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カルマがランドに赴いた影響1

 リディアに呼び出された次の日から、私は真田の情報を集め始めた。

 ラスティルさんから真田が支配する街の名前がヘインだと聞きだしてあるので、その街について調べる形を取ってだ。

 更に今度は行商人や旅人らしき人にしか接触しないように気を付けて。

 私と真田に何か関係がある。なんて思われたら本末転倒なので、より慎重に行動している。


 想定外の情報量が集まりはした。しかしあまり有益と言えない情報ばかり。

 よーするに、リバーシ関連の情報が殆どなのだ。

 ヘインでは、定期的にリバーシの大会が行われている。

 但し、参加する為には真田印のリバーシを所持していないといけない。

 少しでも偽造を防ごうとしてるのだろう。

 そして、その大会では常にセキメイとフェニガという男女が決勝を争っているのだとか。

 街では常にリバーシの対戦が行われているけども、皆本物でないと対戦してくれないので、少なくとも街では偽物が出回っていない。

 ゆえにリバーシ好きは真田印が付いてる物を買う。

 周辺の街からも金と時間に余裕がある奴は腕試しに来るらしいし、資金集めは順調だと思われる。

 そして、情報はそれで終わり。


 真田とユリアは民に優しい良い貴族だという噂程度しか、ラスティルさんからの情報に付け加えられなかった。

 仕方ないと言えば仕方ない。

 あいつらがヘインを手に入れて半年も経ってないはず。

 大きく動けはしない。

 ラスティルさんの情報は裏付け出来たし、とりあえず満足しますかね。



 やるべき事はすべてやり、後はカルマの情報が来るまでは何もできない。

 毎日を倉庫での仕事と、アイラ様の屋敷を住み心地良くする為の作業で過ごす。

 蚊が沸かないように、水たまりになりそうな所を排除したりといった細かい仕事だな。

 尚一緒に住んでるからって、役得はない。

 とても慎重に行動するのを強いられている。

 今下手こいて追い出されたら色々台無しじゃないですかと。

 ……残念じゃないとは言わない。

 この環境を望んでる人々に失礼だから。

 具体的にはフィオとか。



 そしてカルマが旅立ってから三週間が経とうとした日、あちらこちらで一つの話がされていた。

 それは、城に尋常では無い様子で走りこんだ早馬についての話だ。

 内容を知っているのは今の所、留守を預かるフィオ、アイラ、リディアといった幹部のみ。


 私は早馬の様子が尋常では無く焦っていた。と、聞いて内心興奮で震えていた。

 このカルマ領にとって悪い様子ならば、それはザンザかカルマに不幸があった時だ。

 日数的にはランドに着いたカルマが、最速で早馬を飛ばしたとすれば丁度。

 着いた即日にカルマが死んだとは考え難い。

 よって私にはザンザの不幸を、ケイ帝国が完全な戦国時代へ移行したのを告げる早馬に思える。

 十官が権力を握ろうが諸侯の抑えには全くならない。

 彼らは官僚。戦力を握っていない。

 力が無ければ何も出来ないのが人類の歴史だ。


 ……つまりは、私の計画が理想的な形で開始されるのを意味する。

 早く、早く早く早く早く早く! 確定された情報が欲しい!!

 生殺しにも程がある。

 思考が先走って仕方が無いぞクソったれが。

 ……これも、平常心を保つ訓練か。

 周りに変な様子を見せる訳には行かないし、中々辛いぜ。


 しかし、更に二日が経つと平常心を保つ必要が無くなった。

 誰一人平常心を保ってる人間が居なくなったからだ。

 なんとこの二日間で更に二回、早馬が駆け込んできたのである。

 人々の口の間に登ってるのは、都合三回の早馬の様子のみと言っていい。

 一回目と二回目は伝令の顔色は真っ青であった。

 しかし、三回目は伝令の顔色は喜色に溢れていたと話されている。


 つまりランドで大事件が起こったのであろう。

 しかし最後には喜色で溢れている以上、トーク様は生きているに違いない。

 そういう話だ。

 私はそれに追加してカルマに表面上は素晴らしく良い出来事があったのだと思う。

 例えば、新しい皇帝の信任を得る。とかな。

 現在の皇帝候補は両方が若すぎて政務を取れない。

 となれば、当然支える人間が必要だ。

 この国に住む貴族の誰もが、涎を垂らして求める地位。それを誰が取るのか……。

 ザンザが死んで、危険と思って帰ってきてるなら良いのだが……ま、在り得ないな。


 調べた結果トーク姉妹は、ずっと辺境で暮らしていた真の田舎者だった。

 それゆえに中央の腐敗、権力に皆がどれ程執着するか、どれだけ辺境の人間が馬鹿にされてるかも本当の意味では知っていない。

 それでは慎重な判断を下すのは不可能。

 ……心の準備をして、リディアが教えてくれるのを待つか。

 かなり生殺しなのを除けば、広報されるのを待っても良いけど多分教えてくれるだろう。

 

 そして、夜。リディアが呼び出してくれた。

 私はどのように振る舞うか何度も頭の中でシミュレーションをしながら、リディアの部屋へ案内される。

 部屋に着くと、直ぐに人払いがされた。

 少し焦ってるように見える。珍しい。

 しかし起こった事件によっては、焦って当然。……これは大当たりが来たか?


「ダン、今誰もが話している早馬が、どんな報告を持って来たかご存じか?」


 いやいや、その質問は流石におかしくない?


「全く。私が知っているのは街の噂と同じ内容だけです。まだ極一部の上の方しか知らないと聞いておりますが……違うのでしょうか?」


「確かに十人と知らないはず。しかし……本当にお話しする必要がありますかな?」


「バルカ様に不都合が無ければ、私にも好奇心がありますので教えて頂きたい。とは思います」


 ここで頭を下げて表情を隠し、その姿勢を保つ。

 少しの時間でも表情を見られたくない。


「……以前に貴方が拒否したからしないだけで、(わたくし)としては跪いてでも報告の内容を、どう推測しているか教えて頂きたいと思っている。如何に」


 どういう意味だ?

 まるで誰にも知られていないはずの情報を知ってる。と思ってそうな口ぶりだ。

 現実として不可能だというのに。

 早馬よりも早く情報を伝える手段は無いはず。

 もしかしたら、何処かで伝書鳩を使ってるかもしれないが……。

 

 ……やはり、以前相談した内容がそのまま現実になったか。

 カルマが大出世しそうなのだろう。

 それならば、この態度も納得できる。

 私としては、思いつく中で最も自分に影響がありそうだから聞いてみたのだが、そりゃリディアから見れば軍師真っ青の先を見る力か、何らかの情報網を持ってる可能性を感じるよな。


 当然素直に答える訳には行かない。

 変な手段だけは取らないでくれよリディア。

 外で護衛の為に待機してくれている草原族の人々を呼びたくはない。

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