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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第3章 怪しい女王と聖女
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第26話 双子の巨星

 俺は柔らかい星に包まれている…二つの柔らかい星は双子なのか、まったく同じ大きさ…柔らかさを感じる。

 この瞬間を何て表現すればいいのか…俺には分からない。

 自分のボキャブラリーの無さを嘆きたくなるが…見た目30歳の爆乳美女の魂42歳のおっさん、合計72歳に包まれているのを何て表現すればいいのか…誰も分からないのではないか。


 俺は大ちゃんの胸に挟まれながら会話を続けた。


 (大ちゃん最高です…)


 (喜んでもらえて嬉しいよ。まぁさすがに下の方はダメだけどね。いくら魂が42歳のおっちゃんでも、30年以上「女」してきてるから…そこはやっぱり恥ずかしいかな)


 顔を赤くしながら恥ずかしそうに話す42歳のおっさんがいた。


 (この状態も誰かに見られたらかなり危険なんだけどね。「女王様ご乱心!」になっちゃうよ)


 (なるほど…俺のためにありがとう…俺最初、大ちゃんが転生者かもって思った時、すげ~警戒してたんだけど、こんなに優しくしてもらえて俺嬉しいよ!)


 (あはは。ま~それは…私も下心があるからね。いっちゃんには助けてもらいたいし)


 それまで和やかだった大ちゃんの雰囲気が変わったことが俺にも分かった。


 (助ける?俺が大ちゃんを?)


 (私も助けて欲しいけど、この世界を助けて欲しいんだよね…具体的には…「大穴」を塞ぎたいの)


 大ちゃんの目は真剣だ。


 (私が作った戦士騎士育成システム…ゲームじゃないから現代日本人としてはちょっと心痛むこともあるけど、育成システムのおかげで、小穴中穴は完全に管理出来ているわ。そして2個の大穴も…被害を出す前提だけど、なんとか侵攻は防げてる状態なの)


 2個ならなんとか…でも3個目の大穴が出現してしまったと。


 (3個目の大穴をなんとか塞ぎたいの…いっちゃん力を貸してくれない?)


 (俺に出来ることがあるならもちろん力を貸すさ。でも俺は道具だから持ち主依存なんだよね。その…大ちゃんが俺の持ち主になってしまったから、ニニと成長したレベルやスキルはリセットされちゃったんだよ)


 そこから俺は、自分の成長システムについて、俺が推測していることを大ちゃんに話した。

 俺の話しを聞き終えた大ちゃんは神妙な顔つきで。


 (そっか…ニニからいっちゃんを私がもらったせいで…でもこうして意思疎通出来たのは、ニニからいっちゃんをもらったおかげだし…う~ん)


 (今日のお茶会の時…やっぱりニニに、俺をもらったのか?)


 (そうなの。ニニはいっちゃんのことを自分の物って思っていたと思うよ。それで、正式に聖樹は国の物…つまり私の物にしたいってお願いしたのよ。もちろん聖樹草のお茶を作る時はニニに渡すつもりだったけど)


 大ちゃんが考えこむように手を顎に当てる。

 腕が寄せられたことで、巨星は俺をさらに包み込む。

 俺は幸せだった。


 (ねぇ…私がいっちゃんをニニにあげたらどうなるのかな?)


 む…それはどうなるんだろう。

 1度持ち主になった人が、再度持ち主になる…これまでにない状態だな。

 やってみないと分からない、考えても仕方がないので、やってみることにした。


 しばらくすると、ニニが大ちゃんの部屋にやってきた。

 ニニを出迎える大ちゃんは、女王そのものだ。

 おっさんだけど。


 世間話しから入ったのか、紅茶を飲みながら笑顔で談笑していく。

 そしてタイミングを見て…大ちゃんがニニに話かける。

 ニニは最初きょとんとしていたが、コクコクと頷くと、大ちゃんから俺をもらう。



「持ち主が変更されました。ステータスがリセットされます」

「メモリー「空飛ぶ少女」があります。復元しますか?」


 おお!なんかきた!

 メモリー機能あったのかよ!

 俺は復元すると念じた。




ステータス

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:4

SP:0

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1



 キター!キター!!

 元に戻った!

 これは使える!


 そこでふと疑問が。

 メモリーって…今までの持ち主全員あるのか?


 俺はメモリーを念じてみた。




メモリー

1.ゴブリンロード(死亡)

2.ゴブリン□

3.ひょろひょろおじさん□

4.空飛ぶ少女☑

5.怪しい女王□




 …全員いた。

 しかもゴブルンが死亡していることまで書かれているし。

 ということは、ゴブルンジュニアはまだ生きているのか。


 死亡しているゴブルン以外は、名前の最後に□がある。

 そして空飛ぶ少女…ニニにチェックが入ってる。

 これはニニがいま持ち主ということを表しているのだろう。

 

 俺は怪しい女王の□にチェックが入るように念じてみる。


4.空飛ぶ少女☑

5.怪しい女王☑


 大ちゃんにチェックはいったよ!

 しかも、ニニのチェックは外れてないよ!



 俺がメモリー機能を確認している間、大ちゃんはニニに氷魔法を使わせていた。

 部屋の中に飾ってある花を凍らせているようだ。

 ニニが氷魔法を使えるなら、大ちゃんもメモリー機能のようなものがあると気付いているだろう。


 ニニが持つ俺に大ちゃんが触れた瞬間


 (へい、大ちゃん)


 俺の突然の声に、大ちゃんはビックリしていた。

 その様子に驚くニニ。

 大ちゃんは上手く誤魔化して…ニニから俺を受け取る。


 (大ちゃん大発見だ!メモリー機能があったよ!)


 (メ、メモリー機能? ってどうして私と話せるの? 私いまニニからいっちゃんをちょっと貸してもらっただけだよ?)


 俺はメモリー機能について大ちゃんに話した。

 今までの持ち主が記憶されていたこと。

 チェックをつける欄があること。

 おそらくチェックをつけた人は持ち主としての効果が出ること。


 (ニニと成長したレベルは戻っているのね?)


 (戻ってるよ。っていうかさっきニニ氷魔法使ってたの見たろ?)


 (えっとね…ニニはいっちゃんを持たなくても、氷魔法が使えるようになってるんだよ)


 大ちゃんの言葉に俺は衝撃を受けた。

 ニニが…俺無しで氷魔法を使える?


 (マ…マジですか…俺いらない子なの?)


 (違う違う!ニニは氷魔法使えるようになったけど、いっちゃんの助け無しでは本当に弱い氷魔法しか使えないのよ。今も花を凍らせてみたら…いっちゃんから魔力が流れてくるように感じられるけど、前ほど感じないって言ってたの。だから私はやっぱりダメだったのかな~って思ってたところなのよ)


 俺がメモリー機能の考察に集中していて、ニニにあまり魔力供給しなかったからか。

 ニニごめんよ…俺はニニだけのものなんだ!


 (ニニに俺を渡して、もう一度氷魔法使わせて!)


 大ちゃんから俺を受け取ったニニは、頷いて氷魔法を使った。

 俺はニニに魔力を注ぎ込んだ!


 次の瞬間…女王の部屋は氷の世界に変わっていた。




ステータス


1.空飛ぶ少女

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:4

SP:0

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1


2.怪しい女王

以心伝心な木の棒

状態:怪しい女王の以心伝心な木の棒

レベル:1

SP:0

スキル

日本語


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