表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第3章 怪しい女王と聖女
22/52

第21話 ドアーフ?ドワーフ?

 犯人はお前だ!

 っとニニに指さされたわけでは無い。

 ニニが昨夜からの出来事を説明するのに、俺のこと…木の棒のことを説明しないわけにはいかないよな。


 ニニは言葉を選びながら慎重に俺のことを女王に話していく。

 時に驚いたような表情で…時に嬉しそうな表情で…俺のことを話してくれる。

 そんなニニのことを見ていると、俺まで嬉しくなってくる。


 ニニは俺のことを話していくうちに、徐々に興奮していった。

 最初は慎重に選んでいた言葉も、興奮が高まるにつれて、次から次へと言葉が波のように出てくる。

 話しながら、あっ!と気づいたように何かを話したり。

 話しながら、う~~んとニニ自身が考え込んでしまったり。


 ニニの話しを聞き終えた女王は笑顔だ。

 笑顔で…俺を持ってくるように指示したのだろう。

 宰相のような偉そうな男性が…俺を使用人から受け取ると女王に俺を渡す。

 俺を握りしめて、まじまじと木の棒を見る女王。

 女王に握られて、まじまじと谷間を見る木の棒。


 女王は何かを思いついたかのように指示すると、俺は偉そうな宰相にまた渡されて…宰相は俺をニニに渡した。

 俺はこの瞬間を待っていた。


 ニニに持ってもらった瞬間…俺はニニに干渉する。

 発動するのは氷魔法。

 目標は…もちろんおっさん騎士だ!!


 俺から一気に魔力が高まったことに気付いたニニ。

 俺を制止しようとするが、俺は止まらない。

 おっさん騎士を凍らす!!!


 足元から徐々に凍っていくおっさん騎士。

 悲鳴を上げている。

 このまま全身を凍らせてやる!っと思っていたのだが、あの女性騎士が俺をニニから取り上げる。

 ニニに干渉出来なくなった俺の氷魔法は、おっさん騎士を下半身まで凍らせたところで止まってしまった。


 ニニが森の中で氷魔法を使った時は一瞬だったのに…なんで一瞬で凍らせられなかったんだ?

 ニニに干渉して…ニニが願うこと…ニニの意志無しに魔法を発動したからか?


 騒然となった部屋の中…女王は冷静だった。

 おっさん騎士が凍っているのを見て…嬉しそうな笑顔を見せていた。

 いや、部下が氷漬けにされて笑顔ってどうなのよ?と思うけど。


 ニニが釈明するように女王に話す。

 ニニの言葉におっさん騎士が怒鳴り声をあげる…下半身凍ったまま。

 おっさん騎士の言葉を、女性騎士が遮る。

 女性騎士は女王に何かを説明する。


 きっと、取調室での出来事を説明しているんだ。

 そうなんです!

 このおっさん騎士悪い人なんです!

 罰を与えないといけないのです!!


 下半身が凍ったまま、女王に質問されて青ざめるおっさん騎士。

 自分はやっていないと否定しているのだろうか。

 女性騎士の冷たい視線と声を聞いた女王は…おっさん騎士に何か言うと、騎士3人掛りで凍ったおっさん騎士を持ち上げて部屋から出ていった。

 エッチなことはいけないんですよ!


 おっさん騎士が出ていき静かになると…女王は、あの偉そうな宰相に目配せする。

 すると宰相の合図で扉が開く。

 誰か入ってきた。

 子供…じゃないな…背は子供のように小さいけど、顔は髭もじゃだ。

 罪人のようなぼろぼろな布きれの服1枚の小さな髭もじゃ男が入ってきた。


 髭もじゃ男は、女王の前で膝をつき頭を下げる。

 すぐに女王は髭もじゃ男の顔を上げさせると、女性騎士から俺を受取り、髭もじゃ男に見せる。

 すると…罪人のような虚ろな目をしていた髭もじゃ男の目がぱっ!っと開いた。

 本当にぱっ!っと大きくなったのよ。

 まるで神を見るような感動した目で俺を見つめる髭もじゃ男。

 そして…偉そうな宰相が俺を髭もじゃ男に渡す。


 俺を握りしめて、あちこち触りながらじっくりと観察する髭もじゃ男。

 その目には涙が溢れていた。

 再び頭を女王の下げて、土下座スタイルのまま、髭もじゃ男は女王に話していく。

 その言葉を笑顔で聞いている女王。


 その様子をぽかんとした表情で見ているニニ。


 この髭もじゃ男が…まさか…俺の本当の持ち主なのか?!

 嫌だ!嫌だ!!

 俺の持ち主はニニにもう決まってるんです!

 時々ボインな女王様に持たれるのは許せるけど、こんな髭もじゃ男が俺の本当の持ち主なんて認めない!


 俺の心の叫び虚しく、髭もじゃ男は俺を大事に抱きしめながら、ただただ泣くのであった…俺も涙目。



 女王との謁見?も終わりなのか、ニニとお母さんは女性騎士に連れられて部屋を出ていく。

 俺は髭もじゃ男に抱かれたままだ。

 ニニが俺を見ている。

 ニニ!助けて!俺は君の物だよ!

 こんな髭もじゃ男嫌だ!!!!!


 ニニが部屋を出ていってしまった…。

 でも例のシステム音が聞こえない。

 俺の持ち主の条件は、はっきりと分かっていないが、ニニは俺を誰かにあげるという意思を示していないし、俺を放棄する意思もないだろう。

 だから俺の持ち主はニニのままでいられるはずだ。


 女王の部屋に残された俺と髭もじゃ男。

 女王に優しい声で語りかけられると、髭もじゃ男はまた土下座して…俺を宰相に預けて部屋を出て行った。

 今さらだけど、この髭もじゃ男ってドアーフじゃね?

 ん?…ドアーフだっけ、ドワーフだっけ?どっちだ?



 女王の後ろを宰相に持たれた俺は進んでいく。

 とある場所までくると、宰相は俺をメイドのような女性に預けてお辞儀して去っていった。

 俺はどうやら女王の部屋に運ばれたらしい。



 女王の部屋のテーブルに置かれる俺。

 女王は部屋でリラックスタイムだ。

 優雅に紅茶みたいなものを飲んでいる。


 しばらくすると、女性神官が入ってきた。

 さっきの女王との謁見中には見なかった顔だな。

 そして見たくなるような胸の谷間だな、おい。


 女性神官は椅子に座ると女王と親しげに話している。

 その様子だけで、この女性神官の地位が高いことが分かる。


 二人とも時々俺を見つめながら、あれこれと話し込む。


 話が終わったのか、女性神官はお辞儀をして、部屋から出ていった。

 薬草お茶のビンを1つ持っていった。


 そして女王もどこかに向かうのか…紅茶を一口飲むと立ち上がる。

 部屋のドアの前で立ち止まると、一度振り返り俺を見つめて、女王が呟いた。



 「まったく頭の痛い話だ」



 その言葉に…俺の心臓は飛び出そうになった。

 木の棒だから心臓ないけどさ。

 女王が呟いた言葉…それは俺にも理解が出来た。

 それは日本語だった。





ステータス

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:4

SP:0

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ