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バトル・ロートル
作:コーキ



5月29日月曜日 発動−1



 ちゅんちゅらちゅんちゅらちゅらちゅちゅちゅん。
 小鳥が囀るちゅらちゅちゅちゅん。
 この朝は特別な朝。だと思っていた小白水ソーリなのだが実はその時刻、まだ深夜の2時を少し廻ったばかりで本人としては最近になく熟考していたために「もう朝か?」という疑問は心に湧いてきたものの、逆に「自分は夜を徹してこの国の将来について考えていた。素晴らしい。政治家の鏡だ。」と自信満々になってしまい、朝であると勘違いしてしまったのである。
 そのままの勢いで官房長官をたたき起こして、すぐに記者会見の準備を整えるように指示し寝癖にまみれた官房長官が不機嫌に「で、何時から?」と問うと「すぐ、できれば今でもいいよ」と小躍りし、背を向けて「ばか。」といった官房長官のコトバなど耳に入らない。
 更に給仕を叩き起こして朝食を作らせて小声で罵詈雑言を浴びせられながらそれを喰い、コーヒーを一杯飲み終わって窓の外に目を移した時、やっと外が暗いことに気がついた小白水は「おんや?」と、腕時計に眼を走らせて時間を確認した。
 「おかしいなぁ、さっきまで明るかったのに、もう日が暮れたか?」
 小白水にとって自分の異常などという感覚は全くない。
 普段ろくすっぽ使いもしない脳を変に使ったものだから脳が加熱して視界が白化し、年金がもらえなくて路頭に迷う乞食の足音が小鳥の囀りに聞こえたのだ。
 脳味噌までいい加減なことをする。
 
 「いやっ、おはようおはよう。」
 内閣総理大臣小白水純市朗はいつもの貧乏くさいスーツ姿で小躍りしながら報道陣に手を振っている。
 満面の笑みである。
 「早朝からご苦労様!」
 くるりと軽やかなターンを決め、小白水はもう一度敬礼をするように報道陣に愛想を振りまきそしてぐいと胸を反り返らせた。
 「年金!」
 報道陣はざわめく。
 「今日は私はみなさんに、年金問題がキレイさっぱり解決したと、こう言いたいわけだ、はっはっはっ!」

 報道陣は冷ややかであった。 
 「まったく、また無責任なことを言いやがる。」
 「寝惚けてんじゃねぇの?」
 「何がおはようだ、日付が変わっただけで今はまだ真夜中なんだよ、こんばんわだろうが、常識知らず。」
 「いよっ、大統領!」
 「早く終われよ、うんこたれ。」
 ぶつぶつぶつぶつと不平不満がこぼれる。












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