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高校二年編
その十四
 僕は磐神いわがみ武彦たけひこ。高校二年。もうすぐ三年だ。

 でも、なれるかな? 

 そして、非常に怖かったが、姉に相談してみた。

「あのさ」

 夕食後、唐突に切り出してみる。姉は食器を片付けながら、

「何?」

 あれ? 妙に機嫌がいいけど? どうしたんだ?

「実は、このままだと留年しそうなんだ」

 とても怖かった。こんなことを言えば、拳骨が飛んで来そうなので。

「ええ? ホントなの?」

 姉は食器を戻し、椅子に座り直した。

「う、うん。それで、姉ちゃんに勉強を見てほしいんだけど」

「わかった」

 は? 僕はとても間抜けな顔をしていたと思う。

 そんなすぐにOKがもらえるとは思っていなかったのだ。

「何よ、その顔? 姉ちゃんじゃ無理だと思ってる?」

 姉はプウッと頬を膨らます。何だか可愛い。

「そ、そんな事ないよ。断られるかと思ったんだよ」

「何で姉ちゃんが、可愛い弟の頼みを断るのよ?」

 いや、去年断ったし。もう忘れてるのかな?

「で、どの教科が危ないの?」

 姉は真剣な表情で尋ねた。

「体育以外、全部」

 人は本当に驚くと声も出ないというのは本当のようだ。

 姉はしばらく動かなかった。

「あんたねえ……」

「ご、ごめん! 無理だよね」

 僕が先回りして謝ると、

「姉ちゃん一人じゃ無理だから、ダーリンにも頼んであげる」

「ええ?」

 うわあ。姉の彼の力丸憲太郎さんに勉強を見てもらうの?

 それも何か恥ずかしいな。

「いいの、そんな事頼んじゃって?」

「いいに決まってるじゃないの、将来あんたのお兄さんになるんだから」

 姉のその言葉にハッとする。姉がご機嫌な理由がわかった。

「プロポーズされたの?」
 
 僕がニヤッとして尋ねると、姉はクネクネし出して、

「うん」

と嬉しそうに言った。

「おめでとう、姉ちゃん」

「ありがとう」

 こんなに嬉しそうな姉を見るのは久しぶりだ。

 僕が高校に合格した時以来だろうか?

 そしてまた複雑な気持ちの僕がいた。
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