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第8話 プロット先生ってだれ?
Drプロットの恐竜教室


Drプロット(ロバート・プロット)
容姿  
ハゲ頭でトンボメガネをかけている。
鼻の下には太くて長いヒゲをはやしている。
やせて、背が高い。

教科  
理科

専門  
恐竜学・古生物学

舞台  
岡の上小学校 6年A組

生徒
毛利隆史
大内清子
加藤清高
島津直子
多古弘子
菊池ひとみ
平賀和也
武田好
福原耕太



第8話 プロット先生ってだれ?


僕は岡の上小学校6年A組の毛利隆史です。
プロット先生の勉強が楽しくって毎週日曜日には予習の為に図書館へ行きます。でも僕はがり勉ではありません。どちらかと言うと勉強は嫌いな方です。成績だって体育以外はだいたい1か2.
でも今は理科が一番好きです。

「おっ隆史、日曜日は図書館へ行く日じゃないのか?」
僕のお父さんが新聞を持って居間へ入ってきて食卓の前にドッカと座りながら言った。
「お父さん、トイレに新聞を持ち込むのはやめてと言ってるでしょう。」
台所からお母さんが背中越しに叫んだ。
「そうだよぉ、あとで読むときにいつもにおいが残っていて嫌だよ。」
僕もお母さんに同調して言った。
「判った判った、もうしないよ。」
お父さんは新聞を読みながらうるさいハエを追い払うしぐさで
「それより、早く図書館へ行け。」
と言った。
「いいんだよ今日は。明日の勉強はもう知っている事なんだから。」
「へ〜隆史が習うより前に知っているなんて凄い事じゃないか。」
お父さんは新聞をたたんで、ビックリしたような顔で僕を見た。
「そりゃぁ僕だって好きな勉強は先にやるさ。だって褒められるんだもの。」
「そうかそうか、お前が勉強で褒められる事なんか無いからなぁ。」
お父さんは変なところで感心した。
嫌な感じ。
「そうだ、その理科の先生って何て言う先生だったっけ?」
「プロット先生だよ。」
「どこから来たって言ってた?」
「えっ、そんな事知らないよ。でもイギリスで恐竜を探していたって言ってたような・・・」
「そうかイギリス人か。イギリスは昔から恐竜じゃ有名だものなぁ。」
「えっお父さんそんな事知ってたの?」
「バカ言え、お父さんだって子供の頃は恐竜大好き人間だったんだぞ。大学の時留学して大英博物館も見に行ったよ。でっかい恐竜の骨を覚えているぞ。」
「あっそれディプロドーカスだよ。入ったらすぐにある奴。」
「おっ知ってるのか。隆史凄いじゃないか。」
お父さんが感心して言った。
「何言ってんのよ、わたしの子供でしょ。」
お母さんが台所から又言った。
「おいグダグダ言わないで早く飯にしろ。」
お父さんが顔を曇らせて叫んだ。
「そうだよ、お母さん早くしてよ。おなかペコペコ。」
「そうかそうか、お前もおなかペコペコか、い〜ぱい食べて、い〜ぱい走り回って元気な子で居てくれよ。勉強なんて程ほどでいいんだからな。ところでそのディプロ何とかって言うのは肉食うのか?」
「な〜んだ、そんな事しらないの?ディプロドーカスはハービボーなんだよ。」
「なんだそのハービーってのは?」
「ハービーじゃなくってハービボー。ハービボーってのは草食恐竜の事を言うんだよ。ディプロドーカスは長い首で高い木の葉っぱなんかを食べる恐竜だよ。」
「へ〜そうか、ハービボーって言うのか。お前は凄いなぁ。プロット先生って凄い先生なんだなぁ。」
「そうだよ。でもね、汚いバックパック一つだけしか持ってなくって、毎日同じものを着てるんだ。頭はハゲてるし、耳の上に縮れ毛がタワシみたいにくっついていて、最初はこじきかと思ったんだ。」
「なんだい、バックパックだけで生活してるってのは、じゃぁ風呂も入らないのか?」
「ううん、校長先生がホームステイ先を探してあげたから、この頃はにおいも無くなったよ。」
「あっそうだ、ちょっと待ってろ。」
お父さんは何を思い出したのか新聞を横において立ち上がって部屋を出て行った。
しばらくして
「じゃ、これ先生にやってくれ。」
と言って、新しいバックパックを僕のひざの上に投げた。
「え〜これ凄いじゃん。ビラボンだよ、」
アーミー模様のバックパックは少し大きめで色んな所に多くのポケットが付いている。肩からかけるベルトには携帯用のポケットまで付いているし、両サイドにはメッシュの飲み物ホルダーがある。
「ああ、買ってから一回だけ使ったけど、もう使うことなんて無いから先生に使ってもらえ。」
「凄いや、お父さんありがとう。僕も欲しいぐらいだよ。きっと先生も喜ぶよ。」
「おぅそうだろうよ。まぁ学校嫌いのお前を変えてくれたんだから、そのくらいはお礼をしなくっちゃな。」

翌日の月曜日は少し早めに家を出た。だって普通のカバンにでっかいバックパックも持たなくっちゃならないからだけれど、何で二つもバッグを持っているのか友達なら聞くじゃない。それを一々説明するのがわずらわしいじゃないか。
「あれっ隆史。凄いバックパックを持ってるじゃないかよぉ。」
嫌な奴が一番に見つけやがった。平賀和也はうるさい奴じゃないんだけれど、いつも僕を見下ろして話すから嫌なんだ。
「うん、親父が先生にやれってさ。」
「な〜んだ。先生ってプロット先生だろう。それより俺にくれよ。」
うるさい奴だなぁ。触るなよ。
「駄目に決まってるじゃないか。お前なんかにゃもったいないよ。」
「ふんだ。」

「おはようございま〜す。」
朝のあいさつでみんなが席に着いた。
「先生!」
僕、毛利隆史が叫んで立ち上がった。
「おっ、タカシ。なんだい?」
出席簿から目を上げてプロット先生が言った。
「親父が先生にこれをやれって言ったんだ。」
僕はバックパックを高く上げて言った。
「あんた馬鹿だね。先生に物をあげる時はコソッとあげるんだよ。そしてやれって言ったって言うなんて失礼よ。目上の人には差し上げるって言うのよ。」
横で清子が顔をしかめて言った。
「そうだよタカシ。日本語をもっと勉強しなくっちゃいけないね。清子の言うのが正しいよ。」
プロット先生が近づいて来て言った。
「どれどれ、おっ!いいバックパックだね。これ欲しかったんだ。この前ホームステイ先のパパさんが車でスポーツ用品店へ連れて行ってくれた時にビラボンのこれを見てて気に入ってたんだ。本当に貰っても好いのかい。」
「だって親父が持って行けって言ったんだからいいんだよ。でもちょっと大きいかなぁ。」
「だいじょうぶ。僕のバックパックは小さいから。」
プロット先生は言いながら中指と親指でパチンと音を立てた。
そうしたら、先生の黒いバックパックがゆっくりと僕達の頭の上を飛んできて、新しいバックパックの中へ入っちゃった。
「じゃ貰っておくよ。あとで先生がお父さんにお礼を言っておくからね。タカシありがとうね。」
僕達がポカーンとしている間にプロット先生は教壇に戻った。
「さぁ授業を始めようか。今日は何を勉強するんだったっけ?」
「先生。それよりかさ、きのう親父に聞かれたんだけれど先生ってどこの人ですか?」
「そうそう、わたし達、先生の事なにも知らないのよ。話してよ。」
横から清子がでしゃばって言った。
「あっそうか、そう言えば、誰にも言ってなかったっけ。校長先生には聞かれたから言ったんだけれど、別に隠していたんじゃないよ、ごめんね。じゃぁ少し長くなるけれど今日は先生の事と恐竜達の話をしよう。まず僕はイギリス生まれのイギリス人だよ。イギリスって国はわかるかい?」
「は〜い」
全員が口を揃えて返事をした。
「そう、じゃ、僕は大英博物館のキュレーターだったんだ。でもね今から見ると随分と昔に生まれててね、恐竜の発掘現場でこのバックパックを枕にして寝ていたんだ。昼寝だったんだけれどぐっすり寝たんだろうね。起こしに来たのが校長先生でさ、ビックリしたよ。だって校長先生の家の玄関で寝ていたんだから。校長先生もビックリしただろうね。そうして色々聞かれて、僕は大英博物館のキュレーターで恐竜学を勉強していると言ったら、この学校の先生をやらないかと言われたんだ。でも変だね。僕は日本語なんて勉強した事も無いのにしゃべれるようになっていたんだよ。」
「へ〜いいなぁ。」
「そう、いいだろうタカシ。」
「先生、どうして発掘現場から日本へ来たのですか?」
「ヒトミちゃん、それは先生にも分からないんだ。ただ昼ねしていただけなんだよ。ま、その前に色々気に入らない事がたくさんあってね。あんまり仕事をする気になっていなくてねぇ。」
「何が気に入らなかったの?」
「うん、先生が大きな恐竜の足の骨を見つけたんだけれど、教会の偉い人達がね、神様が創ったものが滅びる筈が無いと言って、それは大男の骨だなんて言うんだよ。そんな5mも背がある大男なんていないよねぇ。」
「先生、それっていつごろの事ですか?」
「そうだね1677年頃だったかなぁ。僕が37歳だから。」
「へ〜先生ってそんなにお年寄りだったんだ。」
僕が叫んだ。
「今は何年かなぁ?」
「2008年で〜す。」
「えっそんなになるのかい。参ったなぁ。」
「どうして〜」
「まぁ、先生もこんがらがって、頭を整理するから急がせないでね。」
プロット先生は息をついて言葉を続けた。
「先生の名前は最初に言ったよね。ロバート・プロットだよ。でも僕は1640年に生まれているんだ。そして博物館で働き始めてから1677年に、さっき言った様に大きな骨を見つけてね。色々とキリスト教会から文句を言われて、ちょっと嫌になっていたんだ。でね、恐竜の化石を掘りに行ってきま〜すって発掘現場へ行ってお昼寝していたんだ。」
「そ〜したら、先生って何歳なんですかぁ」
島津直子が、すっとんきょうな声で叫んだ。
「馬鹿だなぁ計算すればいいじゃないか。」
「ふん、偉そ〜に、じゃ何歳よ?」
「331歳だよ。」
横から清隆が助け舟を出してくれた。
「おーそうか331歳か。すごいね」
「先生、なに感心しているんだよ、これって変だよ。まるでタイムマシーンに乗って来ているみたいじゃない。」
またまた僕の口が勝手にしゃべる。
「あっ、それなら、先生のバックパックがタイムマシーンじゃないのかな。」
清隆が言ったので僕はハッとして清隆を見た。
そうか、そうなんだ。そうしたらバックパックの中の不思議も判る。
「よしよし、まぁ先生の歳を数える事なんか後回しにして、もう少し話をしよう。恐竜・ダイナソーって言葉が作られたのは先生が生まれてからずーっと後の事なんだ。イギリスの外科医のリチャード・オウエンが、2つのギリシャ言葉をくっつけて作ったんだ。一つはテリブル(Terrible)で恐ろしいとか変なとか言う意味のDeinos。もう一つはリザッド(Lizard)でトカゲを意味するSaurosだよ。だからそれらをくっつけてダイナソー(Dinosaur)になったんだよ。それで先生が見つけた骨はイグアナドンの大腿骨だと言う事になったんだよ。」
プロット先生が黒板に書きながら行った時、清子が立ち上がって言った。
「先生!それって変じゃない。だって先生は1677年頃からここへ来ているんでしょう。だったら1830年頃の事なんて知っている筈ないでしょう。」
「おっ清子、いい事を言うねぇ。でも変じゃないんだよ。校長先生の玄関で寝ている間に先生の頭の中は計算機がカチャカチャ廻るように数字や歴史が動き回っていてね、何故か知らない内に全部判っちゃったんだよ。」
「いいなぁ、勉強しなくっても、ぜ〜んぶ判っちゃうなんて。僕も校長先生の玄関で寝てみようかな。」
こらこら僕の口め!勝手に何を言い出すんだ。
「そうね、隆史も寝てみるともっと勉強が出来るようになるかも知れないわよ。」
清子がからかうように言ったので、僕は頭に来て睨み付けてやった。くそ〜
「ははは、じゃ、みんなにもわかるように恐竜達を並べてみよう。」
プロット先生はバックパックの中へティラノサウルスを突っ込んでチョークを一本取り出した。ポィッと空中に軽く投げるとチョークは黒板へ飛んで行き、真ん中に端から端まで一本の線を引いた。
何だろうと見ている内にその線が前にせり出してきて長いテーブルが黒板にくっついているようになった。
「じゃ三畳紀の頃からにしよう。」
プロット先生が言ってバックパックの中から小さな恐竜達を出して、そのテーブルの左端に置いた。
「さぁこの恐竜達の名前を言えるかな?」
「は〜い」
僕の口が勝手に返事をして、右手が勝手に上がった。
こらこら僕はそんなの知らないよ。どうしよう。
「よし、タカシ言ってごらん。」
先生の言葉に僕は立ち上がってって、えっ、なんで?
「はい、プロサウロポッドとコエロファイシス、それにプラトサウルスです。」
「すっご〜い」
「さすが恐竜博士だ」
「よしよしタカシすごいぞ。」
先生が言う前にみんなが叫んだ。
ふふん、どんなもんだい、って、僕じゃ無いよ〜
「じゃぁ次に」
と言ってプロット先生は同じように恐竜達を出してテーブルに並べた。
バルカノドン、ヘテロドントサウルス、アンキロサウルス、メガロサウルス、ヒュアンゴサウルスだ。
またまたチョークが勝手に飛んで行って数字を書き始めた。先の恐竜達との間に縦線を入れて208myaと書き、今度の恐竜達の後ろに175myaと書いた。
「myaと言うのはミリオン・イヤーズ・アゴーの省略で100万年前と言う意味だよ。さて、先の恐竜達は三畳紀の後ろの方で生きていたんだけれど、今度のはジュラ紀の前期から中期にかけて生きていた恐竜だよ。こら動くな!」
プロット先生は僕達に説明をしていたが、恐竜たちがゴソゴソと動き出したので恐竜をどなった。ビックリした恐竜達はビクッとしてから静かになった。
チョークは154myaと書き、144myaと書いた所で又縦線を入れた。
そこへプロット先生は又バックパックから恐竜達を取り出して並べ始めた。
首の長い竜脚類でしっぽに4本の棘があるスノサウルス、パタゴサウルス、アロサウルス、それに首としっぽがすっごく長いアパトサウルスやディプロドーカス、そして背中やしっぽにたくさんの棘を持っているステゴサウルス。そうして鳥みたいなアーカエオプテリクスを並べた。
「さぁ、ここまでがジュラ紀だよ。名前はチョークが書いてくれるからみんなはノートに書いておく事。いいね。」
「は〜い」
みんな返事をしたが、それよりか先にみんなは絵を書いて名前を書き写している。
チョークは忙しそうに黒板を飛び回って恐竜の名前を書いている途中から、次の数字を書くところへ飛んで行った。今度は99myaと65myaとだけ書いて元の名前書きに戻った。
次にプロット先生が出したのはイグワナドンだ。先生が一番最初に見つけた恐竜だ。
「そう、タカシよく覚えているね。これが先生が見つけた恐竜なんだよ。みんなも覚えていてね。」
へっ?僕は何も言ってないし、考えながらノートに書き写していただけなのになぁ。
でも、まぁいいか。
ほめられるのは悪くはないからなぁ。

プロット先生は続けてアンキロサウルスのミンミ、ディノニクス、ノドサウルス、トロードン、頭にツノが3本生えているトリケラトプス、そして最後にティラノサウルスを並べた。
「さぁこれで最後だよ。この65myaというのが恐竜達の最後の年でKT境界と呼ばれているんだ。さぁみんなノートに書けたかな。」
プロット先生が言った時、最後に出てきたティラノサウルスが大きな声で吠えた。今まで大人しくしていた恐竜達がビックリしてキョロキョロ周りを見回した。
もう一度ティラノサウルスが吠えた時には、全ての恐竜達が先生のバックパックの中へと走り込んで行った。
「バカ、みんなをビックリさせちゃ駄目じゃないか。」
と、プロット先生がティラノサウルスの頭をゲンコで軽く叩くとティラノサウルスはシュンと大人しくなって先生につままれてバックパックの中へ入れられた。
「さぁ、今日の恐竜達を恐竜新聞に絵を書いて載せておいてね。判ったねタカシ。じゃ今日の授業はおしまいだよ。」


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