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異世界で本当にチートなのは知識だった。  作者: 新高山 のぼる
ヒントは常に歴史にあり。だからチートなんです。
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只今領地運営奮闘中。その4

 この日も夕方からは酒場に来ていた。目的はもちろん、文官の登用だ。お供はいつも通り修二郎さん。

 一度、尚蓮を連れて来た事があったが、彼女は飲むと脱ぐ癖がある事が発覚。

 下町の酒場で若い女性を脱がすわけにもいかず、彼女を護衛しながら引き上げる事になった。

 まったく、護衛を護衛しなければいけなくなるなんて本末転倒だ。それ以来、面倒なので連れて来ていない。


 今日は、大通りから1本入った所にある酒場だ。

 大通りに面しておらず、客も一般客ばかりなのに結構流行っている。カウンターの後ろの棚には酒が並んでいるが、端の方はパン置き場になっていた。

 俺はいつも通りカウンターに修二郎さんと並んで座った。

 注文もいつも通り甘いお酒『ストラチュード』だ。注文する時に注目を集めるのも、マスターに確認されるのも、いつも通りだ。

 そして、いつも通りマスターと世間話をする。

 この世間話は大切だ。お金の件もそうだが、結構人物についての話も出て来る。常連客や、近所の人達とか。

 悲しいかな、人の顔を覚える天才の領民担当官、張延は、その人の人格までは覚えていなかった。

 というか、街の人とあまり接触しなかったのが原因らしいが。

 では、なぜ街中の人の事を覚えたのかと言えば、通りを歩いていて、会話が聞こえたかららしい。悪く言えば盗み聞きで覚えたようだ。


 という訳で今日もマスターと世間話をしていたのだが、横やりが入った。

 まあ、横やりが入る事はそれ程珍しくはない。横やりが入る理由はいつも同じで、『ストラチュード』だ。まあ、その為にこの酒を注文しているのだが。

 この時も、後ろの席の酔っぱらいの大声が始まりだった。


「おいおい、そこの兄ちゃんの飲んでる酒見ろよ。」


 いかにも労働者という格好のマッチョが俺を指さして笑っている。


「ははは。にいちゃん、その酒の意味解ってる?」


 男の連れが、笑いながら話に乗る。


「馬鹿だなぁ、解ってないから飲んでるんじゃないか。

 俺が教えてやるよ。その酒わな。『私を高く買ってください。』って意味なんだぜ。はははっ。し、死ぬ。」


 初めの男が途中変声を織り交ぜながらそう言って、爆笑している。

 とりあえず、無視して原因の酒を一口飲む。


「ははは、おい兄ちゃん。教えてやったんだから何とか言ったらどうだ?」


 この先どうなるか解ってはいるが、話に乗ってやる。

 暴力沙汰になっても、俺達にかなう奴はそういない。というか、そんな奴がいたら騎士団に引っ張り込む。

 過去2回は、俺達にプライドをズタズタにされてから、騒ぎを聞きつけてやって来た警察官(元帝国軍の守備部隊)に、俺達が皇国の上級騎士と聞いて真っ青になり、そして連行されるというパターンだった。

 たぶん、今回もそうなるのだろうと思いつつ、俺はその男を振り返らずに背をむけたまま答える。


「教えていただいてありがとうございます。しかし、この酒が『女郎の飲み物』であることは知ってますよ。

 ですが、あえて飲んでいるんですよ。この酒が好きなもんで。」

「ははは、そいつは傑作だな。知ってるのか。

 じゃあ、俺がお前のケツを買ってやるよ。そうだな、パン2つ出してやろう。大金だろう?」

「話聞いていましたか、脳筋さん? 体を売る目的ではないと言ったのですか。

 まあ、私を買いたければ、皇国の金貨1万枚用意する事ですね。」


 金貨1万枚は妥当な値段だ。何せ俺は月に金貨100枚もらっている。10年分をもらえれば転職しても良い。まあ、男娼になる気は全くないがね。


「はぁ?金貨1万枚だとぉ?人が折角パンをやろうってのに、この野郎、良い気になりやがって。」


 そう言って、立ち上がる男。


「お、お客さん。彼はこの辺りで随一の腕っぷしです。今のうちに謝ったほうがよろしいかと。」


 マスターが心配して声を掛けてくれる。


「心配いりませんよ。そんな脳筋のヘナチョコパンチなんか貰いませんって。」

「誰が脳筋のヘナチョコだ!!この野郎、黙って聞いてりゃ言いたい放題言いやがって。そんなに死にてぇなら殺してやるよ!」


 そう言ってついに殴り掛かってきた。

 もちろん、椅子の倒れる音がした時に、すでに俺は立ち上がって、男の拳をいつでも躱せるように身構えていた。

 尚蓮の突きに比べれば、蚊の止まったようなパンチだ。

 軽く首を傾けて躱そうとした時、男の顔に水が掛けられた。当然、男のパンチは空振りに終わる。


 水を掛けたのは、カウンターの端でちびちびやっていた男だ。身なりは上等ではないが清潔感がある。

 背中しか見ていないが、この酒場に入ってからずっと目を付けていた男性だ。

 初めて顔を見たが、少しあごに無精ひげが生えた優男やさおとこだった。

 その優男が、脳筋に向かって声を掛けた。


「やめときなさい。その人は皇国の上級騎士の方ですよ。殴ったら2度とおてんとうさまを拝めなくなりますよ。」


 脳筋男は水を掛けられて少し冷静になったのか、優男の話をきちんと理解したようだ。


「な、なんだって、なんでそんな奴がこんなところに?」

「それは多分、あなたの様な人を取り締まる為じゃないですか?」

「な、何? ま、待て、俺はまだ手は出していないぞ。」


 そう言い残すと、脳筋男は連れと一緒に転がるように酒場を出て行った。

 横で修二郎さんが、「残念、また馬鹿をボロボロに出来ると思ったのに。」と言いながら肩をすくめている。

 別にそんな事目的にしていませんから。俺の目的は、こっちの優男の方です。


「危ない所をありがとうございます。よかったらおごらせてください。」

「私は必要なかったと思いましたが、出しゃばらせていただきました。ありがたくご相伴にあずからせていただきます。」


 そう言って優男は俺の隣の席に移動する。


「ところで、なぜ我々が上級騎士だと?」


 優男が席に着くとそう問いかけてみた。


「なぁに、簡単な事ですよ。あなた達は酒代を皇国の銅貨で先払いしていた。

 皇国の騎士以外の人間は、多少余裕があっても皇国の銅貨は使わない。皇国の銅貨よりも先に帝国のお金を使い切った方が良いからね。」


 まあ、答えはマスターとそう変わらないか。


「しかし、なぜ上級騎士だと?」

「ああ、それはあの男の挑発に挑発で返してましたから。

 皇国の一般騎士達は住民との諍いを避ける。たぶん上から何か命令されているんでしょう。

 しかし、あなた達はわざと騒ぎを起こそうとした。さも、そうなっても何事も無いように。

 それは、自分たちで状況を判断できる。つまり、言い訳を必要としない人たちの行動ですよ。

 必然的に、今この街でそんなことが出来るのは皇国の上級騎士だけだ、という訳です。」

「凄い観察力ですね。」

「ええ、まあ、これが商売なので。」

「御商売ですか? 失礼ですが、ご職業は?」

「一応、助言人と名乗ってます。商売をしている人に、こうすればもっと売れますよと助言して、儲かったら取り分をもらうんです。

 まあ、必ずしも成功するとは言えませんが、この店みたいに成功する時もあるんですよ。」


 なるほど、経営コンサルタントか。かなり進んだ考えの持ち主だ。


 そういえば、この店も規模や立地に対してかなり客の入りが多い。

 そう思って店内を改めて見渡してみる。すると、いくつか他と違う点を見つける事が出来た。

 たとえば、席の配置。他の多くの店が、出来るだけ座席を多くしようと、いすや机を詰め込んでいるのに、この店はまばらだ。

 席と席の間を結構広くとっている。それだけではなく、入り口からカウンターまで、一直線に空いているやや広い通路がある。

 そういえば、今までは、そんな空間がなく、席を縫ってカウンターにたどり付いていた。

 他にも、部屋の隅にさりげなく植木があったりする。

 そして、一番驚いたことは、コースターがあった事だ。

 これらは、前の世界では当たり前すぎて、考えなければ気付かなかったが、この世界に来て初めて見たかもしれない。


「やはり、気が付きましたか。」


 コースターをグラスの下から取り出して、いじくりながら見ていると、優男がにやにやしながら言った。


「この紙は、表向きは机に水滴が垂れない様にする物です。」


 そう言って、グラスを一気にあおる。そして、空のグラスをコースターの上に乱暴に置いた。


「そして、本当の理由はこうして、グラスを机に打ち付ける事で傷がつくのを防ぐためなんですよ。」


 なるほど、実演してくれた訳か。たしかに、この客層じゃあ机の上の水滴など気にしないよな。それよりも、グラスを乱暴に扱うことによる、机の傷の方が重要か。

 しかし、それには、机も綺麗な状態を維持するという前提がいる。たぶん、彼は、店を常に綺麗な状態にする事もアドバイスしているのだろう。


「おっと、グラスが空ですね、すみません。主人。彼に同じものを。」

「あ、すみません、出来れば、コルトガを良いですか?」

「ええ、構いませんが、『コルトガ』とはなんですか?」

「麦から作る酒でしてね。琥珀色でうまいんです。まあ、多少値が張るのですが。」


 最後は俺にお願いするような口調だ。


「ええ、構いませんよ。主人、彼にそれを。」

「あ、俺も、それを。」


 横の修二郎さんも、うまい酒と聞いて試してみるようだ。

 後に話を聞いた所、『コルトガ』とは、焼酎ではなく、ウイスキーの様な酒みたいだ。

 酒が届いた所で話を戻す。


「この店を見るに、だいぶ的確な助言をなさるみたいですね。」

「ええ、まあ、おかげさんでね。人がどう考えているか、どう行動するかを予測するのが好きでね。」


 新しく来た酒をちびちびと味わいながら彼は答える。


「そうですか。実績がおありの様だし、一つ私も相談したいですね。」

「もちろん、構いませんよ。それが商売ですから。」

「じゃあ、ここではなんですので、明日の朝……。

 あ、そうでした。まだお名前を伺っていませんでしたね。

 私は、颯太と言います。ご推測通り上級騎士です。

 こちらは修二郎さん。私の部下の1人です。」

「私は、公徳と言います。以後お見知りおきを。

 ところで、颯太さんと言うと……」


 どうやら名前で公徳さんは俺の事に気付いたようだが、その質問は最後まで言い終えられなかった。


「あなた、またこんなところでお酒なんか飲んで!」


 突然、酒場に入って来たボーイッシュな格好の女性が、公徳さんに詰め寄る。


「い、いや、違うんだ民民ミンミン。こちらの方とは、今、商売の話をしているんだ。」


 そう、両手を突き出して否定する公徳さん。

 しかし、民民と呼ばれた女性はそんな事聞く耳持たず、公徳さんの耳を引っ張って驚きの声をあげる。


「まぁ、そんな高いお酒を飲んでいたの! あなた、ご自分の稼ぎをお分かりになっています?」

「そ、その酒もこの方の奢りだ。」

「御嬢さん、公徳さんとはどういったご関係か存じませんが、公徳さんの言っている事は本当ですよ。

 今、彼とは商売の話をしていましたし、そのお酒は私の奢りです。」

「まあ、御嬢さんだなんて。

 すみませんねぇ、主人の戯言に付き合っていただいて。」

「い、いや、民民。本当なんだ。信じてくれ。」

「あの、ご両人様、本当に、このお酒はあなた様方の奢りで?」


 女性がそう俺達に聞いてくる。どうやら少しは信じてくれる様になったようだ。


「ええ、私の奢りですが。」

「そうですか。では、ありがたく。」


 そういうと、彼女は、まだ半分近く残っていたコルトガを一気に飲んだ。


「え、これ、結構強い酒なんですが……」


 と、横で修二郎さんが驚いている。


「美味しいお酒をありがとうございました。では、私たちはこれで失礼いたします。」


 しかし、彼女は何事もなかったかのように礼を言うと、公徳さんの耳を引っ張って店を出て行こうとした。


「あ、公徳さん。明日の朝会いに来てください。会えるようにしておきますんで。」


 俺は慌てて、半ば引きずられていく公徳さんに声を掛ける。

 公徳さんは涙目で片手を何とか挙げて了承を示してくれた。

 彼らが出て行くと、酒場は静かになった。そして、慌てて何人かが酒場を出て行った。

 きっと、慌てて出て行った客も、家で奥さんが角を出して待っているのだろう。


「彼は恐妻家なんですか?」


 静かになった酒場で、俺はマスターに尋ねる。


「恐妻家と言うよりも、尻に敷かれているみたいですね。

 奥さんも本当はお酒が好きなのですが、なかなか飲めないみたいですよ。まあ、こんな世の中ですから。」

「それで、一人で飲みに来ている公徳さんを回収しに来たのか。」

「ええ、たぶん。」


 その後はしばらく2人で静かに飲んでからこの日は帰った。

 明日、公徳さんが無事に政庁に来てくれることを祈って。




 翌日、日課の城壁造りを終えて政庁に帰ってくると、公徳さんが待っていてくれた。どうやら無事に生還できたみたいだ。

 応接室で待っていてくれた公徳さんが、立ち上がって俺を出迎えてくれた。

 隣には、修二郎さんもいたが、こちらは俺が来ても座ったままだった。ここ数日の酒場連れ回しでフレンドリーな態度をとるようになったみたいだ。

 俺は、公徳さんに座るように求めてから、正面に座る。


「お待たせしました。今日は来ていただいてありがとうございます。昨日のお別れがあれでしたので、心配しました。」

「すみません。ご心配をおかけしました。

 しかし、やはり颯太殿は、五十嵐将軍その人だったのですね。

 将軍自ら情報収集とは、恐れ入りました。」

「いやいや、今私の元では人材が不足していてね。」

「では、私に相談事というのも、やはりそういった内容で。」

「まあ、そうとも言えますね。」

「では、具体的な話をお伺いしてもよろしいですか。私としましても、出来るだけ将軍の意に沿えるような助言をしたく思いますので。」

「いや、実は、相談と言うのは、公徳さんに助言を求める事ではないんですよ。」

「と言いますと?」

「まあ、助言を頂きたいのはその通りなのですが、それは1回や2回という事ではなくて、恒久的にという事でして。」

「つまり、私を助言役として、雇ってくださると?」

「助言役と言えばそうなんですが。端的に言うと、この街をあなたにお任せしようかと。」

「!! 重京をわたしに? つまり、私を町長にすると?」

「町長と言うには重京は大きすぎますね。

 私の代わりに街を管理してもらう職。皇国では街奉行って言うそうですよ。貴族の直轄地を代わりに管理する職の事を。」

「つまり、将軍は私をその奉行職に就けると? 昨日会ったばかりなのに?」

「ええそうです。先ほども言いましたが、今私は相当な人手不足でしてね。早急に良い人材が欲しいのですよ。」


「それなら、わざわざ私の様なものを取り立てなくても、皇国本国から連れてきたら良いではないですか。」

「それも考えましたが、皇国の誰かに依頼したら、その人の影響を今後ずっと受け続けなければなりません。

 それに、その人が選んだ人材が優秀とは限りませんし。もしかしたら左遷された人物が来るかもしれないじゃないですか。」

「将軍って皇国に信用できる人はいないんですか?」

「赤穂将軍は信用できます。しかし、国王様は残念ながら、貴族の派閥に影響を受けやすい方でして。」

「では、赤穂将軍に誰か推薦して頂けばいいのでは。」

「それが、色々と赤穂将軍にはお世話になっておりまして、少し自重しているのですよ。

 それに、良い人材をと言って、赤穂将軍の秘蔵の人をもらったが為に、赤穂将軍の影響力が落ちたら、それこそ私にとって命取りになりかねない。重要な後ろ盾ですからね。」


「だから、私ですか。」

「ええ、それに正直な話、あまり給金も出せませんしね。」

「なるほど、皇国の名の売れた人物では給料が払えないと。」

「ええ、この街の経済が立ち直らないとね。その点、あなたなら出世払いで良い。」

「つまり、給料を上げたければ街を発展させろという事ですか。」

「ええ、やはり話が早くて助かります。」

「しかし、本当に私なんかで良いのですか?」

「ええ、昨日の酒場を見せて貰っただけでも、あなたがずいぶん時代を先取りしている人だと分かりましたから。」

「時代を先取りですか。妙なたとえですね。そんな考え方は初めて聞きました。」

「そうですか。まあ、それは良いとして。この話、受けて貰えませんでしょうか?

 もちろん、今日中に結論を出せとは言いません。じっくり考えて貰ってからで良いですから。」

「いえ、お受けします。こんないい話、他の人に渡すのはもったいない。

微力ですが、ご助力させていただきます。」

「それは助かります。ありがとうございます。では、修二郎さん。公徳さんを彼の執務室に案内してください。」

「解りました。公徳さん、こちらです。」


 そう言って、公徳さんを案内しようと修二郎さんが立ち上がる。


「え、もう執務室があるのですか?」

「人材が決まらなかっただけで、部屋はもうだいぶ前から用意してあるのですよ。

 新しい政庁が完成したら、ここは重京専用の庁舎として独立させますので、私が今使っている、より広い執務室に移動してもらっても構いませんが、今はそこで我慢してください。」

「我慢も何も、もちろんそこで頑張らせていただきますよ。」

「そうですか。それは良かったです。では、後程、今進んでいる計画を説明する為に資料を持ってそちらに伺います。」

「いや、そんな訳には。こちらから、資料を受け取りに伺いますよ。」

「そうですか、では、私の執務室までついて来てください。」

「解りました。で、その言いにくいのですが、その、私の給金はいくらくらいなんでしょうか?」

「そうですね。初めは月金貨3枚でいかがですか?」

「き、金貨3枚!! な、何でもさせていただきます!!」


 と勢いよく90度のお辞儀をする公徳さん。

 でも実は、副将軍の給料は月金貨10枚。金貨3枚だと修二さんクラス、つまり中隊長レベルなのだが、これは公徳さんには内緒だ。

 もちろん、後々ばれるだろうが、一般人からしたら大金だ。


 因みにこの給金。とりあえず、俺の給金からの支払いだ。

現状、街の繰越金はそんなにないし、兵ではないので、騎士団の運営費も使えないからだ。

 公徳さんには一刻も早く街の経済を立ち直らせて貰わなければならない。



 その後、夕方まで俺の執務室で、業務の引き継ぎと、計画の説明を行ったのだが。

 俺の政策があまりにも斬新で画期的に映ったのか、公徳さんから神の様にあがめられてしまった。

 曰く、「上には上がいる。私は今まですべてを判れると思っていたが、彼は私の何歩も先を見ていた。」だそうだ。

 まあ、実際の所は、俺の創造ではなく、過去の偉人の成功例のパクリなので、少々後ろめたいのではあるが。


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