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ガンオタ  作者: ロクゴー
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第六話 女騎士との出会い

喫茶店に入る。俺とニルティは紅茶を頼み、キアにはホットケーキとオレンジジュースを頼んだ。

もぐもぐとキアがケーキを頬張るのを見ながら、互いに紅茶を一口飲み、俺から会話を切り出した。

「んで、ニルティさん。何の御用でしょうか?」

「私はニルティ・オーラン。王国騎士団の者よ。ここでは冒険者として居るわ。王様から話は

聞いているわ。キアちゃんを見つけた時の状況を教えてほしいの。非合法の奴隷商がここに来て

泊まっているのだけれど、どうやら其奴らが運んでいたのがキアちゃんのようなのよ」

「キア、悪い人に捕まる前、どこに居たんだ?」

ジュースを飲んでひと息ついたキアが喋り出した。

「えっと、捕まる前は王都の孤児院に居たの。ずっと」

「うんうん。それで?」

「ある日、大きなおじさん達が孤児院に来て、私を捕まえたの。「売る」とか、「奴隷」って言葉が聞こえたの。だから逃げたの。しばらくの間は路地裏で毎日を過ごしていたんだけど、また捕まって馬車に乗せられたの。で、目が覚めるとお父さんが居たの」

「なるほどね・・・実は、非合法の奴隷オークションの納品が2週間後にあるの。リディー伯は重度のロリコンで有名なの。で今回、子供の入りが少ないって、奴隷商に文句をブチまけたそうよ」

「つまり、数日後、この町出身ではない女の子が攫われる、って事か・・・まさか」

「懸念通りよ。リディー伯はキアちゃんを狙うでしょう。あれだけの笑顔を振りまいといて、目を付けない馬鹿は居ないわ」

「しかし・・・さっきの話を聞いていると、リディー伯の話も重要だが・・・質問があるのだが、王都の孤児院とは国営なのか?」

「国営よ。となると、孤児院を調査する必要があるわ。もちろん、ここの孤児院もよ」



ニルティと一旦別れ、宿にてハグをせがむキアを抱きしめながら状況を整理し、やることをまとめる。

今現在で判明していることは、

「リディー伯と孤児院がグルになって非合法の奴隷商に手を染めている」

「王都の孤児院も怪しい」

「町中で聞いたリディー伯の人格から推測すると、おそらく子供達は屋敷の地下室に居る」

これ位だ。まずは孤児院を調査すべきだろう。

便箋を取り出し、孤児院の一斉摘発及び管轄する貴族の職務怠慢による捕縛を進言する書類を書き上げると、くるくると巻いて油紙で防水対策をした。仕上げに結び目をセメダインで固めておいた。

ギルドに向かう。時間が掛かったせいか、既に夜になっていた。夜は夜で女達が出てきて春を売ったり、酒場が騒ぐのでそれなりに活気がある。

ギルドに向かうと、眠そうな顔をした職員が居た。肩を叩き、起こして鷹便の手配をさせる。従量課金制なのか、配送料は安かった。

うつらうつらしているキアを宿に寝かせ、酒場に行って酒とつまみを適当に注文する。

「座るわよ」

「ニルティか、どうした」

そばに寄ってきたのはニルティだった。店員を呼び寄せ、ニルティが酒を注文する。

「短期のいい仕事が入ったんだけど、やらない?」

「ん・・・良いじゃないか」

ニルティが差し出してきたのは、リディー伯の屋敷の警備を募集するギルドの依頼書。

「先にぶんどって来たわ。あなたもやると思って」

「よし、ならば明日の朝、ギルド前で待っているよ」

俺は席を立ち、カウンターで携行酒を注文する。銀貨を渡して受け取ると酒場を出た。

何事もなく宿に着く。キアは宿の女性に慰められていた。俺がいなくて恐くなったせいか、宿の女性に

泣きついたそうだ。抱きかかえて背中を擦ると、落ち着いたのかキアは寝てしまった。なぜか俺の耳を

甘噛みしたまま。キアを降ろそうとするが、しがみついて離れない。起こすのも忍びないので、俺は

胸の上にキアを乗せて寝ることにした。



翌日、キアがよだれを垂らしまくって寝たせいで、シャツがジメっとしてしまった。

新しい服に着換える。寝惚けたキアがベッドの上から落ちて鼻が真っ赤になったのはご愛嬌。

井戸で顔を洗い、口を濯ぐ。服もついでに洗っておく。キアは既に新しい服に着替えていた。

ズボンに頑丈そうで足に優しいブーツ、だが上はまだ着替えていなかった。

「どうした?上は着替えないのか?」

「んー。あのね、服がね、胸に擦れて痛いの」

そういってキアは服を突然ガバッと捲り上げた。


(ゴフッ)


心の中で吐血した俺は気を張りながらキアの胸を見る。確かに、キアの胸は同じ年の子と比べて

かなり大きい方に入る。とりあえず、キアが自分の手で胸をムニムニと揉むのをやめさせ、

バッグの中にあったサラシみたいなもので巻いて固定した。

その上からTシャツを着せ、皮鎧を付けさせる。


ニルティと待ち合わせをしているのでギルドに向かう。既に彼女は来ていた。

「パーティーを組んでやるわよ」

「ん。じゃ、俺の所に入るか?キアとパーティー組んでるし」

「分かったわ」

臨時に組み、ギルドにパーティーで依頼を受けることを伝える。

ギルドの職員に注意事項を説明された後、時間を潰した俺達は夜、リディー伯の屋敷前にいた。

門前の衛兵にギルドの依頼できたことを告げると、少し待たされたが中に入る事が出来た。

「こちらにリディー伯がお待ちです」

案内役の執事らしき人物に案内され、部屋に入った。

予想通り、リディー伯は三重顎のブタ貴族だった。キアを嘗めるような視線でガン見してくる。

その視線に怯えたのか、キアは俺の体に抱きついてきた。面会の時に質問をされ、『キアを一晩寄越せ』

みたいな事を言ってきたがのらりくらりと回避する。キアをこれ以上こいつと同じ部屋に入れる

わけには行かないのでそそくさと退散し、俺達は屋敷の屋上の監視所に配置された。

毛布を用意してキアとニルティを包み、俺は対物狙撃砲を用意してマガジンと消音器をセット

する。狙撃砲に使用されている弾丸は文字通り、長距離狙撃でも空気の抵抗をほとんど受けないように加工されている。

弾丸の中心部の密度を極限まで上げ、流体力学に基づいて計算された流線型を描いている。

威力維持射程は2000mと、長距離射撃に向く。

多機能ゴーグルをサーマルモードで装着、警戒を続ける。

「寒いな・・・」

警戒を始めてから数時間。キアは寝てしまった。ニルティに寄りかかるように寝ている。

俺はゴーグルで、ニルティは遠視魔法の掛かった単眼鏡で当りを見渡している。

視界の隅に何かが移った。明らかに人間の体温が識別できる。その数4人。

ナイトビジョンモードに切り替えて姿を確認する。盗賊だ。

「盗賊、数は4だ」

「捕獲する?」

「いや、殺してかまわないだろう」

スコープを覗き、壁の内側に降り立った盗賊を狙う。トリガーを一秒ずつ、四回引く。

せき込むような音で放たれた弾は吸い込まれるように心臓や頭に命中、文字通り賊は爆散した。



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