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回想2 別れと始まり
カミーラは、武器を手入れしてもらう事にした。
まだ、ロイドが帰ってくるまで時間があるだろう。その間に済ませておこうと考えたからだ。そのため、近くの鍛冶屋に剣を研いでもらうために預けた。
これが、彼女の明暗を別けた。

カミーラは、待ち合わせしていた街の時計台に来ていた。
雨が降りそうだ。今日は、この街で宿をとろう。そう考えていた。
彼女の危機察知能力は、ここ三年の幸せで、すこし鈍っていた。
彼女は、気付かなかった。つけられていた事に…

時間は、少し戻る。
街の酒場
「そのガキを殺せばいいのか?」
酒場には、賞金稼ぎが5人ほど固まって聞いており、そのうちの一人が言った。
「いいえ、彼ではなく、こちらの女性です。」
雇い主らしき男は、写真を出す。
「おい、この女、カミーラじゃないか!無理だ!そんな仕事引き受けられるか!」
一人が言った。

「いえ、危険ではありません。彼女は、昔より弱くなっていますから。」
また、一人が言った。
「なにを根拠に」
雇い主は、言った。
「この少年です。この少年の存在がですよ。それ故に、ここ二年の請負いの仕事は、減っています。」
男が言っているのは事実だ。現在、請け負える仕事のランクが落ちない程度にしか、仕事をしていない。
たが…
やはり、賞金稼ぎ達は戸惑う。
「そういえば、自前の剣は、今は鍛冶屋にあるそうです。そうですね。成功報酬をこうしましょう。」
0を二個つけたした。
「引き受けよう。」
全員が頷いた。それもそのはずだ。これだけの金額があればもう危険な仕事をしなくて済む。
「じゃあ、交渉成立ですね。」
雇い主は、その場を立ち去った。

雨ね。
カミーラがそう呟いた。雨が降り出した。
ふいに、周りの雰囲気が変わった事に気づく。
「女一人に五人がかり、最低ね。」
彼女は、賞金稼ぎ達に気付いたのだ。
「悪いが死んでもらう。」
一人がそう言うと、剣を抜いた。
「はぁ、さっさと終わらせてあげる。」
カミーラは、そう言うと構えた。

「坊主これで全部かい?」
雑貨屋の主人に尋ねられる。
「うん!そうです。」
私は、頷く。
「こんなにお使いかい、えらいねぇ、サービスだよ!」
雑貨屋の主人の妻は、飴をくれた。
「い、いいの?」
恐る恐る尋ねる。
「いいに決まってるだろ!坊やのお使いのお駄賃だと思えばいい」
雑貨屋の主人の妻は、笑いながら言った。
私は、笑い返して「ありがとう。」と言い、時計台を目指した。
私は、初めてあの人以外に褒められた。それが嬉しかった。
だから、それを報告すべく、足早に時計台に向かった。

カミーラは、一人時計台に寄りかかっていた。
賞金稼ぎ達は、みんな死んでいた。
「はぁ、さすがにまずかった。」
そう、呟いた。
あの子が、足早にこちらに向かってくるのが分かった。
安心した。あの子まで、巻き込まれていたらと考えていたからだ


肉を貫く音が聞こえた。
私は、自分の体を見た。胸の真ん中に刀が生えていた

やれやれ、本当に危なかったですよ。もう少しで、死ぬところでしたから……

男は、そう呟きながら刀を引き抜く
私は、その場に血を吐きながら倒れた。
あの子の絶句する顔が見えた。
そして、「かあさん!」と言っているのが口の動きから分かった。
そこで、意識がとんだ。


私は、叫んだ。
「母さん!」
あの人は、血を吐きながら倒れていく。
あの人を刺した人間を睨んだ。
「ほーう、流石ですね。未熟ですが、その年でこれほどの殺気を放てますか!」
その男は、意外そうに呟き、賞賛した。
「お前を殺す。」
自分が、自分でなくなっていく感覚、自我が溶けていかなにも考えられなくなる。
「まさか、暴走しますか……力を使いこなせない、不良品ですね。」
しかし、その言葉は次の瞬間撤回された。
その男は、初めて感情を見せた。恐怖を……

雨が降り続けていた。雨足は、強まるばかりだ。
はぁ、はぁ
男は、自身の能力である血をロイドに掛けて爆発させる。
しかし、ロイドの再生能力に追いつけない。理性と言うタガが外れてしまっており、体が限界まで酷使されているからだ。
ロイドの理性を失った獣じみた攻撃は次第に、男を追い詰めていく。
「あり得ない。なぜだ。私は…」
最後まで言えなかった。頭が半分吹き飛んだのだ。唯のパンチで……

時計塔が見える丘で二人の女が話していた。
「いいの?あの子、あのままだと飲まれるわ。」
少女に見える影が言った。
フードをかぶった女は、なにも言わずに姿を消した。
少女の影は
「何か言ってから行きなさいよ!」
愚痴をこぼすと同時に消えた

時計台で、暴走していたロイドの前にフードの女が現れた。
その女が何かを唱えると、次第に力が抜けていった。
私は、何も喋れなかった。全身が焼ける様に痛かった。
フードの女がお腹に手を当てながら言った。
「大丈夫、少し我慢して…」
そう言うと、腹の中に手を刺した。
すると、痛みがひいていく。完全に無くなると同時に、手を引き抜いた。
その手には二振りの刀があった。
「これで、大丈夫。」
そうフードの女が呟くと、後ろから声が聞こえた。
振り向くと誰もおらず、フードの女も消えていた。
私は、あの人を時計台に寄りかからせた。
彼女は、言った。
「恨んでくれて構わない。私は、またあなたを一人にする。」
私は、言った。
「なんで、そんな事ができる!僕は、僕は、唯いつか面と向かってあんたの事を母さんと呼びたかった。唯それだけなのに…」
目から涙がこぼれる。
「そう、ごめんなさい。あなたの気持ちに気付いてあげられなくて…私は、怖かったの、あなたが、まだ死にたがってるんじゃないかって、幸せか、唯その一言が聞けなかった。」
彼女は、自分が長くない事を悟っていた。
でも、私は、認められなかった。
「あんたの、母さんの命を諦める事なんて出来無い。」
彼女は言った。
「ありがとう。でも、もういいから、血を失いすぎた。足も、もう動かない。」
それも当然だった。あの男は、自身の血を刀に付けて貫いた。内部から内臓を破壊されたのだ。
「また、また、また一人にするのか!」
彼女はまた、謝った。
「ごめんなさい。約束…守れ無かったわね。」
私は、聞き返す。
「や く そ く…」
彼女は言った。
「家族になるって本当の…」
そう、出会ってから少しして、そんなことを話していたのを思い出した。
「ごめんなさい。」
「もういい。一緒にいてよ。やっと、ようやくお互いの気持ちを知れたのに、これから家族になるんじゃないの!」
彼女は言った。
「貴方と一緒の日々は、楽しかった。
ありがとう。………」

私は、目を覚ました。
外の雨は、もう止んで太陽が出ていた。
あれから一年がたった。
私は、今は一人ではない。黒と白がいる。私は、彼らを道具として扱うつもりはない。
彼女の遺品は、故郷に送られた。この、ペンダント以外…
彼女が私に渡すために注文していたらしい。
中には、私と彼女の写真がある。
その写真を見ながら私は、彼女の最期の言葉を思い出す。
確かに、貴方は人じゃないかもしれない。でも、貴方は、貴方だから、いつか、その力で何かを救える。だから、自分を否定しないで…貴方は、貴方なんだから…
そして、生きなさい。そして、笑っていて、そうしたら、私は、貴方の事を、あの過去から救えたと思うから。
それが、彼女の最期の言葉だ。だから、私は、誰にも迷惑がかからないこの森で、力をコントロールするすべを身につけるために、白と黒を使いこなすために、修行している。

いつか、この森を出て彼女の母さんの見ていた世界を見るために…



この時、私は、彼女を殺した人間が、何者なのか知らなかった。雇い主とは、別人だった事も、そして、彼女が死ななければならなかった理由も…
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