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自作小説の世界に召喚されたので俺は未完放置する(エタる)のをやめました! 作者:冬塚おんぜ

第三章 魔女達の在り方

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第五十三話 「こういう最期もアリかもね」


 カラン、チャリ、チャリ……。
 乾いた金属音と、頭上から滴り落ちた水滴で、俺は目を覚ました。
 身体の半分に、冷たくて固い感触がある。

「ここは……」

 俺は起き上がって、まずは辺りを見回した。
 外は雨が降っているらしく、シャワーじみた音が響いている。

 真っ暗で、何も見えない。
 鞄もパソコンも奪われているようで、真っ暗な部屋をいくら探しても見当たらなかった。
 なんなんだ、ここは。

『――なら勇者ファルドに伝えておけ。大切な男が、磔刑の塔にて待っているとな』

 脳裏を過ぎるのは、オフィーリアの言葉だ。
 て事はもしかして俺は、磔刑の塔とやらに連れ去られたのか!

 とは言っても、そんなダンジョンは俺の記憶には無い。
 多分、設定補完された部分だろう。
 それにしても、磔刑の塔って。
 不吉すぎる名前だ。

「――……レイヴ、グレイヴ」

「!?」

 な、何だ!?
 掠れた男の声が、闇の中で木霊する。

「誰か、そこにいるのか?」

「……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ」

「なあ、あんたも、ここに繋がれているのか?」

「……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ」

 くそ、薄気味悪いな……。

「頼むよ、何でもいいから返事してくれ!」

 というか声、結構近いな。


 カッ――と一瞬の稲光が辺りを照らした。
 遅れてゴロゴロゴロと鳴り響く雷鳴。
 その中で俺が見たのは、外側から鉄格子にしがみつく……逆さ吊りの男だった。

「う、うわあああああッ!?」

「ンベロベロベロベロレロレロレロレロ!」

 何だよお前!
 なんなんだよお前!?

「……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ」

 胴体はローブで覆われていて、両足は鎖で縛られていて……。
 骨と皮しか残されていない顔の、その両目は空洞だった。
 なのに何故か俺は、その男に見つめられているような気がしてならない。

 悪夢だ。
 ファルド達が助けに来るまで、俺はこいつと一緒に居なきゃならないのか?

「……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイヴ、グレイヴ……ブレイム、ブレイヴ、スレイ……――」

「――あああああああああああああああああああッ!! ああああ! うわああああ!」

 俺は鉄格子を何度も蹴飛ばした。
 ふざけんな! ふざけんなよ!
 お前、何の恨みがあって俺にこんな仕打ちをしやがるんだ!

「メッセージ……セージ……セージ、メッセージ……セージ……パージ……メッセージ……セージ……パージ」

「今度は何だよ!」

「……」

「……」

「お前は才能が無い時間の無駄異世界に飛ばされて舞い上がって下手なもの作って勝手に舞い上がって評価思い込んでみんなに押し付けて今どんな気持ちか今お前言って見ろお前もういい加減諦めたら筆を折って眠って俺が勧める俺の大好きな俺の俺の俺の俺のおれれれれれれののののの」

 逆さま野郎の口から出て来たのは、継ぎ接ぎにしたような言葉の羅列だ。
 だが、その幾つかは聞き逃さなかった。
 確実に、俺について知っているような口ぶりだった。

「俺がどこから来たか、知っているというのか!?」

「メッセージ……セージ……イヒッ! ヒーヒヒヒヒヒヒッ!! イヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

 駄目だ、話が通じない。
 こいつを相手にしていたら、俺までおかしくなりそうだ。
 そんな事より、俺はどうして捕まった?
 誰を助けようとした結果、ここに来た?

「――そうだ、案内人は!」

「やあ」

 果たして案内人は、俺のすぐ隣の牢屋で横たわっていた。
 暗闇に目が慣れてきて、ようやく俺は崩れかけの壁からその姿を確認できた。

 攫われてから手元に無いと思っていたパソコンは、何故か案内人が持っていた。
 そして何故か、案内人はパソコンを何事も無く弄っていた。
 画面……見えなかったんじゃ、なかったんだな。

「君達がうるさくて、目が覚めちゃったよ」

 と語る案内人は、覇気が全く感じられない。
 ていうか、この状況で眠るとかどういう神経してんだ。
 自分の状況をわかってないのか!

「なに暢気なこと言ってんだ! 捕まっちまったんだぞ、俺達!」

 すぐ近くに宙吊り野郎がいるのも無視して、俺が声を荒げた。
 それでも、案内人は「あはは……」と力無く笑うだけだ。

「こういう最期もアリかもね」

「最期って、お前……!」

 投げやりすぎるだろ。
 さんざっぱら思わせぶりなセリフを残して、伏線っぽいもの大量に残していってよ。
 助けに行った俺は、一体何だったんだよ!?

「何もする元気も無いんだ。いくら頑張っても、結局こういう風に、誰かに邪魔されて」

「悪いが、俺にわかるように話してくれないか?」

「ん、ああ。ごめんね。そうだよね……」

 案内人は適当な瓦礫に腰掛けて、苦笑する。
 かなり凹まされたっていうのは見れば解るんだが、その理由を知らないとな。
 今までコイツは、何をやってきたのか。

「最初から……最初から教えてくれ」

「こうなっちゃった以上、ネタバレしちゃってもいいよね」

「バーンとぶちまけちゃってくれ」

「まず、あたしは現実世界の、日本からやってきたことから。薄々気付いてたとは思うけど」

「……そう、か。俺と同じ世界から来たんだな」

「ごめんね。隠しといたほうが、何かと都合が良かったんだ」

 こりゃ文字通り、狐に化かされたって感じだな。
 肝心の狐ちゃんは、心がポッキリ折れてるが。

「あたしは、メイ・レッドベル」

 唐突な自己紹介。
 案内人って名前はやっぱり偽名だったんだな。知ってた。
 それにしても。

「メイ・レッドベル……」

 何処かで見た名前だ。
 いや、直接その名前を見たワケじゃない。
 ただ、何となく、懐かしいような……。

「わかんないか。まあ、しょうがないよね」

 それから、メイはぽつぽつと、今までの出来事を話し始めた。


 吊された魔道師の杖
 磔刑の塔で吊されていた、狂気の魔道師が用いた杖。
 通常の杖とは逆の持ち方で使用する為、道具に明るくない者は混乱する。

 吊された魔道師は己の両脚を縛り付けていた鎖を自在に操り、自らの領域に踏み込む者を容赦なく排除した。
 塔に響き渡る彼の哄笑は、そういった犠牲者への嘲笑なのだろうか。
 彼は正気を失って久しく、また彼を知る者も既に居なくなってしまった。
ふつつか者ですが、ランキング登録しておりますのでよろしくお願い申し上げる次第です。
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