表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/215

美肌道伝授開始

「所でバルカさん、ラスティルさんへ貴方の事を話さないようにお願いした方がよくありませんか? 同僚の面白い人間として貴方の話が出たら、回りまわって面倒な所にも伝わりかねません」


 私の言葉を聞いたリディアは、考え込み始めた。

 え? 何か考える事ある?


「我が君」


「はい……」


(わたくし)について知られたくないのは、ダンなのでは?」


 ……。


「……えっと、イルヘルミが来ると思いますし、バルカさんの話はしない方が安全だと、その、愚考を……」


「確かに。しかしラスティル殿があれ程褒める人物であれば宴に参加し知遇を得たくもあります。その際に口止めしてもある程度は大丈夫でしょう。勿論、ご主君が危険だと仰るのであれ、ば。宴に行きはしませんし、ラスティル殿にも口止め致します、が。迷いますな」


 …………。

 私は席を立ち、リディアの前で膝を付いて深く頭を下げた。


「集まった諸侯達の間にバルカさんの名が広まると、私としては非常に困ります。どうか広めないようにして頂けないでしょうか。加えてラスティルさんと一緒にバルカさんまでその魅力ある方の元へ行かれてしまうと、私は泣き暮らさずにはおれません。お願いです慈悲の心を持ってお助け下さい」


 プライド? とうに捨てたわ。

 第一そんな場合じゃない。

 もしも真田の元へリディアが行ったらどうなる?

 過去私が話した自然環境とかの知識をリディアが真田に話せば、確実に私の存在に気付く。

 その時真田の行動がどう変化するのか……少なくとも私にとって良くはなるまい。


 等と考えながら頭を下げていると、私の肩に手が置かれた。

 なので顔を上げると、そこには……。

 氷のような……つまりは何時も通りの顔があった。


「我が君」


「はい」


「ご安心を。(わたくし)もそのつもりでした」


 ……。


「あの、バルカさん。貴方もしかして私を泣きつかせたかっただけですか?」


「言語に絶する邪推でございます」


「そう、ですか」


 ……機嫌が少しでも良くなったのであれば、もう何でもいいです……。


「それに今日の昼かなりダンに(もてあそ)ばれたように思います。それを想えば少しくらいの戯れは許して下さいましょう?」


 少し?

 あの、本当に命掛かってるんですけど。

 いやもっとかもしれません。言えませんが。

 ……酷いよリディアさん。


「心臓、止まるかと思いました。ちゅーかラスティルさん、今のそんっなに面白かったですか?」


 腹抱えて大口開けて笑ってたらどんな美人でもモデルになれねーぞ。

 演技丸わかりの笑い方よりは私の好みですけどね。


「言語に絶する程に。ま、これで分かったであろ? ダンも我らを十分に面白がらせる人物だと。安心しろ。そんな簡単に不義理はせぬよ。恩もあるしな」


 恩? ……ってどれの話?

 先日の戦か?

 あれ貴方が逃げれば良いだけだったから、恩って……言わんのとちゃう?


「不義理はしないとしても、酒は口を滑らせる物。宴会で私、バルカさん、アイラさんの話は何一つしないで下さいね? してから口止めしても遅いんですよ? それを聞いた人が又酒で口を滑らせたりするんですから。どうせ酒癖の悪い人間の一人や二人は居るんでしょう?」


「おいおい。知りもしない拙者の友人たちを悪く言うのは頂けんな。そのような粗忽……者は……。すまん。アシュレイという者が居た。分かった。決して話さん。我が槍に誓おう」


 やっぱね。

 この国の戦う人って、どーも酒乱の気が激しいんだよ。

 娯楽のメインが異性と酒なんだもん。

 幾ら好きだからって、問題起こす程飲むなよと説教してやりたいぜ。


「お酒は非常に危険です。どうかお忘れなきように」


「やれやれ槍への誓いを信用して貰えないとは悲しいぞ。しかしダンは昔から酒を飲まぬよな。何故そこまで忌避する?」


 そりゃお酒は誓いでどーこーなるもんじゃねーからだよ。

 人類史で最も多く使われてる自白剤だぞ怖がらずにいられるか。

 三刀流が幾ら飲んでも酒で失敗しないのは、漫画だからだ。

 野暮を承知で言ってしまえば、ウィスキーピークで皆死んでないとおかしいやろアレ。


「酒で失敗した人間を山ほど知っておりまして。お陰でどうしてもしつこくなってしまいました。すみません」


「しつこいくらい慎重でこそのダンだと分かっている。許してやろう。良い臣下を持てたと天に感謝するのだぞ?」


「はい。天にも、何より許して下さったラスティルさんに感謝致します。

 さて、面倒なお話はこれまでにして、褒美の前渡し、つまり皆様お待ちかねである肌を美しく保つ秘訣の話に移りましょうか」


「はっ。本来ならば功を立てた後に頂くべき物を、我らを想って先に授けて頂き感謝致します」


 その通りである。

 私がこの世界でも効果があると長年掛けて実証したこの知識、大いに感謝「いや、その言い方は実情に合ってないぞリディア」して……もらおう……?


「ほお。何が違うのかご教授頂きたい」


「よかろう。肝要なのはダンの身になって考えることだ。まず我等の容姿をよく見てみよ。美しかろう? これ程の美貌、衰えるのを喜ぶ男などおらぬ。つまりダンはずっと教えたくて仕方が無かったのだ。先日我らに何と言われようが化粧を止めるように言ったのは、ついに我慢できなくなったからに相違ない。

 勿論感謝すべき話ではある。しかし『先に授けて頂ける』は誤りだ。むしろ『教えられてやろう』の方が近い。美しい我らに囲まれて喜ぶのはダンなのだから。分かったかなリディア?」


 読ーまーれーてーるー。

 はいそーです。皆さんのお肌が荒れたら悲しいんですよ。

 だからって、もーちょっと調子に乗らせてくれてもええんでないかい?

 下手に拗らせると処女の生き血を浴びかねない業を持った女性という生物なら、誰でも泣いて喜ぶ知識なのよ?

 それとも中身がオッサンである以上、若いお嬢さんにはボコられて当然だとでも?

 この世はクソかー?


「ダン、ラスティル殿の言葉は本当……のようですな。ラスティル殿、貴方の賢明さには参りました。このリディア完敗したと認めざるを得ません」


「はっはっは。幾らでも褒めてくれ。男で悩んだ時は何でも聞くがいい。必ずや良案を出して見せよう。おや? ダン? どうして机の上に身を投げ出している? まるで我らの美しさに臣下の礼を取ってる様にみえるが、そう受け取って良いのかな?」


 ええ、ええ。仰る通りですとも。

 美人さんの前に無条件降伏っすよチックショーが。


 しっかたねーだろー!

 目の前で親しくしてる若い美人が、毒物入りっぽい化粧付けて!

 どんどんシミ作ってるんだぞ!?


 見過ごせるかぁ! バラの花に絵具で色付けて枯れさせるような暴挙じゃねーか!

 こんなん見過ごせたら人間じゃねーよ!

 勿体ないお化けが百鬼夜行するわぁ!


「何故こうなるのでしょうか。流石に理不尽ではありませんか?」


「仕方あるまい。古来より美しさとは罪深い物だ。……しかし今まで気にしていなかったが、ダンは本当に美しい肌を持っているな。うむ。この美が拙者の物になるのか。良い貢物だぞご主君」


 これもいぐざぐとりぃ。ぶっちゃければ最初からご機嫌伺いの貢物です。

 でも、もうちょっと何か……あったらなーって思ってました。

 はぁ……気持ちを切り替えよう。

 美肌道は甘い気持ちで教えてよい事ではないのだから。


「すーはー。……さて皆さまここからは真剣にお聞きください、美肌を手に入れるには日々の行いが重要。今だけは私を先生と呼ぶように。そしてこれからの話、何一つ誰にも教えてはなりません。もしも教えれば……小じわの呪いが貴方方を蝕むとお思いなさい。よろしいですね?」


「……いきなりダンが怖くなった……」


「う、うむ。……日頃からダンがこうであれば、先ほどのような事を言えぬな……」


「二人とも。ダンではありません。先生です」


「「は、はい先生」」


 よろしい。リディアは昔通り聞く姿勢が出来ている。流石だ。

物見櫓様がリクエストに応えて絵を描いて下さいました。


以前、ダンとリディアのイチャイチャした絵というリクエストがあったという話がありましたが、一応キャラ崩壊していない範囲で描けたと思うので送らせていただきます。

俯瞰視点を持つ男と好奇心旺盛な少女

挿絵(By みてみん)

――――――――――――――――――――――――――――


「ッ・・・バ、バルカ、さん?」

「・・・」

(この方は、私の、否、この国の者とは違う視点で物事を図っていると、そう感じる。今でもはっきりと思い出せる。イルヘルミへ仕官する話の際に忠告してくださったあの日、私を路上の小石のように見ていたあの目を。初めて「恐怖」と言う感情を自覚させられた、あの恐ろしい黒い目を。敵対さえしなければ害はないと、その自信はある。しかし、この方に仕え、身近で接する機会が多くなっても、この方の底が未だに計りかねる。確認するまでもない。私は不安なのだ。一体どうすれば、貴方は私を信用してくださるのか。・・・どうすれば、あの時、貴方が見ていた視点を知る事ができるのか。いっそのこと、このままこの目を――――)



「いえ、申し訳ありませぬ。少し検証してみたことがあっただけです我が君。不快であったでしょうか?」

「い、いえ。そんなことはありません。むしろバルカさんのような美女に触れられて役得でしたよ(マジでなんだったんだ?恐怖で心臓が止まるかと思ったわ)」

「――――それを聞いて安心しました」


――――――――――――――――――――――――――――


そんなシーンを想像して描きました。

ん?リディアさんがなんか病んでないかって?そんなことないよ。リディアさんはダンさんが何考えているのか気になって仕方ないだけだから。ただの好奇心旺盛な少女だから(真顔)


だそうです。キャラ崩壊してるかどうか? どうでもよくね? 明らかにダンの頭に当たってるし。

……さて。

はい。そーなんですよ。お忘れだとは思いますが、ダンはかなーり広い見方で見て行動してるんです。

あ、広いだけです。正しいとは言いません。

少なくとも私がなろう小説とかラノベで見た記憶が無い行動方針で動いてます。

と、いうのは置いておいて……。

うーむ、やはり、あれですね。

美少女に突然目を隠されるってのは、夢がありますね。

ただ、この物見様リディアさんの発言は、このまま首コキャしようか迷ってるとなってますのでホラーですけど……。

リディアの方が力強いので、やろうと思えばできます。

この体勢、夜であればダンの目には北斗七星の横に青い星が見えてるでしょう。

突然腹心の配下に首コキャされてエンド。

なるほど夢オチよりはいいかも。

エタる時にはこれにしましょうかね?

一応フラグは幾らでも……ある……ような?

そして話は突然真田君による無双戦記に。

……種運命みたいだ。アレをリスペクトしていると言われるのは屈辱かもしんない。


物見櫓様、読者様のリクエストに応えて頂けるとは私感謝の念に堪えません。

有難うございました。

宜しければ、こちらのurlに感想を頂ければと思います。

http://www.pixiv.net/member.php?id=794715

ピクシブアカウントをお持ちで無い方は、私の感想欄をお使いください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ