ダンとリディアの家族計画
家に帰ってまずしたのは昼寝である。朝から色々とあって疲れてるし、夜を考えると寝て体力を回復しなければ恐ろしい事になりかねない。
常如何なる時もまずは体力。リディアの前で眠そうにしたら……決してタダでは済まん。
体臭がきつくならないように考えた夕食を早めに食べ、歯と体を全力で洗い鼻毛もお手入れしておく。日頃から清潔にしているがまだ足りん。……体からバラの香りがするという、一部のおセレブ様御用達丸薬的な物を作っておくんだった。
同時に何を話してどう動くかを出来る限り考える。……どう動くか考える意味は薄そう。でも褒め言葉だけでも練っておきたい。
そして何時も夕食を食べ終わる時間から三十分後、リディアからの迎えが来るとの先触れが来た。
マジで来た。冗談だと願ってたけどマジだった。……トイレに行こう。で、もう一度体を拭こう。
馬車に乗りリディアの屋敷へ着くと即リディアの部屋へ案内されたので、女中さんへ隣の部屋に一時間くらいしたら熱い湯と水を用意しておいてくれるように頼む。
上着を取られ、下に相応しいと思って準備しておいた薄い寝る前の服だけになった後、深呼吸をして部屋に入った訳だが……。
部屋ではリディアがこちらに背を向けて書を読んでいた。それはいい。何だったらそのままずっと読んでてくれてもいい。あ、止めちゃった。で、その恰好……。
「―――こんばんはバルカさん。体調は如何ですか?」
突然の風邪とかなってたりしません?
「健やかですダン。恐らくは一時でも逃げようとなさっておいでかと思いますが、余り良い足掻きとは言えませぬな。所で何を言いたげで?」
「えーと……部屋では何時もその恰好なのですか?」
真田の影響で私服に大革命が起き、腰の部分を帯で縛るワンピースを着てる人が居るのは知っていた。特に部屋着として着るのに楽で大人気らしい。しかし……リディアの着てる服は……。
薄絹で作られた体型のはっきり分かるワンピース……袖は首の所から繋がってるのだが、背中全開所か前かけ同然で、お尻も半分見えて其処からスカート部分に繋がってるのをワンピースと言うならば、だが。
つまり腋は当然胸部が至宝の形なのも、布面積少なめの紐パンを履いておられるとまで分かる。
腰に結ぶ帯も細い物を使ってるのは態と? 寒くないの……あ、隣に火鉢が。
「まさか。実は諸侯の軍議を見ていた時、イルヘルミの服装に感服致しまして。彼女は服装でも男と女に対して魅力的であろうとしていた。私も備えあれば憂い無しと倣い、男の情欲を引き立てそうな服を用意させてあったのです。それで此度大事の一助になればと考えたのですが……如何ですかな?」
なんかもう頭痛い。貴方本当に手段も発想も選ばない人ですよね。でも効果は……はい。
「それはもう……お似合いですよ。その服を着て似合うとは感心するより他に在りません」
めっちゃ限られた人でないと一般受けしないよねソレ。スタイルが良く、胸が大きい美形じゃないと。
「ふむ。今一つと言ったところですか。やはり私の容姿に問題が? 或いは予想通り幼少の者がご趣味か」
「問題は在りませんしそんな趣味も……無い……です。と言いますか、どうしてそんな疑いを? 流石に酷くありません?」
「今日ダンがあっさりと殺したテリカ一党は最後に、貴方の妻になると言ったでしょう? あれほど多様な美貌の持ち主たちを殺せる男など世にそうは居ません。よってあそこに居なかった幼い娘がお好きなのかと。
加えて私が幼い頃、貴方様は比較的近しい親しみを見せておいででした。されど近頃は非常に慎重に距離を取り、体に触れぬよう細心の注意を払っておられる」
私だって勿体ないと思ったに決まっとろーが。それにこの濡れ衣の酷さよ。
ただ……リディアが子供の頃、偶に頭を撫でたりしたのは不味かったのだろうか。
ある程度の接触は子供の教育に良いって物の本で読んだ記憶があったんだけども。
し、下心は余り無かったはずだ。美少女だったから少しはドキドキしてたが。
……あれ? やはり不味かった?
「テリカは単に私に彼女たちを受け入れるような器が無かっただけですよ。バルカさんもグローサが来た時、受け入れるべきではないと仰っていたじゃないですか。……ん? え、何故テリカが私の妻になると言ったのをご存知なんです?」
こっそりとジンさんに確認は取ったんだぞ。誰も聞き耳を立てられない状態にしてあったと。
議場の外にも人を配置してあった。潜むのは不可能だったはずなのに。
「何故も何も彼女らは女。そして死刑を望んだ貴方は男。しかもカルマは何とかして説得しろと言ったではありませぬか。ならば少しでも考える頭があれば当然の手では」
「あ。そう、かもしれませんね。―――もうひとつおききしたいのですが、バルカさんが子供だった時、頭に触らせて頂いたりしたのはもしかして不快でしたか? でしたらせめて謝罪をさせて頂きたく思います。……床に頭を擦りつけて。はい」
「あいも変わらず理解し難い卑屈さをお持ちだ。あの頃少々戸惑いは致しました。我が家は父母さえ滅多にあのようにしませぬので。しかし兄のように振る舞って頂いた時感じていたのはどちらかと言えば好感です。勿論あの時に求められても拒否したでしょうが」
は!? そんな発想が出てたの?!
「そ、そんな危機感を抱いていたのですか? 身分違いへの配慮が足らなかったのは今考えても赤面物ですけど、そのような不埒な考えを貴族の方に抱くような蛮勇は持ち合わせてませんよ!? あ、いや、もしかして私からそんな下心を感じていたんですか? …………。お、お許しください。き……気の迷いだったんです」
やっべぇ事に気付いた。リディアはともかくとして、父のティトゥス様が私にそんな雰囲気を感じていたら……確実に死んでる。
全く気付かずに火薬の横でタップダンスを踊ってたなんて……背筋が寒い。
「求められてもというのは戯言に決まっておりましょう。ああ、父をご心配か。ご安心を。父も其処までの考えは持っておりませんでした。第一あの時は殆どの場合私と貴方だけで会話していたではありませんか。私が父に危惧を伝えでもしない限り、何か問題の起ころうはずもない。ご安心なさいませ」
ご安心て……貴方様の戯言は心臓に痛みが出る威力だったのよ? 勘弁して……。
「ただ、今の私が幼い頃よりダンにとっての魅力が減ったのは間違いありますまい。再会した後、貴方は一歩半の距離より近づく事さえ滅多に無かった」
当たり前でしょ。成人した異性に近づくとヤバイのは常識だ。加えて他人に近づかれると不快な距離を誰だって持ってるから、常に気を付けてるんだよ。
「それは良識の範囲として気を付けてたんですよ……。こうなった以上正直に言いますが、バルカさんの容姿は素晴らしいと思います。下手をすれば下心を抱きそうで冷や汗をかいたりもしたんです。まぁ、バルカさんが怖……いえ、素晴らしい同僚だったので本当には抱かずに済んだのですが」
「ほぅ。ほほぉ。つまり、私に対して情欲を抱けると?」
「情欲て……。ええ、はい……。美しいバルカさんにお相手をして頂けるなんて、想像だにしていなかった嬉しい出来事です」
「それはそれはそれは素晴らしい。安堵致しましたぞ我が君。我が容姿の為に子を作るのが難しいとなれば、解決は至難であると憂慮しておりましたので。曇天が一瞬で晴れたかのような気持ちで御座います。まさか容姿を褒められてかように喜びを感じる日が来るとは驚きの一言。
もしや我が君、今までのつれない態度は不安にさせた後に安堵させ、心を虜にするという策で御座いましたか。流石です。敬服致しました」
なーにが敬服じゃわざとらしく頭を下げおってからに! うんなアホ現実に居るか!
その手法相手から告白してくるって確信してないと出来ないじゃん!
貴方みたいな引く手数多美人にそんな思い込みが出来る奴は、痛々しい高校生でも早々居ねーぞ!
「違います。近寄らなかったのは、私の周りに居る人は何方も容姿に恵まれてますし、さぞ男に言い寄られて難儀してるだろうと思っていたのです。それで下心を持って近づいていると感じては不快に違いないと思い、気を付けていたのです。バルカさんの言った策を練る人が居れば変な書物の読み過ぎですよ」
「おお我が君。もう幾何か戯言を楽しむ余裕をお持ちください。しかしそのお考えは少々慎重に過ぎるように思えますが……」
まぁダンですからな。じゃないっす。常識っす。少し考えれば美人とイケメンに近づくと面倒が起こるのは誰でも分かるでしょ。
あ、女中さんだ。お茶か。有難うございます。……うむ。美味しいはずなんだが味が分からん。
本当にいいのかねバルカ家に私の遺伝子を入れて。全く考え直す気配が無いからリディアとしては良いんだろうけど。
さて……最後に幾つか確認しなければ。
「バルカさん、少し真面目なお話があります」
「分かりました。ではあちらの寝台の上で。……今更そのように怯まれては流石に失望致します」
しゃ、しゃーないやろ。……。やっべぇ。マジで私このお嬢さんと同じ寝台に乗ってるよ。相手はとんでもねー恰好してるし。
あうあう言いそう。……深呼吸をしよう。真面目な話をせねばならんのだ。
「ダン。香は如何しましょうか。幾つか用意してありますが」
「えっ。あ、えーとバルカさんの好みで。……何回か機会があるでしょうし、バルカさんの好きな香りを今度渡してください。服に焚き染めてきます」
「分かりました。で、お話とは?」
「まず子供の育て方です。バルカ家の人間にするのであれば、私は関与せずバルカさんが全ての采配をした方がいいと思うのですが如何でしょうか」
貴族として生きていくには相応しい教育と親の態度が必要だ。未だに日本の常識で考える時がある私が関与して良い方向に行くのは在り得ない。
「……そのように言って下さるのは有り難い。確かに在る程度己が出来た後ならまだしも、幼少の頃に貴方のように世間とズレた方の影響を受けては、家を継がせるのに不都合が生まれかねませんので。しかし宜しいのですか? 己の子に中々会えなくなりますが」
「……本当に私との子をバルカ家当主とするつもりがあるんですかい……。ああ、はい、宜しいんです。バルカ家の皆様はとても優秀な方と聞いています。それ以上の教育、しかも貴族教育なんて私に出来はしません。将来子供に私の所為で貴族として生き難いと恨まれたく無いのです」
「ではそのように。しかし我が君、このご時世に良い男を見つけ子を作るのが如何に困難かはよくご存じでしょうに。子が産まれれば少々才が無くとも非常に貴重な後継ぎ候補で御座います。慎重に教育し、家を継がせますとも」
……考えるな。考えたら頭痛がヘッドエイクだ。……お願いだからどんなのが産まれても恨まないでね。
「は……い。幸運を天に願います」
「ふむ……。所でダン。こうやって向かい合っていては折角のこの衣装、意味が無いと思いませぬか? 茶を出す際には器の意匠を相手に向けるのが礼儀。この衣装も前から見ては特徴の薄い物になってしまう」
いえ、体の線がはっきり見えるので十分刺激的です。胸、少しはみ出てますから……。
「うんなん言われても……。背中を向けたまま会話するのも不便ですし」
「ええ。ですから貴方様に背中を預ければ良いのです。迎え入れてくださいませ」
「……はい。どうぞ来てください」
やはり何の躊躇もなく来るんですね。……薄い布一枚越しに背中の感触が……。所で、これ結局背中の部分見えない……いや、リディアが良いならそれでいいんだけども……。
「えーと、ご存じでしょうが私、女性と一緒に寝るのはこれが初めてでして。何か嫌な事をしてしまったら直ぐに言ってください」
と言いつつ、様子を探る一歩としてお腹に手をまわしてみたり。……うん。首筋に鳥肌が立ってたり不快に感じてる様子はない。
「私もです。前々から不思議だったのですが、何故商売女とさえ経験が無いのですか? 男が良いなら男娼もこの町には多くおります」
男娼て……何がどうなってそーなってんだ。
「私は普通に女性が好きですよ。そういう機会が無かっただけです」
「女を買う機会さえ無いとは流石に酷い言い訳かと。私としては我が君の初めての相手となる栄誉に浴せた訳で、どんな理由でも有り難く思いますが。まぁお互い学んで参りましょう」
経験無いゆーわりには貴方ほんま落ち着いてるよね。リディアだし当然という感じさえするってのが又……。
「もう一つ提案といいますか……。あの、これからする行為の最中に苗字を呼ぶのは、相手への非礼であるという噂を聞きまして……。それでお望みくださるのでしたら今の間だけは名前を呼ばせて頂こうと思ったのですが、如何でしょうか。何も考えずに感情で答えてくださると嬉しいです」
夫婦は下の名前で呼ぶもんだと聞いたんだよね。無用な提案という気もしてるが。
「は……はははっ! ダン。本当に女と関係を持たれて無いのですか? もしそうなら、お知り合いに相当の遊び人が居られるとか」
うおぅ、こんなはっきり笑うのはめっちゃ珍しい。驚いた。……お腹の筋肉が動いたのがはっきりと手に伝わったのにも驚いた。
此処まで笑うような話だろうか……でもリディアは一応楽しそうに見える。ならいいか。
「持ってませんしそんな知人は居ませんよ」
「しかし日々決して名を呼ばず余所余所しくしておいて、閨に引き込んだ女にはお前だけだと言うかのように名を呼ぶのでしょう? 大変考え抜かれた手ではありませんか」
「引き込んだて。引き込まれたのは私ですよね? それにお前だけだも何も……初めてと言ってますのに。ていうかそれだと私が日々貴方と何時かこういう関係になれると考えてたという事に……。いや、もういいです。とにかく何に誓ってもいいですが裏は在りません。バルカさんに不快な思いをさせたくないだけです。貴族の慣習は分かりませんので、何か失礼をしたのでしたら教えてくださいよ……」
「これは傑作。心のままに行動なされてたとは。貴方はやはり恐ろしい方だ。常に私に想像もしなかった驚きをお与えになる」
「意味が分かりません……。子供を作る相手なのに名を呼ばないのは、非常識に感じる方が多いみたいでしたのでお尋ねしただけです」
「理解しております。勿論是非リディアとお呼びください」
「分かりましたリディアさん。……貴方の相手をするには余りに足りない私ですが、貴方が嫌になるまではよろしくお願いします」
てことで、お腹に回してた手を片方胸に当ててみる。ただし感触は決して分からない様に、手をおくだけ。……おっきい。……嫌悪感は……表れてないか。
「……ダン。『さん』を付けては効果が薄くなりますぞ。名だけをお呼びください」
「『様』も……駄目ですよね。分かりましたリディア」
「宜しい。……所で接吻くらいはしてくださるのでしょうな」
かつて此処まで年下のお嬢さんに押されるオッサンが居ただろうか。まぁ当然居たよね。というか何かの間違いで貴族の女性と親しくなった庶人はこんなもんだろう。
私が押されっぱなしなのは、単に緊張した場面故に格の差が露呈してるだけだけど。
「勿論です……。では失礼して。…………。!? っ! ……」
「ふむ。成る程」
な、成程じゃねーっす。
「あ、あのーリディア。初めて、なんですよね? 何がどうしてそんな……情熱的な接吻の仕方を?」
ついばむような。ってやつをしようとしたら、ものっそ舌を絡めてきなさるとは。
「以前ラスティル殿、アイラ殿と飲んだ際に、ラスティル殿が親しくなった男の話をしてくれまして。彼女はあの性格故、最後の思い出だの死ぬ前にだのと接吻を求められて応えた事があるそうで。そういった数多の接吻の経験の中で、特に強く印象に残ってると聞いた物を真似したのですが……如何でしたか?」
「あの人はもう……。貴族のお嬢さんに何を教えて……」
「いえ、中々興味深い話でしたぞ。なのに未通娘なのが間違いない当たり流石ラスティル殿と言ったところでしょう。……しかしダン。つい答えてしまいましたが、事の最中に他の女を考える事こそ非礼では?」
「ごもっともで……。許してくださいリディア。実は緊張の余り頭が働いてないんです」
「確かに強い鼓動が伝わってきている。それは喜ばしい。されど二つ不満が御座います。一つ。何故服の上からしかお触りにならないのか。この服はこういう時に肌に触れやすいのが利点でしょうに」
めっちゃ率直に言いますね。確かに何もしなくても手を差し入れるだけで何処でも触れますが。
……本当に不満なのか心配だから服の上から様子を見てたんですよとは言うまい。
……其処まで仰るなら触らせて頂きましょう。……うぅっ。重い。慎重に行け。とにかく謙虚な感じで触るのだ。……首筋は……良し。鳥肌などの不快そうな様子はない。
手から鼓動が伝わってくる……明らかに私の方が鼓動が激しい。しゃーないね。同じ肌に触るでも価値の違う事甚だしいし。男女差なんて目じゃない価値の差が在るからな……。
リディアが男で同じ状態になってても同じくらい緊張したと思う。まぁ、その時はあんまり嬉しく無かったろうけど。
あれ、この思考は……つまりあの場面で迫られてたらリディアが男でも私は此処に居た? ……居たな。おおリディア、貴方が女性で大分嬉しいです。
「そしてもう一つ。何より不満なのは、未だに私をお疑いになって探られている事。貴方様が私を求めてくださってるのをはっきりと感じますのに、それを此処まで辛抱して疑われるのは心外至極。本当にお縛りになりますか? でしたら縄は其処に在ります。このまま探るくらいならば是非お縛りください」
「ち、違いますよリディア。どうか誤解しないでください。貴方は初めてなのでしょう? 女性が初めての場合、往々にして不快な経験になると私は聞いたのです。だから少しでも貴方にとって悪い記憶とならないよう、慎重にしたいと思っています。貴方を気遣い、心地よい相手として記憶されるよう努力する特権を、私に与えて下さいませんかリディア」
「おお……。我が君。本当に口が上手くなられた。同じ事と言えますのに理由づけが非常に巧みで思わず感心してしまいました。……承知致しましたどうぞ御意のままに。しかしこの様子では夜が明けかねませぬ」
別にそれでも私はいいのよね。いや、本当リディアの嫌がる意味でなくとも慎重に行きたいし。
「一応今回はお試しのような物……あ、いや分かってます。大丈夫です。ただ初めて故に上手くいかないって事はあるとおもうんです。ね? 焦らずに行きましょう? お互い逃げたりしないんですから。それとも、このように触られるのは不快ですか?」
「……お望みであれば幾らでもどうぞ。ただ明日我等は休日なのをお忘れなきように。朝までこのままでしたら私に隔意ありと考えざるを得ません」
……休日なの忘れてました。……ほ、本当に逃げる気は無かったさ。勿論ですとも。
そして結局お相手を願った訳なんだが……。
脱いでも大したお方であった。此処まで脱いだ時に迫力のある人は日本に居た頃見てたC・ロナくらいのもんである。
いや、リディアはあのケバ濃いい顔好き野郎と違って、お前に俺の裸を見るという褒美をくれてやろうって考えてる訳じゃないだろうけどさ……。
服を着てる時から在り得ない体形だと思ってはいたが……見ていいんですかね私が。
兎に角時間を使って丁寧に相手をさせて頂いた。もしもリディアが途中で痛がる様子何て見てしまったら、怯えて私自身がご期待に沿えなくなるだろうし……。
何とか出血も殆ど無しで出来たのには心から安堵したですハイ。
お陰で次の日の朝私たちが起きたのは非常に遅くなってしまったが。
やれやれ……。後十年若かったら興奮によって辛抱出来たか怪しかったわ。
下手したら飛びつくような真似をしていたかも。そしたら、痛みで怒ったリディアに首をコキャッって……。
亀の甲より歳の功とは至言であるな。