪しい女王と聖女
29/52

第28話 溺愛

 マリアを新しい持ち主に登録した後、俺は大ちゃんからもう1人…新しい持ち主を紹介された。

 俺の成長システムを聞いていく中で、大ちゃんが選んだ人とは…自分の息子であった。

 つまり王子様だ。


 名前はラインハルト。


 …大丈夫か?

 俺、配慮に欠けてるとか言われたりしない?

 大丈夫だよね?

 

 いや、配慮に欠けているのは大ちゃんだろう。

 だって大ちゃんが名付けたんだから。

 俺なら空気読んで「スズキ」にしたさ。

 それも配慮に欠けることに…なるのか?


 さて、ラインハルト王子様なのだが…。

 なんていうか温室育ちの気弱な少年なのだ。

 大ちゃん曰く、優しい王子様らしいのだが…。



ステータス

木の棒

状態:優しい王子の木の棒

レベル:1

SP:1

スキル:無し



 状態には優しい王子と入った。

 本当に優しい王子様なのだろう。


 大ちゃんは当初、俺を騎士の中でも最も強い騎士に預けようと思ったらしい。

 ただ、俺の成長システム…特にゴブルンの成長システムから予想したことは、「俺と一緒にこれまで出来なかったことを体験する」ことでレベルが上がるのではないか。

 それが全てでないにしても、そうした要因が作用すると思っているらしい。


 王子は16歳なのだが…城から出たことがないらしい。

 どんだけ?!

 大ちゃんも大ちゃんで、王子を溺愛してる。

 王子を紹介する時の大ちゃんの口調と息遣いがやばかった。

 42歳のおっさん母に愛される王子…。


 さて、取得可能スキルを見てみる。


 闘気、魔力、属性、剣術、身体強化、炎魔法、火魔法、脱人見知り



 …脱人見知りは見なかったことにしよう。


 王子才能あるじゃん!

 剣術と身体強化に加えて、炎魔法に火魔法だよ!

 魔法だよ!魔法の才能あったよ!


 しかもニニと同じで2つも!

 さすがは大ちゃんの子供だ。

 いや見た目で判断した俺が間違っていたよ。


 大ちゃんに王子のスキルを伝えたら…いきなり泣いてしまった。

 嬉しかったのだろう。

 ただ、周りはそうは思わない。

 いきなり女王様が泣き始めたのだ。

 王子を始め全員があたふたしていた。



 俺と大ちゃんとの関係もどうにかしないといけない。

 二人で話し合った結果…大ちゃんは「聖樹から神託を受けた」という都合の良い言葉で、聖樹…つまり俺と意思疎通が出来ることにした。

 そう説明したのは一部の人にだけだけどね。



 さて俺と共に成長するラインハルト王子の物語の始まりです。

 王子は俺を持って、大ちゃんから話しを真剣に聞いている。

 大ちゃんは話しながら徐々に涙目になってしまった。

 そして王子を抱きしめる。

 王子は大ちゃんとたくさんの神官、メイドさん達に見送られながら城を出ていく。


 これから王子には辛く困難な試練が待っているのだろう。

 でも大丈夫。

 俺がついてるよ!

 俺が王子を守ってあげるからね。


 俺は闘気スキルをレベル1にする。


 王子は独りで…城から出ると…城下町へとやってきた。

 そして、王子は緊張した様子で探していたお店を見つけると中に入っていく。

 そこは…パン屋だった。

 王子はパン屋の店員を呼ぶ。

 店員を呼ぶ王子の声は震えていた。

 そして、何かのパンを店員から受け取るとレジへ。


 レジでお金を渡す王子の手は震えていた。

 お釣りをもらい、それをしっかりと数えてパンを受け取ると、街の外…ではなくお城に戻っていった。


 王子は晴れやかな顔をしていた。

 お城に戻ると、大ちゃんが飛んでやってきた。

 我が子を抱きしめると、泣きながら頭を撫でてあげる。

 それを見るメイドや神官達の目からも涙が。

 王子は自信満々の顔で、大ちゃんにパンを渡した。


 こうして、王子の辛く困難な試練は終わったのであった。



 …大ちゃんはダメな母親…いや父親だった、俺涙目。



 誠に残念ながら、大ちゃんはどうしようもなくダメな父親だった。

 だったのだが…大ちゃんの予想は当たっていた。


 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」

 「レベルアップしました。」



ステータス

闘う木の棒

状態:優しい王子の闘う木の棒

レベル:5

SP:4

スキル

闘気:レベル1



 一気にレベル5ですよ奥さん。

 さて、どこで王子のレベルが上がったのか。


 最初にレベルが上がったのは…独りで城下町にやってきた時だ。

 それだけでレベルが上がったのだ!


 次にレベルが上がったのは、パン屋の店員を呼んだ時。

 店員と話しただけでレベルが上がりやがった。


 そしてお釣りをもらって数えた時…ここでもレベルが上がった。


 最後にレベルが上がったのは、お城に戻ってきた時…独りでお城に戻ったという経験で上がったのだろう。


 信じられない…。

 ゴブルンやニニがあんなに苦労してあげたレベルを…こんな簡単に上がっていいのか?!

 いやプロジェクトZのためなら別にいいんだけどさ。


 さて問題はどのスキルを取るかだな。

 王子が剣術で戦うのか、魔法で戦うのかでだいぶ違ってくるな。

 これは大ちゃんとも相談してみた。


 大ちゃんが神託という便利言葉で王子に聞いたところ…剣術で戦いたいとのこと。

 よって4ポイントで取ったスキルでこうなりました。



ステータス

超闘う木の棒

状態:優しい王子の超闘う木の棒

レベル:5

SP:1

スキル

闘気:レベル1

属性:レベル1

剣術:レベル1

身体強化:レベル1



 1ポイント余らしておいた。

 俺の名前は…だんだん適当になってきたな。

 俺の心が反映されているのか?



 幸先よくあっという間にレベル5になった王子だったが、翌日からはそんなに簡単にレベルは上がらなかった。

 そうそう上手い話しは無いってことか。

 俺を使って騎士達と鍛錬したりもしたが…レベル7からずっと上がらなくなった。


 ニニはようやくレベル5になった。

 俺を使って薬草茶を作っていたらレベルが上がったのだ。

 あんなにいっぱい作ってようやくレベルアップか…。


 マリアのレベルは1のままだ。

 俺を使って聖属性魔法や光属性魔法をいろいろ使ってみたりしたけど、レベルはまったく上がらない。

 これは大ちゃん予想の「俺と一緒にこれまで出来なかったことを体験する」ことを考えると、マリアは別に俺に頼らなくてもいろんなことが出来るのだ。

 俺が無くてもいい…つまり俺と経験を共有出来ない…そのためレベルが上がらないってことかもしれない。


 それならばと…試しに、マリアが俺を持ちながら城壁の修理を手伝ってみたが…マリアが筋肉痛になっただけでレベルは上がらなかった。




ステータス


1.空飛ぶ少女

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:5

SP:1

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1


2.怪しい女王

以心伝心な木の棒

状態:怪しい女王の以心伝心な木の棒

レベル:1

SP:0

スキル

日本語


3.聖女

魔力通な木の棒

状態:聖女の魔力通な木の棒

レベル:1

SP:0

スキル

魔力:レベル1


4.優しい王子

超闘う木の棒

状態:優しい王子の超闘う木の棒

レベル:7

SP:3

スキル

闘気:レベル1

属性:レベル1

剣術:レベル1

身体強化:レベル1


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