挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

ショートショートの駒台(玉)

善意の神

 男は夢を見た。
 これが夢であるという判断に足る根拠があった。
 すぐ目の前には眩いローブを身にまとう老人が立っている。神々しい後光を放っている。
 これが夢でなければ何なのか。
 目を細めながら、男は言った。
「あなたは?」
 夢とは言えど、おのずと丁寧になる。
 老人から返される声は、男の頭の中で響いた。
「私は善意の神。あなたの願いを叶えて差し上げましょう」
 甘い響きだったが、男は少し抵抗を見せた。
「知っているぞ。こういう物はたいてい魂を持って行かれるのだろう」
「いいえ、私は悪魔ではありません。私は善意をつかさどる神。見返りを求めない善意によってあなたを幸せにして差し上げます」
 神というのは総じてそういう物ではないのだろうか――男はそう思いながら頬をつねり、確実に夢であることを再確認した。
 そうか夢ならば――と、
「大金が欲しい」
 と願った。
 言葉が響く。
「分かりました。叶えて差し上げましょう」
「本当か? 俺が言っているのは、見たことも無いような大金だぞ。それが毎日のように転がり込んでくる生活がしたいんだ」
「分かっていますとも。善意の神の得意とするところでございます」
 声の響きが収まるとともに、夢の世界は遠ざかっていった。
 男が目を覚ますと、さっそく見たことも無い大金が頭の上から降ってくるのが目に入った。

 超巨大な十円硬貨だ。

 男はコンビニの募金箱の中にいた。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項をご確認ください。

名前:

▼良い点
▼気になる点
▼一言
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ