僕は磐神武彦。高校二年。もうすぐ三年だ。
でも、なれるかな?
そして、非常に怖かったが、姉に相談してみた。
「あのさ」
夕食後、唐突に切り出してみる。姉は食器を片付けながら、
「何?」
あれ? 妙に機嫌がいいけど? どうしたんだ?
「実は、このままだと留年しそうなんだ」
とても怖かった。こんなことを言えば、拳骨が飛んで来そうなので。
「ええ? ホントなの?」
姉は食器を戻し、椅子に座り直した。
「う、うん。それで、姉ちゃんに勉強を見てほしいんだけど」
「わかった」
は? 僕はとても間抜けな顔をしていたと思う。
そんなすぐにOKがもらえるとは思っていなかったのだ。
「何よ、その顔? 姉ちゃんじゃ無理だと思ってる?」
姉はプウッと頬を膨らます。何だか可愛い。
「そ、そんな事ないよ。断られるかと思ったんだよ」
「何で姉ちゃんが、可愛い弟の頼みを断るのよ?」
いや、去年断ったし。もう忘れてるのかな?
「で、どの教科が危ないの?」
姉は真剣な表情で尋ねた。
「体育以外、全部」
人は本当に驚くと声も出ないというのは本当のようだ。
姉はしばらく動かなかった。
「あんたねえ……」
「ご、ごめん! 無理だよね」
僕が先回りして謝ると、
「姉ちゃん一人じゃ無理だから、ダーリンにも頼んであげる」
「ええ?」
うわあ。姉の彼の力丸憲太郎さんに勉強を見てもらうの?
それも何か恥ずかしいな。
「いいの、そんな事頼んじゃって?」
「いいに決まってるじゃないの、将来あんたのお兄さんになるんだから」
姉のその言葉にハッとする。姉がご機嫌な理由がわかった。
「プロポーズされたの?」
僕がニヤッとして尋ねると、姉はクネクネし出して、
「うん」
と嬉しそうに言った。
「おめでとう、姉ちゃん」
「ありがとう」
こんなに嬉しそうな姉を見るのは久しぶりだ。
僕が高校に合格した時以来だろうか?
そしてまた複雑な気持ちの僕がいた。
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