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Forgotten Saga 作者:水夜ちはる

第九章・導く者のイデア

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第4話

ワルティユの監獄から救出されたレルシェル。
傷ついた身体を癒す間もなく、ルテティアでは王国軍と革命軍の決戦が始まろうとしていた。彼女はその戦いに身を投じることを決意する――。
「あの砲兵隊はどこの部隊だ?」
「どうも後衛部隊の話じゃあの英雄『レルシェル・デ・リュセフィーヌ』の部隊らしい!」
「なんだと? 彼女は裏切り者として捕らえられたって聞いたが、なんで俺たちの味方をしているんだ?」
「つまり彼女は裏切っていなかったって事さ! 彼女は今でも王国の味方なんだ。彼女は俺たちを、王国を見捨ててはいなかったんだ」


 王国軍の各所でそんな会話が広がった。『英雄』レルシェル・デ・リュセフィーヌの姿は広い戦場で実際に視認できるものは極一部であっただろう。
 これはフィルマンが仕込んだ計略だった。
 信号弾による合図でレルシェルが王国軍の援軍として現れたことを煽る兵を王国軍の部隊は勿論、革命軍の中にも忍び込ませていた。急激に膨れ上がった今の革命軍では多少の間者が紛れ込んでもそれを炙り出すのは難しい。
 これにより王国軍の士気は急激に上がり、革命軍の士気は落ちた。
 レルシェルの名は絶大だった。彼女にその自覚はなかったのだが、彼女は多くの民衆や下級の兵士たちに大きく支持されていた。彼女が組する陣営こそが正道、そんな風潮すらあった。事実、彼女が北壁の指導者として立って以来、彼女は常に正しい道を求め実行してきた。潔癖と言えるまでの彼女の公正さと正義感は広く民に浸透していた。
 ゆえにレルシェルの反逆の噂は革命軍を後押しし、そして今それが逆転したのだ。
「まったく民衆は流されやすいものだが、彼女の人を惹き付ける力は群を抜いているな。まあそれも彼女が正しくあろうと努めた結果……と言うことか」
 フィルマンは感心をしてレルシェルを評価した。レルシェルが聞いたならば苦笑いをして否定しただろうが、客観的に見て彼の言葉は端的だが正確に彼女を評していたと言って良い。
 この時フィルマンが採用した作戦を記号化し信号で伝達すると言う情報の高速化や、レルシェルが発案した移動する砲兵など、この戦いでは王国軍が革新的な戦術を用いて革命軍を翻弄した。しかしフィルマンは戦術云々よりもこの時王国軍有利に展開していたのは、やはりレルシェルという個人の存在だったと後に語っている。


「またあの女か。しかし……あの女の存在はまずい」
 リシェールは前線の報告を聞き呟いた。彼らも前方に現れた砲兵隊を指揮するがあのレルシェル・デ・リュセフィーヌであると言うことを掴んでいた。
彼女には人を惹き付ける力がある。リシェールはフィルマンと同様な評価をレルシェルに与えていた。
 アルビンなどで見せた王都旅団の強さは、レルシェルに心酔する将兵たちの力によるものだった。王都旅団の戦力は小さかったからリシェールはあの時勝利することが出来たが、彼女がこの王国軍十二万を心酔させるに至ったらどうか。いや、彼女の力で王国軍が勝利をすることになれば王都にある革命の気運さえ立ち消えてしまうのではないか。
「前方に抜けよう。やはり彼女が指揮する部隊の数は多くない。全面に戦力を押し出せば難なく突破できるはずだ」
 アルノが戦況を分析して言った。リシェールも彼の意見に頷いた。アルノの言うとおりレルシェルが率いる兵は少ない。そしてこの局面でレルシェルを討ち取る、または敗走させることが出来れば戦局はまた分からないものとなるだろう。
 リシェールは方針を決定し、軍を動かした。
 それと同時刻、砲撃によって痛打を受けたブラゼッティは傘下の兵五〇〇を集めて、レルシェルの陣へ突撃を始めていた。これはリシェールの司令を待っての行動ではない。彼の判断である。彼の判断は独断専行ではなく、彼に与えられた権限によるもので正当だった。彼も一流の将軍であり、戦況を分析してレルシェルの陣を突破することが一番だと判断し、それはリシェールらの考えと変わらなかった。
 また彼が抽出した五〇〇騎と言う戦力もレルシェルの傭兵隊一五〇騎の三倍以上であり、その戦力は十分と言えた。
「やはり来たか。敵も良く見ている。ギャラン! 迎え撃て!」
「おう! 行くぞ、野郎ども!」
 レルシェルは砂塵を上げて突撃してくる槍騎兵を見てギャラン率いる傭兵隊に指示を出した。包囲から抜け出すときに最も相手の薄い箇所をつくのは当然だ。
「抜かせるな! なんとしてもここで食い止めろ!」
 ギャランは部下に檄を飛ばした。ブラゼッティの槍騎兵は革命軍の精鋭だった。ギャランらの傭兵も歴戦の勇者であり三倍以上の敵を良く食い止めて戦ったが、数の劣勢は覆すことが出来ず、突破を許してしまう。いち早く突破を果たしたのは豪腕が自慢のブラゼッティだった。
 ブラゼッティはレルシェルの姿を見つけると迷わず突進した。
 赤い軍服に金色の長い髪。遠めにも凛々しく美しい彼女の姿は否応にも存在感がある。
 いや、彼女はこの戦場で逃げも隠れもしなかった。
「レルシェル・デ・リュセフィーヌ殿とお見受けする! 我が名はアルフォンノ・ブラゼッティ! その首貰い受ける!」
 吶喊して来るブラゼッティを見ると彼女は唇を締め、腰の剣に手を置いた。
 その右手が震える。
 レルシェルは平静を装っていたが拷問で受けた負傷は未だ癒えておらず、こうして馬に乗っているのが精一杯という状態だった。その身体でブラゼッティの豪槍を相手取るのはとても不可能だった。
 ギャランらは多数の兵を相手をしていてレルシェルの援護には誰一人たどり着けなかった。
 ブラゼッティの槍がレルシェルを捕らえようとしたその刹那、彼の槍は強烈な衝撃を受けて跳ね上げられた。
 ブラゼッティが驚いて構えなおすと、彼とレルシェルの間に一人の青年の傭兵が立ちはだかっていた。正確には青年は傭兵ではなかったが、騎士の格好ではなかった。
「フェデルタ……」
 レルシェルも青年の名を呼んだ。彼はフェデルタ・コンラード。
 レルシェルはフェデルタが一騎打ちに割り込んだことに少し驚いていた。レルシェルが力を持たぬものであれば、彼は当然割り込んだであろうが、レルシェルには十分な実力がある。そしてその力に彼女は自尊心もある。フェデルタはそれを一番理解している人間だ。レルシェルはそれを知っていたから驚いていた。
「悪いな……一騎打ちに野暮なことをしてよ」
 フェデルタは風に髪を揺らしながらブラゼッティを見た。
「だが、今こいつはポンコツの怪我人だ。あんたほどの武人が怪我人の小娘を相手にしたとありゃ後の笑い種だろ。俺はこいつの剣となろう。こいつは逃げも隠れもしねえから、俺に勝ったらあいつの命をくれてやる。それでどうだ?」
 フェデルタは挑発的な笑みを浮かべてブラゼッティに槍を向けた。
 ブラゼッティは驚きのまま硬直していたが、フェデルタからほとばしる気力に只者ではないと悟って槍を握る手に力を入れた。
「面白いことを言う若造だ。たしかにリュセフィーヌ殿は万全ではないようだ。その条件飲もうではないか。リュセフィーヌ殿もそれでよろしいな」
 ブラゼッティはレルシェルの動きの機微を見抜いて言った。
 レルシェルもフェデルタの言葉に驚いたままの表情でいたが、ブラゼッティの言葉に我を取り戻した。
「かまわない。フェデルタが負けたなら、私の命、持って行くがいい!」
 レルシェルは即答した。彼女の言葉に澱みや躊躇いはない。真っ直ぐな瞳で彼女は答えていた。
 ブラゼッティは感心した。なんという透明で強い絆であろうか。
 レルシェルはフェデルタに全幅の信頼を寄せている。一方でフェデルタはレルシェルを援ける上で何の疑念もない。この二人が特別なのかどうかブラゼッティには分からないが、少なからずレルシェルとその配下の者たちにはそう言った関係があるのだろう。
 ブラゼッティはその関係をうらやましくも思ったが、彼は彼の役割を忘れていなかった。
「行くぞ!」
 ブラゼッティは掛け声を上げると馬の腹をけり、フェデルタに突進した。
 フェデルタも馬を走らせて、ブラゼッティを迎え撃った。
 槍と槍がぶつかり合う音が響く。
 一合、二合と打ち合っていくうちにフェデルタが押され始める。フェデルタよりもブラゼッティのほうが二周りほど身体が大きく、力勝負ではブラゼッティのほうに分があると言えた。
 だがレルシェルは二人の戦いを静かに見守っていた。
 フェデルタの勝利を信じていたからだ。
 彼は常に彼女の前を行き、その背中を彼女は追ってきた。その彼が負けるなど、少女には想像も出来なかった。
 フェデルタは防戦気味に戦っていたが、ブラゼッティのある一撃をまともに受けず、力をわずかに抜いて受け流した。それはほんの僅かであったがブラゼッティの体勢を崩し、フェデルタは反撃を一瞬だが早めた。
「むっ」
 ブラゼッティもその異変に気がついたが、戦いはなおも彼の優勢で続いた。だが、どこかそれまでとリズムが狂い始めていた。フェデルタは防戦を続けていたがその表情は冷静なままで、むしろ勝負がつかないことにブラゼッティに焦りが見えた。
 業を煮やしたブラゼッティは勝負を決めるべく渾身の力をこめて強烈な一撃を振り下ろした。
 フェデルタはそれを待っていた。その一撃を彼の目は的確に見極めると、間合いを詰めた。
 ブラゼッティは驚いた。この一撃をフェデルタの膂力では止めることができず、避けるしかない。だが彼は避けるにしても逆に間合いを詰めて、ブラゼッティの槍の間合いの内側へ潜り込んだのだ。
 そこが死角だとしても普通できることではない。
 この男、恐怖心と言うものがないのか――?
 ブラゼッティは戦慄した。
 違う、この男は避けられることに確信があったのだ。それは並大抵の修練と経験では出来ないことだ。この男は強い。ブラゼッティはフェデルタを見て思った。
 だがこの間合いではお互いに手出しが出来ないはずだ。ブラゼッティは間合いを開いて仕切りなおそうと考えた。
 その刹那、ブラゼッティの身体は宙に浮いていた。
「なっ?」
 驚愕するブラゼッティ。予期せぬ方向からフェデルタの槍が突き出ていた。ただし、それは槍の柄のほうだった。
 つまりフェデルタはブラゼッティの攻撃を避けるとき、間合いを詰めることを決めていてその瞬間、槍を持ち替えていたのである。
 間合いを開くため、後方へ体重を傾けていたブラゼッティに絶妙なタイミングでフェデルタは槍の柄を叩き付けた。
 フェデルタの突きそれはさほど強い力ではなかったが、ブラゼッティはその勢いで落馬してしまった。
「馬鹿な……」
 しりもちを付く形で倒れたブラゼッティは馬上のフェデルタを見上げて呆然とした。
 フェデルタは勝ち誇るわけでもなく悠然とブラゼッティを見下ろしていた。
 古来より馬上での一騎打ちは落馬したほうが負けである。
 ブラゼッティはしばらく自失していたが、状況が飲み込めると突然豪快に笑い始めた。
「負けた負けた! 俺の負けだ。騎馬の一騎打ちで俺が負けるなど、何年ぶりだろうか。若いの、名をなんと言う」
 ブラゼッティは敗者であるとは思えないほどの陽気な声で言った。フェデルタはそれに軽く驚いた表情を作ったが、潔く負けを認めるブラゼッティに悪い印象はなかった。
「フェデルタ・コンラード。これでも一応は騎士だ」
「フェデルタか。お前はいい騎士になりそうだ。さて、俺の首でも何でも持って行くがいい」
 ブラゼッティはそう言い放つと覚悟を決めたように胡坐をかいて座り込んだ。
「どうする? レルシェル」
 フェデルタはレルシェルに判断を仰いだ。
「私は敵将の命に興味はない。が……卿の勇猛さは我々にとって脅威だ。このまま帰すわけにもいかない。卿にとって不名誉かも知れないが、ここは捕虜となっていただこう。待遇は私の名を持って保障する」
 レルシェルは馬を降りブラゼッティの前に立って敬礼をして言った。
 ブラゼッティは感心してレルシェルを見た。なるほど、この男だけでない。彼女の部下は彼女のために命を賭して戦うことを厭わない。その理由はこの彼女を前にすれば分かることだと彼は思った。
「レルシェル! ギャランたちが苦戦している。このままではまずいぞ」
 フェデルタは戦況を見て言った。
 ギャランら傭兵隊は良く戦っているが数の劣勢はどうにもならず、徐々に押されている。支えきれなくなるのは目前だった。
「いや……心配ない」
 レルシェルは風に乱れた髪をかきあげて言った。
 直後、革命軍槍騎兵隊の後部にこの場を離れていたシトロエンの隊からの砲撃が炸裂する。槍騎兵隊はたちまち混乱に陥った。
 ギャランたちはシトロエンが次の射撃地点へ移動する間を十分に耐えきったのだ。
 そしてレルシェルたちから見て右手に信号弾が上がる。
 それは援軍の合図だった。
 フィルマンもレルシェルの隊の兵の数が足りていないことを知っている。フィルマンはレルシェルの隊の救援と包囲網の完成のため司令部直属の騎兵五〇〇〇を動かして対応を急いでいたのだ。
 これによりレルシェルらは窮地を脱し、一方で革命軍は突破口を見失った。
 戦局は大きく王国軍に傾きつつあった。
 レルシェルはそれを見て一つ安堵の息をついた。傭兵たちもひとまず戦線を離脱し、レルシェルの周りに集まってきていた。
 そのとき、一騎の騎馬が彼女の元に駆け寄り、乗っていた青年は馬を降りるなりレルシェルの前で跪いて敬礼をした。男は王国軍の将校の制服を着ていた。
「卿は……?」
 レルシェルが突然のことに驚いて訊ねた。
 青年将校は立ち上がり顔を上げるとレルシェルを見て言った。
「私はカミール・デ・フィルマン。王都防衛の司令官を勤めさせていただいています」
 その名乗りにレルシェルたちは驚いた。傭兵らは勿論、レルシェルもフィルマンとは初対面だったのである。司令官が護衛も伴わず、単騎一部隊の指揮官の下に現れ跪くとは想像出来るものではない。しかもレルシェルは立場的にはフィルマンの部下にあたる。
「なあに、私は勝利の女神に感謝の意を表しただけさ。まあ冗談はさておき、リュセフィーヌ殿、本当に良く来てくれた。おかげで我が軍は息を吹き返した。まあ少しは仕込みをしたがね」
 フィルマンは笑うと主戦場となっている方角を見て言った。王国軍は革命軍を取り囲み、その革命軍を追い詰めていた。数の上でも王国軍は革命軍の二倍近く、戦意もレルシェルの登場によって高く勝利は時間の問題と言えた。
「まだ勝ったわけではありませんが、上手く行ったのは閣下のおかけです。私の前例のない無茶苦茶な作戦にこれだけの大砲と軍馬を預けてくれたのですから」
「うむ。まあ賭けと言えば賭けだった。とは言え、まともな作戦では革命軍の勢いを止める事はできないと踏んでいたからね。ただ、あなたの戦術は素晴らしかったが、今の状況を作り出したのは局地的な戦果ではない」
「と言うと……」
 フィルマンの言葉にレルシェルは怪訝そうに訊いた。
 フィルマンは肩をすくめて小さくため息をついた。王妃ディアーヌの言葉は、確かに正しいと彼は思う。ディアーヌは彼にこう言っていた。
「レルシェル・デ・リュセフィーヌ。彼女はまだ若く未熟で数々の弱点があるけれど、その中で最も困った点があります。それは……彼女は自分自身がどう言った存在なのか、まるで解ってないこと。まったく腹立たしい」
 フィルマンはそう言った時のディアーヌの表情を思い出した。嫉妬と敬愛、愛情が入り混じって彼女自身よくわからなくなって怒ったような表情をしていた。
「リュセフィーヌ殿、戦場を見なさい。王国軍の将兵は、あなたが味方であると解って、自分たちが正しいと信じる勇気を持つことができた。あなたに導かれていることで勇気を持つことができたのだ。おそらく、王都の民も兵士たちと同じだろう。あなたは導く者だ。そういう存在なのだと、自覚を持った方がいい」
 フィルマンは穏やかな表情で言った。
 レルシェルの表情は半分は包帯に隠れて良くわからなかったが、半分驚いたような表情で聞いていた。
 彼女は大貴族の出自であり、北壁騎士団の騎士団長を務め、このフェルナーデを変えたいと言う理想を持って立っている。指導者、フィルマンの言う導く者であろうと言う意識はある。
 だが――。
「フィルマン閣下。しかし私は未熟で良い指導者である自信がないのです」
 レルシェルの言葉はまるで教え子が教師に口調だった。フィルマンはそれに少し苦笑した。
「では問おう。君はどんな指導者になりたいのだね? いや、もっと広く言うと君の理想はどういうものかね?」
 フィルマンの問いにレルシェルは右手を口元に置き、少しの間考えていた。
 レルシェルは顔を上げた。
「私は、正しくありたいと思います」
 レルシェルの言葉は端的であった。だがそれは誰にでも簡単に口にできるものではなかった。人の上に立ち、人を導く者が「正しさ」を貫く。それは決して容易なことではない。それは理想として単純で至極難しいものだとフィルマンは思った。
 だが、この目の前の真っ直ぐな少女の視線を受けて聞くと、彼女のならばできるのではないか言う思いにさせられる。
 フィルマンは思わず笑みをこぼした。
 レルシェルは少し困った顔をしてフィルマンを見上げて言った。
「曖昧な答えでしたか。具体的になにが『正しい』とは今うまく言葉にできませんが……」
「いや失礼。それがあなたの理想か。あなたは確かに正しい。もちろん失敗や間違いもあるだろう。それを含めてあなたは正しくあろうとする。それは導く者として正しい姿だと私は思うよ」
「はい」
 レルシェルの即答は気持ちの良いものだった。
 フィルマンは大きく頷いた。
「なるほど、よろしい。その気持ちを忘れずにな」
 フィルマンはそう言って戦場を見た。
 この戦いに勝利しても、歴史の流れは大きく変わらないだろう。一時的な勝利が現体制に対する不満を解消するものではないからだ。近くこの国は大きく指導者が変わるだろう。その時にこのレルシェル・デ・リュセフィーヌが指導者の一人に立ち、その正しさでフェルナーデを導いて行くことが出来たなら――。
 そのためにもここで一つ勝利を手に入れることは彼女にとって大きな布石となるだろう。
 だが、その時。
「王都に多数の煙が! 王都に火の手が上がっている!」
 それは周辺を警戒に出ていた傭兵の報告の叫びだった。
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