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神様、ちょっとチートがすぎませんか? 作者:七草裕也

 第三章の追録

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【黒き世界と白き世界】who is player?/who is chessman?

第4部の前にこんな話を。
タイトルも含めてあえて解説しません。

【2016/09/30】
章の掲載順を変更するための再投稿です。
新規投稿ではありませんのでご了承ください。
 どこまで行っても真っ黒な世界。
 光など無い世界で、2つの存在(もの)がにらみ合っていた。
 相手を見るのに光はいらない。
 この世界の住人達には肉体が無く、肉体の無き者に網膜なども存在しない。

 2つのうち1つは小柄だった。
 人間達の常識であれば、子どもというよりも、幼児といった方が的確な背格好の少年だ。

 もう1つは巨大である。
 狼に(つの)が生えたような頭を持ち、四足で立っている。
 幼い少年の身長は、その獣の小指の先ほどでしかない。

「ずいぶんとかわいらしい姿だな」

 獣が口を開けること無く少年に言った。
 肉体を持たない者達の会話では、声帯を震わして音を出すこともない。
 言葉は言葉として精神に響く。

「キミの姿が大仰すぎるんだよ」

 少年はからかうように応える。

「ふん、まあいい。今回の始末、どうつけるつもりだ?」
「おやおや、まるで僕が失敗したみたいな言い方だね」

 自分よりも遙かに大きな獣を相手に、少年は余裕の笑みを浮かべる。

「せっかく作り上げた駒を1つ消耗して、(くだん)の子どもを引き込むことが出来なかったではないか。これを失敗と言わずして何という?」

 獣が睨むが、少年は素知らぬ顔だ。

「いきなり僕らの狙いが全てかなうわけ無いだろう? あのパド――勇太? どっちでもいいけど、彼って結構頑固そうだったしねぇ。なかなかこちらの望む契約をしてもらうのは難しいよ」
「『難しい』とあきらめるわけにはいかない」
「だからこそ段階を踏んでいるんだよ。キミは馬鹿だからわからないだろうけど、相手を騙す早道は相手に自分を信頼させることなんだよ」

 獣の顔にわずかに不快感が浮かぶ。

「俺は馬鹿では無い。騙し合いが好かぬだけだ」
「それが馬鹿だと思うんだけどね」

 獣を鼻で笑う少年。

「お前は騙し合いを好みそうだな」
「別に好むってわけじゃないけど得意だとは自負しているよ。ま、キミも少しは僕のこと信頼してよ」
「騙し合いが得意だと言った直後に、『自分を信頼しろ』か。ずいぶんと都合のいい話だな」
「あははは、キミも皮肉を言うくらいの知性はあるんだね」

 皮肉に皮肉で返され、獣はさらに不快な表情を深めた。

「……いずれにせよ、ようやく憎き神々につけいる隙がでたのだ。いくつもの世界が滅び誕生するほどに待ったこの機会、逃すわけにはいかん。なんとしてもあの少年を『落とせ』」
「もちろんそうするさ。僕自身のためにもね」
「ならば今少し、お前に任せよう」

 そう言うと、獣の姿がすっと消えた。

(何が『任せよう』だ、犬っころめ。お前の頭じゃ誰1人『落とす』ことなんてできねーよ)

 少年は消えた獣に内心毒づく。

(それにしても神々か。さすがにそろそろあいつらも気づいているだろうな。一体どんな妨害を仕掛けてくるか……。まあいいや、直接手駒を動かせる僕らの方があの世界に限った局所戦では有利だし。これから楽しくなるぞ)

 これまで様々な世界の誕生と滅びを見てきたが、どの世界でも文明が発達すると何故かチェスと似たボードゲームが開発される。
 駒を動かし相手と頭脳戦を行うゲームは、知的生命体にとって極めて面白い遊びなのだろう。
 1人黒き世界にたたずむ少年もまた、人類()を使った知的ゲームを楽しもうとしていた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 どこまで行っても真っ白な世界。

「なかなかにやっかいだな」

 大神(デオス)は幼い少年の姿を見ながら呟くように言う。
 大神(デオス)は全ての神々の(おさ)であり、神の創造主によって生み出され、他のあらゆる神を生み出した存在である。

 少年が目の前にいるわけではなく、画像や映像があるわけでもない。
 大神(デオス)もまた肉体無き者。網膜など持たないないが、神の創った世界の一部の状況を意識に転送することはできる。
 確か少年の名前はパドだったか。

「はい。我らがこの少年の異常さを感知する前に(デネブ)どもが接触するとは」

 バライは頷いた。
 バライは大神(デオス)が最初に生み出した神だ。

「それにしても、このパドとかいう子どもの潜在魔力は尋常ではない。明らかに確率分布外だ」
「確かに不自然ですな」
「早急に原因を探る必要がある。ただし、内密にな」
「御意」
「それで、此度(こたび)の対処はいかがいたしましょうか」
「あの少年は抹消するべきだろう。このまま成長すればやがて魔力暴走を起こし、あの世界そのものが危うくなる。それ以上に奴等の動きが不透明すぎる」
「して、その手段は?」

 大神(デオス)といえど下界に直接関与はできない。パド少年を殺すとしても神が直接手を下すことは不可能なのだ。

「幸い、あの世界の教会は神託に従って行動を起こすようだ。ならば彼らに件の少年を抹殺するように命じればいい。魔力暴走の懸念も併せて伝える」
「なるほど。それならば()の世界の内輪で話はすみますな」

 バライは大神(デオス)に尊敬のまなざしを向けるが、大神(デオス)からすればそのくらいのことは自分で思いつけといいたい。

「それにしても憎むべきは(デネブ)ども。世界を創る役目を創造主よりいただいた我らに逆らうとは許しがたき愚か者どもです」

 バライは吐き捨てるように言う。

「……バライよ、そもそも(デネブ)とはなんだと思う?」
「神を侮る愚か者達です」

 疑問一つ持たず、あっさりそう答えるバライに、大神(デオス)は少しいらつく。

「そうか……まあいい。お前は少年の異常な魔力を持って生まれた原因を調べろ。私はこれより神託の準備に入る」
「は、かしこまりました」

 バライは答えるとその場から消えた。

 1人残った大神(デオス)は黙想する。
 確かにバライの言うとおり、自分たちはたくさんの世界を創ってきた。
 まさにその偉業は神の名にふさわしい。

 だが。

 創造主は大神(デオス)共に(デネブ)達を創り出した。
 (デネブ)は世界を創ることは出来ないが、神々が創り上げた世界にちょっかいを出して滅びへと向かわせようとする。

 世界を創る存在(もの)と世界を滅ぼす存在(もの)
 相反する2つの存在(もの)を同時に産み出した創造主の意図とはなにか。

 なぜ創造主は神にも(デネブ)にも、創り出した世界への直接干渉を禁じたのか。
 神と(デネブ)を間接的に世界の一部だけに関わらせる意味は何か。
 数少ない手札と駒で世界を操らせる。
 まるでゲームをプレーさせているかのように。

 世界を創るのが大神(デオス)達であるなら、その大神(デオス)と神の暮らすこの白き世界を創った創造主とはいかなる存在(もの)か。

 世界を創造する神を創った創造主。
 では、創造主を創ったのは誰だ?
 創造主を創った存在(もの)を創ったのは誰だ?
 創造主を創った存在(もの)を創ったの存在(もの)を創ったは誰だ?

 ……この永久にループする疑問に誰が答えられる?

 神と(デネブ)が人間を駒にしたゲームのような戦いを強いられる理由は、自分達も誰かが操るゲームの駒にすぎないからではないのか。

(いや、こんなことを考えても栓なき事か)

 駒は駒としてプレイヤーによって動かされるしかない。
 自分がもしも創造主の駒であるというならば、駒のつとめを果たそう。
 これから自分たちが神託で操ろうとする()の世界の人々と同じように。
抽象的な発言が多く申し訳ないです。
今の段階であんまり具体的に書くとネタバレしすぎなので。

なら、そもそも書くなって話なのですが、まあ、作者の中二病が発祥したと思ってください( •̀ㅁ•́;)

次回より、第4章『獅子と少年』がはじまります。
いよいよヒロインが登場する……かも?
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