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伝説の木の棒 前編  作者: 木の棒
第3章 怪しい女王と聖女
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第20話 取調べ

 ニニが捕まった。

 いま、取調室のような部屋にいる。

 お母さんも一緒だ。

 

 テーブルにはニニの持ち物が全て並べられている。

 つまり俺も。

 あの薬草お茶の入ったビンは2個あったのだが、1個は神官が持っていった。


 現在、ニニはいろいろと質問されてそれに答えている。

 表情が暗い。

 隣に座っているお母さんも、暗い表情だ。

 せっかく元気になったのに。


 ニニを取り調べているのは騎士のようなおっさんだ。

 質問する口調が厳しい。

 罪人であるニニに対して好意的な取り調べもおかしいけどさ。

 でも葉っぱ1枚だよ?

 それぐらい大目に見てよ!っと俺は叫びたい…叫べるのなら。


 しばらくニニに質問していたおっさん騎士であるが…書類に目を通しながら何かぼそっと呟いた。

 それを聞いたニニの表情が固まる。

 続いてお母さんが、おっさん騎士に何か言っている。


 お母さんの言葉を聞いたおっさん騎士は机を蹴った。

 威嚇するような大声をあげる。

 ニニは涙目だ。

 お母さんは頭を下げて必死に何かを訴えている。


 なんだ?何が起こってる?


 ニニがお母さんを止める。

 涙目のまま…お母さんを見つめて…ニニ立ち上がると、その場で黒いワンピースを脱いでいった。


 え?…おいこら!おっさん!

 お前ニニに服を脱げって言ったんだな!

 どうして服を脱ぐ必要があるんだよ!

 あったとしても、そういうのは女性がするべきだろうが!

 服を調べるのか、服の中に何かを隠しているか調べるのか知らんが許せん!


 怒りのまま俺は魔力を高め…られない。

 くそっ!

 所詮は道具の俺…魔力やスキルの発動条件である「持ち主に持ってもらう」状態で無ければ、本当に何も出来ないただの木の棒だ。

 目の前でニニが服を脱いでいくのをただ見ているだけなんて!


 ワンピースを脱ぎ終えたニニは下着姿だ、上下共に。

 この世界にはブラジャーがちゃんとある。


 俺だけが見ていいニニの下着姿を!

 おっさん騎士はニヤニヤした表情でニニを見ている。

 ニニは恥ずかしそうにうつむいている。

 お母さんは涙を流している。


 おっさん騎士はニヤニヤ顔でさらに呟いた。

 その声を聞いて、お母さんが立ち上がる!

 ニニの表情もさらに硬くなる。


 おい…おっさんてめぇ!

 いま絶対下着も脱げって言っただろ!

 ふざけんなよ!

 くそ…こんな取り調べいいのかよ!


 ニニ俺を持て!

 一瞬でこんなやつ全身を凍らせてやる!


 立ち上がり泣いて懇願するお母さんを無視するように、おっさん騎士はニニに命令するような口調で強く言う。

 ニニは…ブラジャーのホックに手をかける。

 くそっ…本当に何も出来ないのかよ!!!!


 ニニがブラジャーを脱ぐ寸前…取調室のドアが開く。

 神官と思われる男性と…女性騎士が入ってきた。

 おお…女性騎士だ…いるんだ女性の騎士!


 神官と女性騎士は部屋に入ってくるなり…おっさん騎士を睨み付ける。

 そして何やら会話する3人。

 おっさん騎士は別に何でもありませんよ~という感じで神官と女性騎士に答えている。


 女性騎士がニニの側にやってくると…優しい笑顔で話す。

 ニニは外れる寸前のブラのホックを直し…ワンピースを着た。

 服を着たニニをお母さんが抱きしめる。

 女性騎士は笑顔で見ているが、おっさん騎士は面白くないと言わんばかりの不満顔だ。


 神官と女性騎士がやってきてすぐに、ニニ達は取調室を出て馬車に乗り込んだ。

 神官は馬車に乗らなかったが、女性騎士と…あのおっさん騎士も乗ってきた。

 俺はニニの持ち物を持っている使用人のような人に持たれている。

 馬車に揺られながらどこへ向かっているのか。

 それほど時間はかからず馬車は止まった。

 馬車から降りると…そこはあの大きな城の前だった。



 女性騎士とおっさん騎士に先導されて、ニニ達は城の奥へと向かう。

 そしていかにも偉そうな人がいる部屋の扉!といった感じの扉が開いて中に入っていく。

 奥の玉座には…ボインが座っていた。

 違う、ボインじゃない。

 胸が大きい綺麗な女性が座っていた。

 女王…か?


 女性騎士もおっさん騎士も、ニニもお母さんも全員が膝をつき頭を下げる。

 女王の一言で、女性騎士とおっさん騎士が顔をあげる。

 女性騎士が女王に何か報告している。

 続いて、おっさん騎士が報告だ。


 女王様!このおっさん騎士は悪い人ですよ!

 ニニの服と下着を脱がそうとしたんです!!

 そんな俺の心の叫びは届かない。


 女性騎士とおっさん騎士から報告を受けた女王は、ニニとお母さんの頭を上げさせる。

 そしてまず…お母さんに話しかける。

 あれ?…なんか親しそうに話してるんだけど。

 お母さんもお母さんで、女王に対して笑顔だし。


 「久しぶり元気だった?」 「元気でしたよ。女王様もお元気そうで何より」

 こんな会話をしているように思える。

 いや実際どんなこと話してるのか分からないけどさ。

 え?お母さんって女王と知り合いなの?

 女王と知り合いのなのに貧乏暮らしなの?!

 …訳わからん。


 お母さんとの会話を終えた女王はニニに話しかける。

 ニニはすごい緊張していた。

 お母さんと違って女王とは知り合いでは無いようだ。


 女王とニニが話していると…女性の神官が、例の薬草お茶のビンを持ってきた。

 女王がそれを受け取ると…ニニにそれを見せて何か聞いている。

 ニニは薬草お茶のビンを見ると、ビクッと震えた。

 女王に聞かれたことに…言葉を選びながら慎重に答えていくように見える。


 女王はニニの言葉を真剣に聞いていた。

 笑顔のまま。

 作り笑顔なのか…俺には本当に嬉しそうに見えるけど。


 ニニは女王の質問に答えていくが…言葉が止まってしまった。

 視線を泳がせて、あきらかに動揺している。

 そんなニニの様子を女王は咎めることなく、優しい声でニニに語りかけてくれる。

 ニニも女王の声を聞いて安心したのか…一瞬の沈黙の後…




 ニニは俺を指さした。





ステータス

すりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

状態:空飛ぶ少女のすりつぶすのが得意な冷たい魔力の木の棒

レベル:4

SP:0

スキル

魔力:レベル2

氷魔法:レベル1

薬調合:レベル1


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