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自作小説の世界に召喚されたので俺は未完放置する(エタる)のをやめました! 作者:冬塚おんぜ

第一章 予言者の来訪

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序章 「どこだよ……ここ」


 俺は志麻咲信吾しまざき しんご
 彼女いない歴18年(=年齢)の大学一年生だ。
 学校の成績は人並み程度だと自称したい。
 平和な家庭環境でのびのび育った一人っ子で、両親は共働き。

 趣味は読書とアニメ鑑賞。ちょっとだけ演劇鑑賞も。
 包み隠さず言えば、世間一般で言うところのオタクって奴。
 ただ俺はどっちかって言うと、ライト層に分類されるんだろう。

 そして俺は今、夏休みの半分が過ぎた頃、一向に終わらない課題に頭を抱えて。
 行き付けのファミレスで課題やった帰りに、本屋に足を運んで新刊でも買って気を紛らわそうとしてた。

 ……確か、その筈だったのに。



「どこだよ……ここ」

 気付けば俺は、あからさまに現実ではない場所に居た。
 見たこともない文字が刻まれた、青白いレンガで組まれた建物の、祭壇みたいなところに寝かされていた。

 祭壇の周りには、真っ黒な魔方陣が書かれていて。
 で、魔方陣には蝋燭が置かれていて。
 何か儀式めいたことをしてたのは判った。

 夢かと思って、様式美に従って頬をつねってみたが。

 痛い。
 痛いんだ。
 夢じゃないんだよ!

 すなわち、これが何を意味してるか。
 志麻咲信吾……ついに念願叶って(?)異世界召喚って事だ。

「それにしても、テンプレ通りの展開だな」

 俺みたいなプロフィールの持ち主という所も。
 だが当然、実体験は初めてだ。

 Web小説でもよくある話だよな。
 現実世界で間違って死んで、神様からチート能力与えられて異世界で転生して第二の人生を歩むって奴。

 いや、待て。
 それってつまり俺、死んじゃったのか!?

 それとも、現実世界から忽然と姿を消したパターンか!?
 そっちだったら、まだわりかし希望がある。
 俺にはまだ、現実世界への未練もあるしな。

 とりあえず、祭壇から身を起こして身体中をチェックだ。
 現実世界に居た頃と変わらない。たぶん、顔も。

 これ多分、召喚のほうだな。

「――あっ、パソコンは!?」

 肩掛け鞄に入れてたノートパソコンは、変わらず傍らにあった。
 それを急いで開く。

 こんな世界でWi-fiなんて繋がってるわけねーだろ。
 と思ったが、何故か繋がる。

 ホーム画面の某検索サイトは、適当に打ち込んだキーワードでも相変わらず検索できた。
 ただ流石にマップは真っ黒だ。
 座標が不明ですとかエラーが出てやがる。

 それでも右下の時計は、ここに飛ばされる直前の日時を示していた。
 つまり、パソコンは現実のインターネットと繋がっているって事だよな?
 バッテリーがいつまで保つかはわからないが、何かに使える筈だ。


 *  *  *


 建物の外に出る。
 石畳の床、左右に流れる川。
 透き通ったクリスタル製の屋根を見上げると、この通路が切り立った岸壁に挟まれている事が解った。
 どうやら谷間に作られた神殿らしい。

 俺の知らない空気、俺の知らない景色……。
 海外に行っても、きっとこんな場所は無いだろう。

 時間は多分、朝方だな。
 小鳥のさえずりとかが、何となくそんな雰囲気だ。


「おや、お目覚めかな?」

 何処かから女の声が!?

「は――ひゃッ!? だッ!?」

 突然おどかされたら、俺みたいな一般人はびっくりしちゃうだろ!
 どういう仕組みで召喚されたかも解らないんだ。
 殺されたらマジで死ぬかもしれないんだぞ!

 おまけに身体能力が強化されたかも解らない!
 ビビらないほうがおかしいだろ!

「座り込んじゃった。舌でも噛んだ?」

 ……ていうか、何処だ?
 辺りを見回しても、それらしい姿が見えない。

「こっちだよ。こーっち!」

 天井をゴツゴツと叩く音に驚いて、見上げる。
 クリスタルの屋根に腰掛けて見下ろす、フードを被ってマントに身を包んだ少女……?

「よっと!」

 クリスタルの屋根の縁に掴まり、くるりと身を翻す。
 人間離れした身体捌きで、ぱっと着地したその少女は、俺をじっと見つめてきた。

 背の高さは同じくらいかな……銀髪で、瞳は血のように赤く、それでいて透き通ってる。
 整った顔立ちは、可愛いというよりは美人といった雰囲気だ。

 もしかして、これはアレか!?
 転生モノとか異世界召喚モノによくあるメインヒロインって奴なのかッ!?

 思わず、顎に手を当てて値踏みしてしまう。
 マントでくるぶしまで隠れてよく判らないが、細身ながらも出るところは出てそうだな。
 その下はどんな格好なんだろうな。
 背の高さが俺と同じくらいなのは、実はヒールだってのは見えるんだが。

「君さ、何かヨコシマな事を考えてない……?」

 銀髪の少女はジト目で俺を見つめ返して、じりじりと後ずさりしている。
 普通に考えて俺、最低な事してるよな……。

「素性の明らかでない人だったから、武器を隠し持ってるんじゃないかって……」

 パチンッと指を少女が鳴らす。

 すると、少女の手元には身の丈程の槍が!
 何処にそんなの隠してたんだよ!

「はいっ、武器!」

 そう言って少女は俺の手にその槍を持たせてきた。
 驚きの軽さ。
 これって、樹脂製なのかな?

 ――いや、違う。
 ひんやりとした感触、爪で突くとカツンと響くこの音。
 間違いなく、金属製だ。
 さてはミスリルとかオリハルコンのたぐいか。

「へぇ? 腕力はあるんだね」

 少女は、槍を眺める俺を見てくすくすと笑った。

「どういう意味だよ?」

「悪いね。からかう意図は無かったんだ」

 あのさぁ……笑いながら言われても信じられないんだよなあ……。
 いや、流されるな、信吾。
 今度こそ決めてやるんだ。クールに!

「ああ。解るさ。俺の力を試そうとしたんだろ。違うか?」

「半分は正解かな」

「くっ……!」

 くそ、済ました顔で失礼な事を言いやがって!
 いつか俺に頭を撫でられて頬を赤らめろ!

 ……問題は、そんな機会があるかどうかだが。
 俺の苦悩をよそに、少女は俺が持ってた槍をひょいと持ち上げる。

「さーてと」

 槍はボッと軽い音を立てて消えた。
 そこには白い煙だけが残った。
 アクションゲームとかだと武器を持ち替えると、それまで持ってた武器がパッと消えたりするからな。
 グラフィックの都合だし、仕方無いのだが。

 って事は、何かのオンラインゲームの世界か?
 無料体験版を幾つかやった程度だから、どの作品か解らないぞ……。

「余興はそこそこに自己紹介しよっか。あたしは案内人。君は?」

「……一般人かな」

 俺は立ち上がり、膝の汚れを払いながら応える。
 少女はと言えば、腑に落ちないといった顔で首を傾げた。

「そういうことを訊いてるんじゃないんだけど……」

「名前を言うのか」

「当然でしょ? レディが先に名乗ったのだから、君も名乗るのがマナーじゃなくって?」
「……」

 うっせーバーカ! “案内人”が名前なもんかよ!
 ……なんて言える訳が無い。多分、腕力的にも勝てる見込みが無いし。

「志麻咲信吾。いや、この世界ではファーストネームを先に言うべきなのか?
 えっと、マイネームイズ“シンゴ・シマザキ”。ナイストゥーミーチュー!」

「なるほど! ではシン君! あたしが街まで連れて行ってあげよう!」

「英語はシカトかよ!」

 英語の発音が悪い自覚はあるけどスルーされると余計に傷付くわ!

 こうして俺は、案内人を自称する得体の知れない(それと割とムカツク)銀髪美少女にホイホイと付いてって、街に行く事になるのだった。

 俺は元の世界に戻りたいと思う一方で、もっとこの世界について知りたいとも思っているんだ。


 古びた手斧
 随所に錆の浮いた手斧。
 あまり大事にされなかったのか、劣化が激しい。
 この地の木こり達は鉱物資源に恵まれており、商売道具を失ってもまた買い直せば良いと考えがちだという。
ふつつか者ですが、ランキング登録しておりますのでよろしくお願い申し上げる次第です。
小説家になろう 勝手にランキング
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