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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第3章 怪しい女王と聖女
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第27話 聖女

 大ちゃんの部屋が氷の世界に変わって数時間後。

 いろんな人達が部屋にやってきて大騒ぎだったが、今は全て元に戻っている。

 ニニの顔も真っ青だった。

 いや~ついつい張り切ってしまって、魔力調節に失敗しちゃったよ!

 …大ちゃんに素直に謝った俺でした。


 俺にメモリー機能があったこと。

 そして持ち主登録機能があり、複数の人を持ち主として登録できること。

 俺は、持ち主の才能に基因すると思われるスキルが見えること。

 俺は、持ち主と共に成長すると思われること。


 夜遅くまで、大ちゃんの巨星に抱かれながら、俺と大ちゃんは考察していった。

 大ちゃんが俺に望むこと…それは3個目の大穴を塞ぐために力を貸す。


 管理している2つの大穴は、犠牲を出しながら侵攻は防いでいるが、塞ぐことは出来ない(境界線まで進むことは不可能に近いし、進めたとしても聖樹で塞いで魔法を施す時間を稼ぐのは無理)。


 もちろん俺の力で大穴全てを塞ぐことが出来れば良いのだが、侵攻を防げている2つは後回しで構わない。

 発見された3個目の大穴から、上位の悪魔が侵攻してくる前に塞いでしまう。

 これが大ちゃんの狙いだ。


 俺と大ちゃんは、3個目の大穴を塞ぐための作戦をプロジェクトZと名付けた。


 プロジェクトZのために、まず俺の持ち主を増やすことにした。

 やってきたのは…マリアというあの巨乳神官だ。

 マリアは大ちゃんと幼馴染でもあり、そして「聖女」の称号を持つ人らしい。


 マリアが聖女と呼ばれている理由は…彼女が人間の中で聖属性魔法を使える唯一の人間だからだ。


 (魔法が失われて以降、様々な属性魔法が研究されたけど、マリアは聖属性魔法の研究を初めて成功させて、聖属性魔法使いになったのよ)


 大ちゃんがマリアのことを話す中で「魔法」と「属性魔法」という言葉が出てきた。

 これはニニの「氷魔法」と「氷属性魔法」で何が違うんだ?と疑問に思っていたことの答えだった。


 「大罪の日」以降、聖樹の祝福を受けられなくなった人間は、「魔法」を失った。

 代わりに、人間が魔力を研究して作り出したのが、「属性魔法」だ。


 つまり属性魔法とは、魔法の下位バージョンのようなものらしい。


 氷魔法は「氷」を支配下に置いた強力な力。

 氷属性魔法は魔力を使って「氷」に干渉して、どうにかして引き出した力。

 そんな感じです。


 魔法は詠唱や魔方陣が不要。

 属性魔法は逆で、詠唱や魔方陣が必要。


 さて、女王から俺を受取り、俺の持ち主となったマリア



ステータス

木の棒

状態:聖女の木の棒

レベル:1

SP:1

スキル:無し


 取得可能スキルと念じる。


 闘気、魔力、属性、聖属性魔法、光属性魔法、洗濯



 …洗濯は見なかったことにしよう。


 マリアは聖属性魔法と光属性魔法の才能があるようだ。

 大ちゃんがそれを聞くと、一瞬残念な表情を見せてすぐに笑顔になった。

 …聖魔法の才能があることを期待していたのだろう。



 聖魔法。

 それは失われた魔法の中でも、特に聖樹の祝福と強く関係している魔法だ。

 穴を塞ぐための特別な魔法とは、聖属性魔法のことだ。

 つまり聖魔法が使えれば…穴を塞ぐことがもっと容易になるのだろう。


 事実、マリアが聖属性魔法の研究を成功させる前に…聖魔法を使える人が存在していたらしい。

 今はみな亡くなってしまったそうだが。


 そして…大罪の日以降に魔法を使えた人達には、必ず共通することがあった。

 「妖精の血」を引いていること。

 マリアにも妖精の血があるはず…という曖昧な大ちゃんの言葉。


 俺はこの話を大ちゃんから聞いた時、ニニのことを思い出した。

 そう…妖精の血だ!

 ニニが空を飛ぶスキル…それが妖精の血だった。

 妖精の血とはいったい何なんだ?


 (妖精の血とは、天界に住む妖精のこと…つまり妖精と人間との間に出来た子供の子孫の中で、遺伝子…になるのか分からないけど、妖精側の遺伝子が強く出た人達を「妖精の血」を引いてるって言うの)


 (つまりニニの先祖に妖精がいたってことなのか?)


 (ニニは…ハーフなの)


 (ハーフ?)


 (ええ…ニニのお父さんは…妖精なの)


 ニニのお父さんは俺だぞ…と馬鹿なボケはやめておこう。

 大ちゃんはニニのお父さん…そしてお母さんのクリスティーナことを話し始めた。



 クリスティーナ。

 この世界ではありふれた名前らしい。

 だた「祝福のクリスティーナ」となると、それは唯1人を指す言葉になる。

 それが、ニニのお母さんらしい。


 大罪の日以降、天界への道は閉ざされて、人間が天界に行くことは出来なくなった。

 ただ、逆は出来るらしい。

 天界から地上界にやってくる妖精がたまにいるそうだ。


 最後に地上界にやってきたとされるのが…ニニのお父さんである。

 名前はリンランディア。

 リンランディアとクリスティーナは恋に落ちてやがて結ばれる。

 そして生まれたのがニニだ。


 ニニの家にお父さんがいなかったのは…天界に帰ったからなのか?と聞くと。


 (リンランディアは…地下世界に堕とされたわ)


 リンランディアはクリスティーナに聖樹の祝福を与えたらしい。

 聖樹の祝福のことは秘密にして欲しいとクリスティーナに伝えたのだが…。


 (…私のせいで、クリスティーナは自分に聖樹の祝福があることを喋ってしまったの)


 詳しい事情を大ちゃんは話さなかった。

 ただ自分のせいだと。


 聖樹の祝福のことが知れ渡ると、人々は歓喜した。

 自分達は許されたのだと。

 「祝福のクリスティーナ」と人々がその名を口にした。


 ただ、そのことが天界に知られてしまった。

 リンランディアは、天界の王…アルフ王によって地下世界に堕とされてしまった。

 それと同時に「祝福のクリスティーナ」は、悲劇の人になってしまった。

 リンランディアからもらった、聖樹の祝福も消えてしまったそうだ。


 大ちゃんは当時のことを話すのがつらいようだ。

 断腸の思いで、ニニとお母さんに関する情報を、抹消したらしい。

 そのため、ニニのお母さんのことを「祝福のクリスティーナ」と知っている人はいないそうだ。

 大ちゃんは裏からクリスティーナに支援を申し出た。

 でも断られたらしい。

 

 クリスティーナの聖樹の祝福とは何だったの?と聞くと。


 (リンランディアからもらった短剣で聖樹に傷をつけると、そこから聖樹の滴が取れたのよ)


 あの短剣だ。

 あれはやっぱり形見…ではないけど、お父さんのものだったんだな。

 地下世界に堕とされたリンランディアがどうなったのかは分からない。

 生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。



 ニニ誕生の秘話を聞いて納得出来たことがある、

 ニニに魔法の才能があるのは、妖精とのハーフだからだろう。

 しかも、氷魔法だけではなく、水魔法の才能もある。


 ただし、妖精でも魔法を使うことは簡単なことではないらしい。

 伝説や神話の中には大魔導士のような存在は描かれているけど、実際にそんな存在になれるのは妖精の中でも本当に極一部に限られるだろうとのこと。


 なので長時間空を飛んだり、一瞬で氷の世界にしたりといったことは、俺の魔力あってこそなんだそうだ。



 とりあえず…俺はマリアの魔力で激痛を感じる前に魔力スキルを取っておいた。




ステータス


1.空飛ぶ少女

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:4

SP:0

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1


2.怪しい女王

以心伝心な木の棒

状態:怪しい女王の以心伝心な木の棒

レベル:1

SP:0

スキル

日本語


3.聖女

魔力通な木の棒

状態:聖女の魔力通な木の棒

レベル:1

SP:0

スキル

魔力:レベル1


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