終章
あれから随分の年月がたったね。キミはすっかりおじいさんになったけど、ボクには時間は流れていない。
キミはあれからずっと悔やんでいる。
ボクを死なせてしまったこと――。
それは深い悲しみになってキミを縛りつけている。ボクが昔、あの泉のほとりでキミを死なせてしまってからずっと悔やみ悲しみ続けていたように。
運命を変えられたら…、というキミの強い思いは一瞬の奇跡を呼んで、あの出発の日に幻となってクスノキの元へ飛んだ。
――世の中には不思議なことがまだまだある…。
あの老人は、未来のキミだったんだ。
でも、奇跡はそこまでだった。あの日のボクたちを止めることはできないただの幻だった。
――運命は変えられんのかのう…。
そうつぶやいた時のキミの目をずっと覚えているよ。とても寂しそうな目だった。
あの夏はたくさんの奇跡が起こったね。
ボクとキミが出会った時から奇跡が始まったのかもしれないね。
地図を見つけたのも、忘れられた場所への道を探し出せたのも、
昔の記憶が蘇ったのも――、
――そして今、キミの中で生きてるボクの存在も奇跡。
でもそれは、ずっとずっと昔の友情から繋がっているんだ。
互いを守りあいたいと願い、死んで生きた過去のボクたちの想いから。
それこそ、奇跡――。
奇跡ってきっと人が起こすんだね。
人の想いが奇跡を呼ぶ。
だから、ボクとキミの想いで最後の奇跡を起こそう。
ふたりの想いが強いひとつの絆になれば、きっと奇跡は起こせるよ。
あの日のあの場所に、ふたりの想いを届けにいこう――。
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「誰だ!?」
「ど、どうしたの?」
「…いや、今そこに誰かがいたような気がしたんだ。気のせいか」
「これじゃない?」
「そうかもな。しかし、スゲエなぁ…。さすが領主さまだぜ…。これ、オマエのご先祖さまが使ってた刀かな?」
「…違うみたいだよ」
「何でわかるんだ?」
「ほら、あの旗を見て。家紋がついてるでしょ?あれがうちの家紋なんだ。けど、この刀を包んでいる布の房についてる家紋は別の家紋だ」
「本当だ…。あれ?このマーク、どっかで見たことあるぞ」
「同じ家紋ってたくさんあるみたいだからね」
「ふーん。オマエ、よく知ってるな〜」
――さあ…。
「わっ!」
「な、なに?!」
――キミとボクの新しい奇跡をここからはじめよう――。
――『私とおぬしのあたらしい奇跡をここからはじめようぞ』
さあ、ここから…!
「わぁ!びっくりした!脅かさないでよ」
「ははは〜。わりぃわりぃ!」
「あれ?今、何か落ちてこなかった?」
「いや?何にも落ちてこねぇぜ」
「…気のせいだったのかなぁ?」
「気のせいが多いとこだな、蔵の中ってのは」
「ねえ、そろそろ出よう。おばあさんがスイカを切って待っててくれているから」
「うぉ!スイカ?!オレ、大好きなんだぁ。やっぱ夏はつめたーく冷やしたスイカをがぶがふ食うのが最高でしょ!」
「うん、そうだね!」
「スイカの種の飛ばし方、オマエに教えてやるよ!」
「うんっ!」
完
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