第3章 境界線 第三部 オートマタの涙 第二話 協力者
「ここがアウトウィトか……風の噂程度に知ってはいたが……」
ヘムリルは街の大きさに驚く
「これが、帝国随一の産業都市、アウトウィト……本当にこんな物を移動できるんでしょうか?」
ミンファは少し考え込む
「きれい~!」
そんな二人の心情を知らずにレンは初めて見る街に高揚しはしゃいでいた
「貴方がヘムリル様でしょうか?」
後ろから声をかけられたヘムリルはとっさに振り向く
(全く気配が感じられ無かった)
その少女はオートマタで案内人では無いらしい
「随分用心深い案内人ですね……」
レンと手を繋ぐとオートマタの少女を睨む
「貴方方との戦闘の意思はありません」
機械的な返答に二人は更に警戒を強める
すると、いきなり少女は服を脱ぎ出した
「何やってるんだ!お前は!」
慌ててヘムリルは少女を止める
だが、少女は訳がわからない様だ
「武器を所持していない事を証明しようとしただけですが?」
服を着直しながら呟く
二人はこれ以上問題を起こされない様に警戒を解く事にした
「ですが、この街にはその様なモノを取り扱っている店もありますのでご注意を」
そう告げると三人を主人の下へ案内し始めた
路地に入ると、幾つも曲がり現在地が全く分からない
「本当にあっているのですか?」
ミンファは心配になり少女に尋ねる
少女はやはり機械的に答えた
「この街の路地は現地人ですら迷う程入り組んでおります。私から離れない様に」
その言葉にロイドを見つけ出すのが難題だという事を実感させた
この街に既にいないかも知れない
居たとしてこれだけの入り組んだ場所から見つけ出す事は出来るのだろうか
ミンファはそんな事を考えていた
「着きました。ここが我が主の住まう場所です」
そこは蜘蛛の巣が至る所に張られており、本当に人が住んでいるのか信じられない場所だった
「主様、客人を連れて参りました」
その声に反応し、積み上げられた紙が舞散る
それに伴い大量の埃が舞い上がり三人は急いで窓を開ける
「あははははは……これは失礼しました!数ヶ月掃除してませんでしたね」
埃が収まると奥から片眼用のミラーアイを付けた少年が現れた
「本当にこの方が案内人なんですか?」
ミンファは恐る恐るヘムリルに尋ねるが何も返ってこない
「初めまして!マスト タルバーニャと申します!タルとお呼び下さい」
こっちの心情を知ってか知らずかどんどん話を進めて行く
「レン」
ミンファの後ろに隠れながらレンがタルに名前を告げる
「ようこそ!我が工房へ!ヘムリルさん、ミンファさん、レンさん!話は聞いてますので何かお困りの際は何でもお申し付け下さい」
ヘムリルとミンファは未だにタルと呼ばれる少年を疑っていた
(何かあるのでは無いか?)
ただ、今は敵なのだとしたら手の内で踊るしかない
虎穴に入らずんば虎子を得ず
例え、罠だろうともそれに乗る事を二人は選択した
●●●●side
「奴らがアウトウィトに入りました」
一人が双眼鏡で確認する
「役者は未だに揃わず……だが、刻限までには揃うだろう」
リーダーらしき男の手の中には何枚かの写真があった
その写真の中にはマスト タルバーニャの姿があった
そして、この都市で知らぬ者は居ない天才錬金術師 ライバード タリフマンの姿まであった
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