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ラスティルとの再会

 レスターに帰ってきて四か月が経った。

 カルマの出世を喜んでいた街も、落ち着きを取り戻している。

 コルノの乱では上手く立ち回った奴も居れば、失態をおかしたやつもコルノ党と戦って死んじゃった領主も当然いるわけで。

 その分の領地を功績が在った者に配分され、カルマは伯爵となった。

 

 近頃街の話題は、コルノの乱で活躍した人々の話だ。

 主にザンザ、イルヘルミ、フォウティ、ロッサといった名前を良く聞く。


 特にフォウティ・ニイテという人の名声は凄まじい。

 何でも戦いの度に軍の先頭に立って突撃したとか。

 立ち塞がる者は、武器防具、人、砦の区別なく真っ二つになったという話だ。

 軍の長が毎回先頭で突撃なんて頭おかしいし在り得ない。

 しかし民の評判ではそうなっていて、他の人間よりも明らかに頭抜けた評判を得ている。

 その武器まで名が知れ渡っているのだ。

 他の人々の武器の名なんて聞いた覚えがないっていうのに。

 普通に考えたら当然だ。

 だって、領主なんだから一度も武器を振るって無い人が殆どだろう。


 白虹(はくこう)の剣。ケイ国最強の武器だそうだ。

 一説では魔術を用いて作られたとも言われている。

 全てを斬り裂く剣、フォウティが全力で振るえば山をも斬り裂くであろうですと。

 ほほぅ、川ではなく山を斬り裂けるのならエクスカリバーより上。

 エヌマなんちゃらとどっちが強いのだろうか?


 ……この地形に住む人本当盛り盛りしちゃうの好きね。

 地球でも赤兎馬は一日千里を駆けるって……それ414キロメートルだって分かってんのかね?

 ロシアのドン種は284キロメートルを一日で走ったと言う記録があるそうだが……。

 確か赤兎馬はアルテケって品種なんじゃないかと言われてたな。

 ソビエトが食べる為に殺しまくった所為で、21世紀じゃすっごく希少な馬。

 あの国一時期食料不足で大変だったが……流石に……いや、そりゃ飢えれば食うだろうけどねぇ……。


 白虹の剣は多分凄く出来の良い鋼の太刀なのだろう。

 私たちが相手をしたコルノ兵士の殆どは粗末な武器、つーか農具の奴も居た。

 フォウティが相手をした連中も同じようなもんのはずだ。

 その差によって凄まじい力を発揮したのだと思う。


 それでも先頭になって突撃を毎回なんてありえない。

 やったとしても、一回でしょ。

 あまり盛るのは感心しないね。


 ……実は真名によって武器の力を解放したら、魔力ビームで山が斬れましたとか……ないよな?


 こんな逸話よりも私にとって重要だったのは、フォウティのあだ名『江東の虎』だ。

 超聞き覚えがあった。

 三国志序盤無双のお人、孫堅(そんけん)のあだ名である。

 すんげー戦いが上手くて、大活躍して、董卓相手に演義だけでなく、確か史実でも孤軍奮闘……あ、曹操も戦ったんだっけ。

 とにかくその時スゲー強かった董卓を一人でビビらせたお人だ。

 ただ、かなり無謀な性格で、色々無茶した挙句に若くして死んじゃうはず。

 だが、彼の遺志は孫策孫権が継いでいくのだ。サクセサーオブダイングウイッシュ……(レザーと違って二人居る)。


 一応娘のテリカがフォウティと一緒に戦ったって話は聞いた。

 が、それ以外は耳に入って来ない。

 家族にまで人々の興味が移ってないのだな。

 うーむ……どうなんだ? こいつ孫堅しちゃうのか?

 とにかくニイテ家の皆様は要チェックである。

 私の知識通りなっちゃうと、三代に渡って若い頃から超有能のアカン人達なんですもの。

 孫堅(そんけん)(三十代で死亡)→孫策(そんさく)(十代で軍団の長となり無双開始)→孫権(そんけん)(十代で国の王同然となって、以後乱世をうん十年泳ぎ切る)とか……。

 三代目が一番優秀なんて世の法則に反してる。

 名家三代続かずってことわざ位知らんのかね? 

 どうなってんの? 司馬家なの? あっちもっと酷いけど。

 反省した方が良い。私の計画の為に。


 何にしろフォウティが孫堅しちゃった上に娘のテリカが孫策的にウェイカッ! した挙句、呉的なサムシングを江東地域にねいしょんビルディングされるとかなり面倒。

 ある意味一番しぶとかったはずだあの国は。


 まぁ、それも三代目孫権の手腕あってこそって話があるのに、その孫権的なフォウティチャイルドのネームをリスンしてないので、こっちではどうなるか五里霧中なんだけど。

 居るんですかね? あの地味有能君主。

 殆どの作品で空気の癖に、蜀より呉を長生きさせやがったコウモリ男。

 ……孫権的な人が居ても絶対本人の前では言わんがな。怖い人なのは間違いないのだから。



 さて、コルノの乱はコルノという首謀者が各地の群雄に囲まれ、袋叩きの上に殺されて終結した。と、ケイ帝国は主張している。

 本当は殺す前に病死してしまっていたらしい。

 実際は自殺なのかもしらんが。

 まー、偉い皆さんも自己解決出来なくて落ちまくった国の威信を取り戻そうと必死なわけだ。

 無理っぽいけど。


 だって既にあっちこっちで領地の奪い合いが起こっていると、私の耳にも入ってるんですもの。

 王軍は独力で反乱を抑えられないと知られた上に、その反乱を対処する為に兵力が減ってしまった今力を付けたいって訳だな。

 で、群雄達の領地が増えると、王軍として兵を徴集出来る領地が減る。

 ザンザが諸侯に王軍へ協力させて、王軍を作り直し、それによって帝国を再興しようとしてるなんて聞くが……。

 再興が目的なのか、自分の権力を増すのが目的なのか分からんのよな。


 ま、そんなのはとりあえず関係が無い。

 私は世の動きを待つのみよ。

 不変によって万変に応ずるのだ……。

 よって私は今日も倉庫で兵糧の管理である。

 きちんと管理しないと、古いのがどんどん奥に入ってしまうのだ。

 最終的には捨てる羽目になる。

 それは許されん。食料を捨てるよりも罪深い行いはそうそうあるまい。


 そう思って仕事をし続けていた私だが、ついさっき客人が来たと言われて外に出ると、其処に居たのは


「ラスティルさん! 来てくれたんですか!」


「久しぶりだなライル。いや、ここではダンだったか? 名前が違うから探すのに苦労したぞ。お前の見た目を聞いて回って何とかだ。しかし……背が幾らか伸びたな」


「ラスティルさんのお陰で何とかかんとかやっております。しかし、探させてしまいましたか。申し訳ありません。文に書くのを忘れておりました」


 書かなかったのはわざとだが、それで迷惑を掛けてしまうのは考えていなかった。

 こうなるのは当然だったな……わるい事をした。


「レスターには今日おつきになったのですか?」


「いや、三日前には着いていた。さて、文に書いてあったアイラ殿を紹介してもらいたいのだが、何とかなるかな?」


「一応個人的な知り合いなんですけど……そうですね、ラスティルさんはもしもアイラ様が望みの方ならば、客将としてでもトーク様の所に留まる気はありますか?」


「ああ、それは考えていたぞ。出来れば他の二将軍とも手合わせしてみたいからな」


「分かりました。それではグレース様に紹介して、軍が訓練する場所を案内するのが良いかと思います。少し待っていてください。上役に許可を得て来ますから」


 そのまま直ぐにグレースの所へ向かい、ラスティルという人を紹介したいと言って取次を願うと五分も待たされずに通された。

 あれ?

 思ったよりずっと早い。

 しかも部屋の中に入ると、グレースが直ぐに話しかけて来た。

 なんか意気込みを感じる……。


「ダン、その方がラスティル殿?」


「はい。少し前までジョイ・サポナ様の所で客将をされていたそうです」


「会えて嬉しく思うグレース殿。拙者はラスティル・ドレイクと申す。ここにはダン殿から貰った文に興味を引かれて参った。是非、アイラ・ガンという方と手合わせしたく思う。許可を頂けないだろうか?」


「その後、気が向けば客将に、将来的にはカルマ様の配下になって貰えるのかしら?」


「アイラ殿や他の将軍の方々が楽しい相手であれば客将にはなりたいと思っておりまする。しかし、配下になるかはカルマ様次第としか。不義理をせぬつもりではありますが」


「分かったわ。十分よ。客将になってくれると決まったら、又あたしの所に来て頂けないかしら。軍の訓練場にはそこのダンに案内させます。ラスティル殿、申し訳ありませんが少しお待ちください。ダンと少し話がありますので」


「承知した。よろしくお願い致す」


 ……なんかトントン拍子でいった……なんでだ?

 私の信用によってじゃないのは確定的に明らか。


「貴方、よくラスティル・ドレイクなんかと知り合いだったわね。どうやって知り合ったの?」


 あれ、又不審『物』を見る目で見られてる……。

 今回は本当に何も無いのに。


「私が旅の途中困っていたところを助けて頂きました。その際、競えるような強い人を探していると仰っていたので、ここに来てアイラ様を知り文でお知らせしたのですが……グレース様もラス……ドレイク様を存じだったのですか?」


 おっとあぶね。貴族様は家名で呼ぶんだったな。

 それにしてもドレイクなんて家名知らなかったずら。

 後でどう呼んだら良いか確認しておかないと。


「サポナ領は同じ辺境だし知ってて当然じゃない。火族相手に凄まじい働きをした槍のラスティルと言えば有名よ。とにかくよくやったわ。逃がさないようにしなさい。貴方の手当も増やしておくからね。期待してる」


 え、えー……いや、私も留まって欲しいけど、私の努力次第では無いような……。


「わ、分かりました。非才の限りを尽くします。……あ、でも駄目だった場合に罰せられる位でしたら手当は結構です。正直自信がありません」


「……貴方って本当に水を差すわね。駄目でも処罰なんてしないわよ。とにかくラスティル殿を不快にさせないよう努力なさい。分かったかしら?」


「はっ。全力を尽くします」


 という訳で、ラスティルさんを軍の訓練場までご案内である。

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