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神様、ちょっとチートがすぎませんか? 作者:七草裕也

 第四章の追録

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【コギャル神様】 ありゃまっ!! 毛玉になっちゃったっ!!

恒例、章終了後の追録です。

神様世界から色々やっかいな人達がやってきますよ!!
 神の世界は基本的に白い。
 地面も空だけではない。家の壁も装束も白が基調である。
 別に規則として白くしなければいけないと決まっているわけではない。
 昔からの慣習をわざわざ破ろうという神などあまりいないというだけだ。
 ごく一部の例外を除いて。

 その例外中の例外、勇太くんをパドくんとして転生させたカルディお部屋は、日本の下手な女子高生の部屋よりもよっぽどカラフルに彩られていた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(以下、カルディの一人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ルンルンルンルンルン♪」

 鼻歌を奏でながらお化粧をする私。
 ふぅみゅ、鏡に映る私の顔は今日もうつくしいっ!!
 あー、でも、ちょっとマスカラのノリがイマイチかなぁ。
 うーんと、ここをもうちょっと……あーでも、これじゃあ、左右のバランスが……

 え?
 私は誰かって?

 ふふふふ、聞いて驚くな、私は神様なのだ。
 ピチピチ美人神様カルディちゃんとは私のことよ、えっへん。
 今日も今日とて、私は自分の美を磨いている。

 やっぱねぇ、神様たるもの見た目の美しさには常に気を使いたいわけよ。
 だって、地上の皆だってどっかの係長みたいないつもしかめっ面の親父神様よりも、私みたいな若くてピチピチした神様の方がお祈りしがいがあるってもんじゃない。

 もちろん、仮にも神様だからお化粧なんてしなくても姿は変幻自在よ。
 でもね、こうやって地上の人間と同じようにお化粧を使って美を極めることは、神様にとっても意味があると私は思うわけよ。
 自由自在に変身できることになれた神様は、人間が一生懸命美を極める行動の価値を理解できなくなっちゃうわっ!!

「うーん、さすがにガングロファッションは飽きたなぁ。今日からはカラフルファッションにしようかしら。髪も七色に染めて……」

 鏡をのぞき込みながら私がそんなことを考えていると、突然キニトが鳴った。
 キニトっていうのは、神様が色々なことをするための情報端末みたいなモノ。
 まあ、地上のスマホとかタブレットみたいなもんだと思えばいいんじゃない?

「あら、バスさんだ」

 私の直属の上司、係長バスさんからの通話だった。

「なぁーに、バスさん? 私、まだお化粧中なんだけど……」

 ふくれっ面を浮かべながら私は言う。まあ、向こうには見えないケド。

「私はバスティーニだっ!! 上司の名前を省略するなっ!! 化粧中って、お前は1日の半分以上を化粧の時間に充てているじゃないかっ!!」
「やぁーねー、さすがに化粧で1日の半分以上は無いわよぉ。洋服を選ぶとか、肌の保湿とか、お昼寝とかの時間もあるし……」
「仕事の時間を増やせと言っているんだっ!!」
「そんな無理を言われてもっ!!」
「なにが無理だぁぁぁぁ」
「バスさん、オコっちゃダメ、もういい年なんだから血圧上がるわよ」
「神に血圧があってたまるかぁぁぁぁぁぁっ!!」

 うーん、バスさんってば、いっつも怒っているなぁ。
 もう少し楽しく暮らした方が精神衛生上いいと思うんだけどなぁ。

「ええええぃ。今はそんなことはどうでもいいっ!!」
「どうでもいいなら一々どならないでよぉ」

 私の言葉に、キニトの向こうが少し沈黙した。
 いや、バスさんの『くぅぅぅ』といいう言葉にならない(うな)り声は聞こえるけど。
 うーん、本当に大丈夫かなぁ。いくら神様でも、こういつもいつもイライラしているのはあんまり良くないと思うんだけどなぁ。

「……とにかく、今すぐ私のところへ来い。上からの呼び出しだ」
「えー、セクハラ部長? やーよ。アイツが私を呼び出すなんて、嫌な予感しかしないもん。この間だって廊下ですれ違いざまに腰をなで回してきたのよっ!!」
「部長ではない。もっと上だ」
「ほへ? もっと上って……だれ?」
大神(デオス)様だ」
「……でおす? それ、誰だっけ?」

 今度こそ本当にバスさんは沈黙した。

「あれ? どーしたの、バスさぁ~ん? キニト壊れちゃったかな?」
「壊れているのはお前の頭だぁぁぁぁぁぁぁ。よりにもよって大神(デオス)様のお名前を知らない!? お前の脳みそはどうなっている!?」
「ノーミソって言われても、ほら、神様は魂だけの存在だし、脳みそなんてないわねぇ」
「揚げ足取りの時だけもっともらしいことをいうなぁぁぁぁぁ」

 バスさん、本当に叫びすぎ。
 でも、そういうところがちょっとカワイイなって思っちゃう私の乙女心♪

「それで、でお……なんとかって誰?」
大神(デオス)様だっ!! 全ての神々を創造された我らが父にて母、全ての神と世界を治める方だっ!!」
「おおっ!! なんかカッコイイけど中二病っぽいねっ!!」
「……ある意味、お前のその性格はうらやましくすら感じるぞ」
「やだなぁ、そんなに褒めないでよ」
「とにかくっ!! 大神(デオス)様をお待たせするわけにはいかん。今すぐ私の部屋に来い!!」

 それだけいうと、キニトの通信が切れた。

 あー、うるさかった。
 でも大神(デオス)様かぁ。
 一体何のようなんだろうね?
 偉い人っぽいけど……

 あっ!! もしかしたら『カルディちゃんキミはカワイイからもっとお給料を上げてあげるよ』とかそういう話かな?
 それとも、出世とか……一気に部長まで昇進したりして。

 あーでも、『その代わり、キミの体を私に捧げなさい』とか言われちゃったらどうしよう!?
 きゃあぁぁぁ、カルディちゃんの純潔の危機!?

 私は思わず顔をポッと赤く染めていた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(以下、三人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「でっかぁぁぁぁ」

 そのやたら派手な姿をした若き女神は大神(デオス)を一目見るなり言った。
 彼女の横には2人の神。こちらはひたすら畏まっている。

「ねぇねぇ、バスさん、スゴイよ、あの人でっかいよ、ありえないよっ!!」

 まあ、確かに今の大神(デオス)は他の神と比べて2倍程度の大きさがある。
 別にどんな姿にでもなれるが、一応他の神への威圧感などを考えてそうしているのだが……

「ば、ばか、いいから座って頭を下げとけっ!!」

 バスさんと呼ばれた神が慌てて言う。

「……この3人が今回の問題の原因だったな」

 大神(デオス)は傍らに控えた腹心のバライに尋ねる。

「はい」
「念のために聞くが、あの3人、私が作った天使が進化した神……だな?」
「はい。左からカルディ、バスティーニ、ルペースです」

 大神(デオス)は改めて3人を見る。

 ルペース……一見殊勝に畏まってはいるが、その実こちらを伺う目には嫌らしい光がある。まるで人間達の商人が客に揉み手をする時のようだ。
 バスティーニ……3人の中では一番まともそうだが、単なる苦労人にしかみえない。
 カルディ……七色に染まった髪だけでも論外。

「私の創造能力も落ちたものだな……」
「いえ、決してそのようなことは!!」
「いい、慰めはいらん」

 そんなことをバライと囁きあった後、大神(デオス)は3人の弾劾を始めた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(以下リペースの一人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「そ、そんなバカな……」

 俺は大神(デオス)様の説明を聞き終え、目を見開いた。

1.地上時間で3年と少し前、カルディが独断で10歳の子どもを転生させた。
2.その時パラメータの設定をミスし、200倍の力と魔力を与えてしまった。
3.カルディとバスティーニは共謀してその事実を隠蔽した。
4.パドとかいうその子どもが10歳になるまでになんとかしないと、魔力が暴走し転生先の世界は滅ぶ可能性がある。
5.さらに(デネブ)がパドに接触し、何事かを企んでいるらしい。

「以上だ。何か申し開きはあるか?」

 俺――ルペースは全身の震えを抑えることに必死だった。

 大神(デオス)様から直接呼び出しをいただいたとき、俺はついに部長から世界長に昇進できるのかと喜んだ。
 だが、これはそんな話ではない。
 俺たちは『弾劾』をされているのだ。

 マズイ、これは非情にマズイ。
 このまま俺まで共犯と見なされれば、クビだ。
 神にとってクビとは、つまり神の力を奪われ魔の世界に落とされるということだ。
 魔の世界とは何らかの罪よって神の地位から堕とされた存在――堕神(だしん)を永遠に苦しめるためだけに存在する、神専用の地獄である。

 とにかく、俺のあずかり知らないところの話だと示さなくては。

「バスティーニ!! これは事実なのか!?」

 俺は立ち上がりバスティーニに指を突きつけて叫んだ。

「……はい。事実です。全ては私の責任です」

 バスティーニは覚悟を決めたように言う。

「ふざけるなっ!! 俺は何も報告を受けておらんぞ!! 大神(デオス)様、私は何も知りません。この2人に厳罰を……」

 興奮しすぎて大神(デオス)様の前だというのに、前半の一人称が『俺』になってしまった。

「ちょっとっ!! 黙って聞いていれば勝手なことをっ!! そもそもアンタがきちんとパラメータ表示の変更について連絡をくれないから悪いんじゃないのっ!!」

 俺の言葉に、カルディが叫び返す。
 この娘はっ!!
 さんざん世話をしてやった恩を忘れて何を言うか。

「説明しようとしたらお前が俺を避けたんだろうがっ!!」
「毎度毎度お尻やら胸やらをベタベタ触ってくる上司なんて避けて当然でしょっ!!」
「うるさいっ!! 無駄にでかい乳と(けつ)しか価値のない女がよくもそんなことをっ!!」

 俺がカルディにつかみかかろうとした、その瞬間だった。

「黙れ!!」

 まるで神の世界全体が震えるかのごとき声を大神(デオス)様が上げた。

「もういい。お前達3人同罪だ。そもそも、部長たるお前がきちんと記録を精査すれば判明したことなのだからな」

 大神(デオス)様はそう断罪した。

「そんな……」

 俺はワナワナと震える。
 何故、俺がこんなバカどもと一緒に裁かれなければならないんだ。
 理不尽にもほどがある。

「本来ならお前達3人は今すぐクビだ」

 俺の中を絶望が支配する。

大神(デオス)様、どうか、どうかお許しをっ!!」

 俺は大神(デオス)様に懇願する。

「まあ、私も鬼ではない。どうしてもというならばチャンスをやろう」
「ほ、本当ですか!?」

 一筋の光明を見つけ、俺は勢い込む。

「お前たち3人、神の能力を剥奪。地上の生物としてパドが転生した世界に行け。そして、パドを5年以内に抹殺しろ。それが出来た(あかつき)には、お前達の神への復帰を許そう。だが、それがかなわなかったとき、お前達は地上で短い生を果てるがいい」

 そういうと大神(デオス)様の瞳が光った。

 次の瞬間、俺の意識は反転した。
 遠のく俺の意識に『よいな、パドを抹殺するのだぞ』という大神(デオス)様の声が響き続けていた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

(以下、カルディの一人称)

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 ここは……どこ……私は……

 そう、私はカルディ。
 若き神様。

 だけど……

 体が重い。
 酷い刺激が辺りに漂っている。
 しれに、やたらと疲労を感じる。

 いったいどうなって……

 私は起き上がろうとし――自分に手足が存在しないことに気がついた。

(なに? これ? どういうこと!?)

 パニックになりつつも、自分の体を確認する。
 鏡がないから分からないけど、たぶん今の私は丸い。
 いや、本当に。
 ほとんど球体のような身体に、目と口と鼻と羽がくっついている。

 地面は――土?
 神の世界には土なんて園芸場にしかないけど、これは土だ。
 回りにはやたらと大きい木。

 そして、少し遠くを見てみると、2人の少年が倒れている。

 色々確かめたいが、足がないので歩けない。
 試みに羽を動かしてみる。

 お、ふわふわと飛べた。
 まるで、身体が飛び方を知っていたかのようだ。

 おおー、結構楽しい。
 風を切るように飛べるっ!!

 うん?
 風?

 間違いない、ここには空気がある(・・・・・)
 さらに言うなら、身体が重いのは重力のせいだろうし、先ほどから感じる刺激は自然の匂いというヤツだろう。

 どれも神の世界には存在しないモノだ。

 そして大神(デオス)の最後の言葉を思い出す。

 間違いない。
 ここは地上だ。
 私はこの毛むくじゃらのまん丸生物にされて、地上に堕とされたのだ。
ということで、カルディさんはパドくんの世界に毛玉のモンスター(?)として“堕とされ”ました。
実のところプロローグを書いていた当時から、カルディさんがパドくんの世界にやってくることは作者の中で予定されていました。
本格参戦は次々章からになるかと思いますが、アル王女、キラーリアさんに次ぐ第3のヒロイン枠です。

……三大ヒロインが盗賊暴力王女、頭の固い騎士少女、コギャル毛玉モンスターってどうなんだと我ながら思うわけですが(;´Д`)

次回から第5章。ラクルス村編最終章になります。
教会と王家、そして再び現れるあの存在。
小さな田舎のラクルス村で、起きる新たなる戦い。

はたしてパドが選ぶ道は!?

第5章終了後は学園編になります。
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