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神様、ちょっとチートがすぎませんか? 作者:七草裕也

ラクルス村編 第二章 月始祭/闇の襲来

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4.落下

いかにも謎の怪しい幼児(の姿をしたヤツ)と契約を交わしたパドくん。
果たしてお母さんを救い『闇』を倒せるのか?
そして、パドくんに契約を迫ったヤツの目的は!?
 頭の中に、彼の指から何か熱いモノが流れ込んでくる。
 それは『魔法』、そして授けられた『魔法の知識』

「よし、終わったよ。与えた魔法の使い方は分かるね?」

 彼は僕の額から指を離していった。

 ああ。わかる。
 彼にそう答える。
 でも、回復魔法は1回きりかよ。

「ボクが与えると言ったのはお母さんを助けるための魔法だ。恒久的に使える回復魔法を与えるなんて言った覚えはないね」

 なんか、へりくつっぽい。

「その代わり、攻撃魔法の方はずっと使えるよ。ヤツにもちゃんと効くしね。当たればだけど」

 確かに、もらった魔法を考えると、『闇』に当てられるかどうかはかなり自信がない。
 この魔法で本当に僕は『闇』を倒せるのか?
 もっと便利な飛び道具とかを期待していたのだけど。

「家族の命をくれたら飛び道具も授けようかと思ったんだけどね。回復魔法もあるし、左手首だけじゃ、それ以上あげる気にはなれないねぇ」

 彼はそう言ってニヤニヤ笑う。
 まるで、僕が『やっぱり家族の命も差し出します』っていうのを待っているかのようだ。

「あれ? バレた? その通りだけどどうする? 家族の命くれる?」

 絶対に断る。

「あっ、そう、じゃあ頑張りな。ボクが両手を叩いたら元の世界に戻って時間が動き出すからね。今のキミはヤツに首を絞められた状態だっていうのを忘れないように」

 確かにそうだった。
 時間が動き出したら『闇』の指からすぐに抜け出さないと。

「サービスでもう1つアドバイス。キミの母親の傷はかなり深いからね。ヤツの束縛から逃れたら、すぐに与えた回復魔法を使った方が良い。ヤツを倒してからなんて思っていた手遅れになりかねない」

 わかった。

「最後に。もしもっと強力な魔法が欲しくなったらいつでも呼び出してくれ。キミとならいつでも契約してあげるからさ。もちろん、対価を渡すならだけど」

 絶対ゴメンだよ。

「そうかい、ま、人の心は移ろうモノだからね。頭の片隅にでも選択肢の1つとしておいておくといいよ。キミには前世と今生あわせて6人も家族がいるんだから」

 6回は契約できるとでも言いたいのか?

「さぁ、どうだろうねぇ」

 本当にむかつくニヤニヤ顔だ。

 ……って、あれ? 6人?
 前世の両親と弟、今生の両親と僕の家族は5人のはずだけど。
 1人多くない?

「さーねぇ? 左手首1つでこれ以上情報をあげる義理はないなぁ」

 ニヤニヤがニタニタになった。
 中途半端に情報を与えられた僕が混乱するのが楽しいといわんばかりだ。

「おー、よくわかったねぇ。勘が良いねぇ」

 うわ、むかつく。
 まあ、もう1人の家族がいるとしても、前世での話だろう。
 僕が死んでから3年も経っているのだから、弟か妹が産まれていてもおかしくない。

「さー、どーだろうねぇ? ま、そんなことより、そろそろ時間を動かすよ」

 そういって、彼は両手を叩いた。

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 瞬間。
 僕の意識が村の上空へと戻る。
『闇』の指はあいかわらず僕の首を絞めようとし続けている。
 両手でそれを握ろうとして――自分の左手首がなくなっていることに気がついた。

 契約した以上、左手首が無くなることは覚悟もしていた。
 確かに痛みはないし、出血もしていない。
 骨が露出しているわけでもなく、きれいな切り取り方――なのかもしれない。

 ――それでも。

 やっぱり自分の手首が消えているのはショックだ。
 前世でも両手は自分の意思で動かせたし、物を掴むこともできた。
 僕の左手は2度と物を掴むことはできない。

 だけど。

 そんなことをいつまでも考えている場合じゃない!!
 はやくこの指から逃れないと。
 お母さんは刻一刻と命を削られているんだ。

 僕は『闇』をギッと睨む。
 そして、右手に力を込める。

 この世界の魔法に呪文は必要ない。
 契約後なら、魔力がある限りいつでも念じるだけで魔法を具現化できる。
 僕の右手の中に漆黒の刃が現れた。
 長さは50センチほど。

『闇』の顔に初めて驚愕が混じったように見えた。

 ヤツがくれた攻撃魔法はこれだけだ。
 この刃が『闇』に効くとしても、剣術なんて習ったことがない僕に扱いきれるかどうか。

 ともあれ、僕の首に巻き付く『闇』の指に振りかぶる。
 漆黒の刃の威力は凄まじく、驚くほどあっさりと『闇』の指を切断できた。
 僕の首にまとわりついている指の残骸はシュッという音ともに消えてなくなる。

 支えを失った僕の身体が地面に向かって落下しはじめる。
 やべ、ここが10メートル近い高さだということを忘れていた。
 こままじゃ地面に激突する!!
 落ち始めてから気がつくとか、僕もマヌケすぎだ。

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!! 落ちるぅぅぅぅ!!」

 村の広場に向かって真っ逆さまに落ちる僕。

 死ぬ、死ぬ、死ぬ、マジで死ぬぅぅぅぅ。
 あほか、僕はぁぁぁぁ!!
 せっかく魔法を手に入れて、直後に落下死とかギャグにもならない。

 落下の恐怖に集中力を欠いたのか、右手の刃はすでに消えている。
 まあ、刃があってもどうにもならないけどっ!!

 くう、せめて頭から落ちるのは避けないと。
 手を動かしなんとか体勢をどうにか整える――(いとま)なんてあるわけもなく。

 アホすぎる僕は、頭から地面に突き刺さったのであった。
まあ、そりゃあ上空で拘束されていた状態から抜け出せば落っこちますわな……
本人も思っているとおり、あまりにも間抜けすぎますが、戦いなれていないというか、喧嘩すらしたことがないので、逃れることだけに一生懸命だったのでしょう。

果たしてパドくんは生きているのか!?

……ってまあ、これで主人公死亡じゃああんまりすぎますわな……
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