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自作小説の世界に召喚されたので俺は未完放置する(エタる)のをやめました! 作者:冬塚おんぜ

第五章 魔王は誰の手に

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第九十七話 「なんでもいいわ、服の体をなしていれば」


 ドーラは淡々と語ったが、その心痛たるや察するに余りある。
 コイツめっちゃ仲良しだったもんな、王様と。

 ……こんな時に俺達の不幸ハードラックダンスっちまった話をするのは、その、気が乗らないな。
 とはいえ、国の真相を伝えておいたほうがいいだろう。

 かくかくしかじか、と。


「――この城に、酒はあるか?」

 話が終わるなり、ドーラは真顔で俺達に問いかけた。
 アンジェリカはうんざりした顔で溜息をつく。

「酒で王様は生き返りませんし、後悔しますよ」

 お前の言うとおりだ、アンジェリカ。
 酒で人は生き返らない。
 だが、正論だけで人は生きていけない。

「アンジェリカ。この健康優良突撃女騎士のドーラさんが酒を欲しがるってのは、そうとう参ってる証拠だと思うんだが」

「はっはっは。シン殿に嘘は付けぬな!」

「うーん……」

「お酒かあ。お酒ねえ。頑張って探してみるよ」

「強めのもので頼むぞ」


 *  *  *


 メイが酒を見つけるや、ドーラはビンをひったくって飲み干してしまった。
 そしてそのまま爆睡。

「やっぱりというか、なんというか……ドーラもかなり参ってたんだな」

「あはは、そうだね……」

「それより、これからどうするのよ?」

「まずお前の服を見繕わなきゃ、だよな」

「そういえば、ボロボロね」

「やけに冷静だな。取り乱して殴ってくるかと思ったが」

 ちょっぴり嫌味も交えたツッコミを入れてみた。
 が、アンジェリカは相変わらず平然としている。

「もっと恥ずかしい姿を見せちゃったから、ね」

「あー……」

 修羅モードの時の記憶、あるんだな。
 それを考えれば、確かに今更って感じもしなくもない。

「動きやすいから、別にいいかなって」

 どういう理屈だよ!
 魔女になったせいで、羞恥心がオミットされちまったらしいな。

「だが、ファルドがその姿を見てどう思うかって話だよ」

「……そうね。メイ、この城に服はあるかしら」

「作ればあるよ。手伝ってくれる?」

「もちろん。ありがと」

 手作りとは、また気の長い話だな!
 まあでも、無いよりマシだ。
 布一枚隔てたその先は完全に年齢制限モノだからな。

「デザインはどうする?」

「なんでもいいわ、服の体をなしていれば」

「じゃ、あたしとお揃いにしよう!」

 アンジェリカはメイの胸元を一目見て、それからジト目で顔へと視線を移した。
 そうだよな、お揃いにしたらまずそこのサイズがな……。

「遠慮しとく。他に無い?」

「メイ。こういうの、どうだ?」

 適当に検索した、ネトゲの画像を見せる。
 ローブを纏ったミニスカートの魔法使いが表示されている。
 頭には、魔女っぽいとんがり帽子だ。

「あー、いいね!」

「二人だけで納得されても、私それ見えないんだけど」

「そっか、ごめんね。でも、いいデザインなのはあたしが保証するよ!」

「アンタのセンスが心配なんだけど」

「俺からすれば、その格好で平然としてるほうが心配だ」

「それは、その……うん。私、もっと素直にならなきゃね」


 そんなワケで始まりました、服作り。
 まずはステップ1!
 デザイン!

 画像検索した資料を元に、全身図を起こします。

 本当は縫い方とかが乗ってるといいんだが、あいにく設定資料集なんて出版してないゲームだ。
 自前でどうにかするしかない。
 まあ前面、背面の画像を見付けられただけでも御の字って事で。

 縫い方についてはメイがどうにかしてくれた。
 さすが元コスプレイヤー。
 造形に精通しているので、フォルムからその辺を逆算してくれた。

 もちろん、採寸も忘れてないぞ。
 俺はその際、部屋を出た。
 当然だな。


 ステップ2!
 布探し。
 えー、白い布しかありませんでした。
 カーテン、シーツ、あんまり言いたくないが死体の服。
 全部、白しかない。


 ステップ3!
 作る!

 俺はいくつかの単純作業を担当するに留めた。
 下手こいて駄目にしちまったら、元も子もないからな。


 そうして出来上がった衣装に、アンジェリカが袖を通す。
 見事な出来栄えだった。

 サイズもジャストフィット!
 いかにも、魔女って感じがする。

 腕周りはゆるく作ってあるので、激しい動きでもそうそう破れない。
 ニーソは以前の伸縮性のあるものは用意できなかった為、やむなくベルトで固定するタイプで作った。
 横と後ろに細いベルトが通っていて、これはこれでセクシーだな。

 靴は……死体から拝借だ。
 よく洗って乾かしたから大丈夫だと思いたい。

「ありがとね。久しぶりに人間らしい格好したわ」

「どういたしまして! 汚れが目立ちやすいから、気を付けてね!」

「大丈夫。普通の冒険者は、汚れなんて気にしないわよ」

 アンジェリカェ……。
 やっぱ常識や羞恥心は溶かしちゃったか。
 早いところファルドに何とかしてほしい所だが、肝心のファルドもバーサーカーだからな。

「ドーラは生きてるか?」

「一応、大丈夫みたいだよ。でも、そっとしておいてあげよう」

 ふと、ドーラを見る。
 骸骨ピエロが甲斐甲斐しく介抱しているが、寝顔は安らかとは程遠い。
 随分、うなされてるみたいだ。

 痛飲だけじゃないな、原因は。
 コイツの悪夢を取り払ってやるには、魔女の墓場に乗っ取られた王国を取り返すしかない。

 あー、やだやだ!
 SEIJIだろ?
 俺はそっち方面に傾かないストーリーにした筈だ。
 その為に勇者VS魔王っていう、シンプルな構図にしたんだ。
 魔女の墓場はあくまでお邪魔虫で、人と人との結束を意識させる為の必要悪として設定した。

 それが、どうしてこうなった?
 いや、解りきってるさ。

 ヴェルシェが裏から手を回したんだろう。
 アイツの口ぶりから察するに、それがアイツの狙いなんだろう。

 まったく、やってくれる。

「む……すまんな、いつの間にか寝ていたようだ」

「ほあようごじゃいましゅ」

 南無三、噛んじまった。
 アンジェリカとメイの視線が、胸に刺さる。

「あー、コホン。役者は揃ったみたいだな」

 ひとまず俺達が次の試練(笑)を乗り越える為の、生存戦略を練ろうじゃないか。

「次は、どうする? ファルドを探しに行くか?」

 最優先目標だからな。
 だがこれは、問題がある。
 どこ行ったか皆目見当がつかないのだ。

「私としては魔女を味方に付けたいのだが」

「魔女って、共和国辺りのですかね?」

「その通り。奴隷魔女を解放する」

「処刑されかけた私が言うのも何ですけど、いよいよ謀反の烙印が決定的になりますよ?」

「構わんさ。毒を食らわば皿までだ」

 確かに、今までは家とか役職の都合もあったワケで、色々と気にしながらだったからな。
 失うものといえば親くらい(その親もコイツの境遇を考えると処刑されているかも……)な今、何も怖くないに違いない。

「目をつけられてリンチされると詰むんだよなあ……」

「そもそも協力してくれるかどうかが賭けだよね」

「ふむ……」

 分の悪い賭けは、俺は気が進まない。
 というより、賭けに出る前に準備は済ませなきゃならない。

 特に、交渉相手は魔女だ。
 アンジェリカがそうであったように、正気を失った連中も多いだろう。
 ……一筋縄じゃ行かない。
 歯痒いよな。

「私なら、魔王軍を少しでも削ってから、魔女を仲間にするわ」

「あたしは反対だなあ。魔王軍を倒す事に集中したほうが、ファルド君を見付けやすいかも?」

「だが、魔女の墓場……いや、ヴェルシェと利害がぶつかり合うぞ。モブに魔王を倒させるつもりらしいからな」

「でも、人間側に害がないというのは伝わるかも」

「俺が今まで目にしてきた伝説では、四人の勇者のうち一人が仲間外れにされたものがあってだな。その仲間外れにされた奴は、コツコツと小さい事からやっていったら、人々とやがて打ち解けあう事ができた」

「あー、知ってるよ、それ。でもさ、時間ないじゃん」

「そりゃそうなんだが……ていうか、無実を証明するのは諦めたか、後回しって事で満場一致でいいんだよな?」

 全員が頷く。
 いや俺は諦めちゃいないんだが、話の通じない相手が多いからな。
 心が折れるのは、必然でもある。

 話し合いはこうして、日が暮れるまで行われた。

 ようやく決まった方針。
 それは、メイが放った一言に端を発する。

「瞬間移動は逆探知できないんだけど、これを利用してみるのはどうかな?」


ふつつか者ですが、ランキング登録しておりますのでよろしくお願い申し上げる次第です。
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