祝五十話!
そして総合評価1500越え!
感謝の極みです!
第四十一話 仕官先ってどこがいいのだろうか?
Side 信孝
~1550年 藤原信孝邸~
藍が此処で暮らし始めてから今日でちょうど30年が経った。
端折りすぎだと? 実際語るほどのことはなかったからいいんだよ。
まあ、あえて言うならば俺は藍を(アッチ的な意味で)喰っちまったくらいだからな。
流石かつて天竺・中国・日本の三国で名が通った九尾の狐、技術がハンパなかった。
俺も今まで数百年間、美鈴や村紗や幽香をはじめ多くの女性たちを相手に腕を磨いたつもりだったが、まさか相打ちになるとは思っても見ていなかった。
え? 何の技術や腕かって? そんなの言わなくても分かるだろ?
分かり切っていることでも誤魔化さなきゃいけない。 大人の世界って汚い世界だよ・・・。
「・・・何黄昏ているんですか信孝殿?」
「漢には黄昏たくなる時もあるんだよ藍。 っていつの間に俺の目の前にいたんだ?」
「もうかれこれ二刻(約四時間)くらいいましたが?」
「・・・・・・俺そんな長い時間ぼーっとしてたのか?」
「ああ。 それに、もう子の刻(深夜0時ごろ)なのにずっとそうしているから流石に不安になったからな」
「え゛・・・、もうそんな時間?」
俺が辺りを見渡すと既に日は沈み、周りに一軒もないこの家の周囲は暗闇に包まれていた。
「そうか。 なら俺もそろそろ寝ようかね? そう言えば幽香はどうした?」
「彼女なら既に寝ているぞ? 誰かが真昼間からあんなことしていたせいで疲れたのだろう・・・」
藍は俺のことを睨みつけながらそう言ってきた。
だが甘い、甘いぞ藍! リン〇ィ茶などよりもはるかに甘いぞ!!
「・・・・・・一昨日、自分から進んで真昼間に俺の部屋に吶喊してきたのはどこの誰だっけか? その誰かさんは俺のことを非難できないと思うんだが?」
「なっ・・・!!」
俺がそう藍に逆質問すると、藍は顔を真っ赤にして何も言い返せなくなってしまった。
九尾の狐なのにいつまで経っても初心だな藍は・・・・・・。
このまえ俺と幽香の《禁則事項です♪》を見せつけたときは、頭が耐えきれずに顔を真っ赤にしたまま気絶したりもしてたからな。
そのくせ、《誠に遺憾ですがお見せできません》の時には、一旦箍が外れると九尾の狐の特性からか、普段の理知的な面は完全になりを潜めとてつもなく積極的になるのだ。
一昨日はそのおかげで一日中搾り取られ、昨日一日を体力と精力の回復に費やしてしまうくらいにまで消耗してしまい、昨日やる予定だった堺への買い出しを断念せざるを得なくなってしまったのだ。
その仕返しとして、俺は翌日一日中藍を攻め続け、藍が泣きながら降伏をしてもそれを拒否し、気絶しても無理やり起こしてまた攻め続けるという鬼畜な所業を行った。
そして、その後は幽香も交えた3人で充実しつつも爛れた日々を過ごしていた。
だが、俺はある人物の存在をすっかり忘れていた。
藍が30年も戻らないことでブチ切れそうになっている藍の主の存在を・・・・・・。
信孝 side end
Side 紫
藍が此処を発ってから30年。 未だに藍は戻ってこない。
最初の1年は私も藍が必死に捜索しているんだと考えていた。
しかし、何の連絡もないまま2年、3年・・・と経っていくうちに、「藍が何者かに殺されたか捕らえられているのではないか?」とだんだんと不安になってきた。
しかし、私はこの幻想郷の管理者であるため長い期間此処を離れることが出来ないので待つ以外の方法が無かった。
だが、藍が此処を発って25年目に私のところに来た手紙によって全ての真相が判明した。
差出人は私の恋敵であり怨敵である風見幽香であり、その手紙にはこう書かれていた。
「相変わらず1人で寂しい生活を送っているようね?
信孝ともう30年も共に暮らして日々が満ち足りている私とは対照的ね?
未だに信孝を見つけられない貴女に信孝の居場所について少しだけ手がかりを与えることにしたわ。
信孝は信濃国以外の日本のどこかにいるわ。(この小説では幻想郷は信濃国、つまり現在の長野県の山奥の地にあるという設定です)
ただし、信孝の家は特殊な結果が張ってあって、家から10間(約18m)位に近付かないと私達の妖気が認知されないように施されているから苦労すかもしれないわね?
精々頑張りなさい?」
「あんの腐れ妖怪があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私は思いっきりその手紙を握りつぶして天に向かって咆哮した。
信濃国にいないとか言っても、それ以外の選択肢が多すぎるじゃないのよ!?
国だけでも残り六十五国あるし、北の果ての蝦夷地や南の琉球まで含めたらどれだけの場所があるっていうのよ!
しかも、この貼ってあるという結界の効力のタチの悪さと言ったら・・・!
10間ってそうとうその家の近くに近付かないといけないってことじゃない。
つまり私に日本中をしらみつぶし探せと言っているのね・・・。
「ん? 何かしらこれ・・・・・・?」
そこで私は、握りつぶした手紙の中にもう一枚紙が貼りついているのを見つけた。
私はその紙をはがして書かれてあることを読んだ。
「そうそう、言い忘れてたわ。
貴女の式神の八雲藍のことだけど、あの子もここで暮らしているわ。
何でも、信孝を探しにいて来いとあなたに命じられて、各国を歩き、偶々宿を借りようとして訪ねた家が信孝の家だったそうよ?
それ以来30年間、私達と一緒に暮らしているわ。
因みに、この狐も信孝と関係をもっているわよ?
自らの式神にまで後れをとるなんて、貴女の人望とやらもそんなにないのね。
後100年信孝を見つけられなかったら、また手がかりをあげてもいいわよ?」
「へぇ・・・、そう・・・。 藍、貴女も抜け駆けしたのね・・・?」
ああ、怒り過ぎてかえって頭が冷静になるって今の私みたいな状況なのね?
今私の頭の中には、怨敵と裏切り者をいかにシバいて信孝と再会するための考えが恐ろしいほど浮かんでくるわ・・・。
もう幻想郷の管理など知ったことか、今はそれよりもはるかに重要な案件がある。
「待ってなさい風見幽香、そして藍。 貴方たちは必ず私が滅してあげるわ!!」
もう幻想郷の大妖怪の一角とか私の式とか関係ないわ!
私の敵(恋敵的な意味で)は必ず打倒して私が信孝の隣にいるんだから!!
しかし、幻想郷の管理者が何年もいなくなるという事態を許さない閻魔がこのことを察知し、私は問答無用で連れ戻されてしまった。
そして、サボってたせいで三途の川に異常な数の幽霊を溜めていた死神とともに数日間正座状態で説教を受けることになった。
これで諦めたわけじゃないんだからねっ!!
紫 side out
Side 信孝
何だろう? なんかとてつもなく嫌な予感がするんだが・・・。
昔宇合に嵌められて近衛府の兵士から追われた時みたいに、他人のせいで俺が理不尽な目に合うような気がしてならない。
「どうしたのかしら信孝?」
「幽香か。 何か悪い予感がしてな・・・。 今からこの家の結界をに隠行結界も重ね合わせようと思ってな」
「そう・・・(これで紫はさらにこの家を見つけにくくなったわね。 それで混乱する紫を見るのもまた一興かしらね?)」
何か幽香が不穏なことを考えてるような気がするが、気にしたらきりがないと思うので、俺はそれ以上の追求をせず、食事の準備を終えた藍のもとへ向かうことにした。
~食事後~
「幽香、藍、俺はどこかの家に仕官しようと思ってる」
「・・・何故かしら?」
案の定、幽香が理由を尋ねてきた。
「此処に居を移して既に数十年、そろそろ蓄えも底を尽き始めてな。 完全に尽きる前にどこかの家に仕官して安定した収入を手にしたいと思ってな。 ・・・どうだろうか?」
「私は反対よ。 下手に此処から出たら、紫がどんな暴挙に出るか知れたものじゃないわ」
「・・・私は賛成です。 信孝殿がそう決断されたなら私は反対しません」
2人で意見が分かれたな・・・。 どうしたものか・・・。
「なら、信孝と私が仕官して、藍がここを守るという形はどうかしら? そして休暇を取れるときは此処に戻るということにすれば問題ないと思うわ」
幽香が妥協案としてそんな案を出してきた。
「それならば賛成です。 ・・・・・・私と幽香さんが逆ならば」
藍・・・、気持ちは分かるがこのタイミングでそれを言うのはヤバいぞ・・・。
「あら? そんなこと私が認めると思ってるのかしら?」
ああ、やっぱり幽香がキレた・・・。
「ああもう俺が決める! 幽香と藍が交代で此処に残るということだ、以上!」
これ以上長引かせたらこの家が壊滅するかもしれないと思った俺は、早急に解決するために藍と幽香で居残り組を交代するということにした。
「・・・納得できない部分もあるけど、それでいいわ」
「・・・私も信孝さんがそう決めたなら反対しません」
どうやら不満はあるものの、2人とも納得したようだ。
「さて、2人に聞きたいが仕官先として有力なのはどこだと思う?」
まず先に答えたのは、紫の代わりに全国を回って情報を見聞した藍からである。
「現時点で有力大名なのは、陸奥三戸の南部晴政《なんぶはるまさ》、陸奥米沢の伊達晴宗《だてはるむね》、上野平井の上杉憲政《うえすぎのりまさ》、相模小田原の北条氏康《ほうじょううじやす》、上総久留里の里見義堯《さとみよしたか》、甲斐躑躅ヶ崎の武田晴信《たけだはるのぶ》(後の武田信玄)、信濃葛尾の村上義清《むらかみよしきよ》、越後春日山の長尾景虎《ながおかげとら》(後の上杉謙信)、駿河駿府の今川義元《いまがわよしもと》、尾張古渡の織田信秀《おだのぶひで》、美濃稲葉山の斎藤道三《さいとうどうさん》、越前一乗谷の朝倉義景《あさくらよしかげ》、近江観音寺の六角定頼《ろっかくさだより》、河内飯盛山の三好長慶《みよしながよし》摂津石山の本願寺10世証如、出雲月山富田の尼子晴久《あまこはるひさ》、安芸吉田郡山の毛利元就《もうりもとなり》、周防山口の大内義隆《おおうちよしたか》、土佐中村の一条兼定《いちじょうかねさだ》、豊後府内の大友義鎮《おおともよししげ》(後の大友宗麟)、薩摩内の島津忠良《しまづただよし》、以上が今ある程度力と勢いをもつ大名だと思います。 後選択肢を挙げるなら英明と名高い二条の征夷大将軍足利義輝《あしかがよしてる》公でしょう」
「・・・・・・多いな。 よくそんだけの数の大名を見てこれたな」
「・・・・・・紫さまが働かないので」
「そうか・・・・・・」
何というか、哀愁漂う光景だな・・・。
そんな微妙な空気が漂っていたが、その雰囲気を壊し幽香が説明を始めた。
「藍に大体言われたから私が補足するわ。 さっき言っていた大名の中で避けた方がいい大名を言うわ。 南部晴政、伊達晴宗、上杉憲政、里見義堯、村上義清、斎藤道三、朝倉義景、六角定頼、証如、大内義隆、一条兼定、大友義鎮、島津忠良、以上の大名は避けた方がいいわね」
「? 何故だ?」
疑問に思った藍が幽香にそう尋ねた。
「まず南部、伊達、大友、島津はあまりにも遠すぎるわ。 それに4つとも内乱が終わったばかりでまだ燻っているから下手に行ったら殺されるわよ?
そして、上杉は武田と北条に押されていつ滅んでもおかしくないし、村上は武田相手に、里見は北条相手に善戦してるけどジリ貧よ。
斎藤は今かなり勢いもあるけど、息子の斎藤義龍との間での不和が気がかりね。 ひょっとしたら内乱がおこるかもしれないわ。
朝倉は当主が屑ね。 今は怪物爺の朝倉宗滴《あさくらそうてき》が存命だからいいけど、彼が死んだらもう斜陽になるわね。
六角は当主は優秀だけど跡継ぎや重臣がボンクラだからいつか痛い目に会うと思うわ。
証如は気に入らないわ。
大内も勢力こそ大きいけれど家臣間の対立が激しいという噂だわ。 このままでは大友か毛利か尼子に食われるわね。
一条は当主が幼少なうえに、補佐に回っている過労が心労でよく胃を痛めているらしいわ。 その過労が死んだり殺されたりしたらもう後が無いわね。
これが私の目から見た各地の大名の様子よ」
「何でそんな詳しいの2人とも!?」
俺にとってはそっちの方が驚きなんだけど!
そしてさり気に本願寺の扱いがひどいな・・・。
「私はよく堺に来るから色んな情報を聞くのよ。 それに各地の花から情報を仕入れることも出来るし」
「何それ・・・」
まさか花を操る程度の能力にそんな使い方があったとは俺も想定外だ・・・。
「つまり、選ぶなら北条、武田、長尾、今川、織田、足利、三好、尼子、毛利のいずれかにした方がよいということか?」
「そうね。 私としては何となく織田がいいわ。 何となく伸びる気がするし、何よりも信孝の子孫の家系だものね?」
俺はその言葉に驚きを隠せなかった。
織田家が俺の子孫というのは調べれば簡単に分かることだからいいんだが、最早当てにならないとはいえ未来の歴史を知る俺にとって、織田家が今後伸びるという予測を立てた幽香の勘が凄まじい。
なにせ、貴族としての織田家が15世紀末に滅び、織田家の嫡流が貴族の織田家の最後の当主の妹の晴子を娶っていた武家織田家分家当主の織田信定《おだのぶさだ》に移ったため、織田家当主という権威はあるものの、その所領は尾張の中で一族が分割して領有しているため1人1人の所領は小さく、さらにそれぞれの織田家が対立していたせいで力も結集させられないという体たらくだったのだ。
しかし、最近になって信定と晴子の長男の信秀が一族を蹴散らして尾張をほぼ統一しているものの、北の斎藤道三、東の今川義元、西の本願寺配下の願証寺に囲まれ、さらに織田一族の対立もまだ終わっていないというまさに内憂外患な状況なのにだ。
誰も、信秀の息子の織田信長が後に戦国最強の覇王且つDQN王となることなど想像だにしていない時代だから、現在有力な武田や北条などを推すと思っていたからこれは想定外だ。
「成程織田か・・・。 藍はどうだ?」
「宜しいのではないでしょうか? 織田信秀も傑物ですが、その跡継ぎの織田信長もうつけという評判ですが、あれの本性はきっと私たちの想像をはるかに超えるものだと思われます」
藍よ、お前もか・・・・・・。
「だからそんな情報はどうやって手に入れてるんだ?」
「・・・・・・・・・仕事です」
「・・・・・・さよか」
ああ、また藍から哀愁漂う雰囲気が・・・。
だが、とりあえずこれからの方針は決まった。
「俺はこれから1~2年ほどかけて各地の有力大名の様子を実際に見聞しようと思う。
それから俺が仕官すべき先を見つけるという方式を取ろうと思っている。
だから、幽香と藍は此処に残ってほしい」
「・・・何故かしら?」「何でですか信孝殿?」
2人から反発の声が上がるがそれも想定の範囲内だ。
「そろそろ紫が痺れを切らせて何らかの行動を起こしているはずだ。
2人がこの家の外に出たら格好の目印になってしまう。
だから俺が単独で動いた方がいいと思うんだ」
「・・・仕方ないわね」「紫さま・・・・・・お許しください!!」
俺がそう説明すると、2人は納得したようだった。
・・・・・・藍の様子が不安だったが、この姿を見てなおさら連れていくわけにはいかないと決心した。
~翌日~
俺は藍と幽香に見送られて全国の大名を見聞するための旅に出発した。
予定では2年以内に戻ってくる予定だが、ひょっとしたらもっと長くかかるかもしれない。
でも、元平成の人間からしたら桶狭間の戦いや厳島の戦い、川中島の戦いは是非見てみたいな・・・。
そんな軽い気持ちで俺は旅を始めることとなった。
一「後書きを考えるのがこれほどなんかいだとは思ってもみなかった・・・」
信「他の作者様ってよくあれだけ書けるよな・・・」
一「だから今回も後書きは省略!」
信「いいのかよそれで!?」
一「仕方ないだろ! ネタが無いんだから!!」
信「そうか・・・。 すまなかった」
一「そんな素で謝られても困るんだけど!?」
信「いいからさっさと次回予告くらいはしとけよ」
一「・・・何でこない厳しく当たるん?」
信「・・・ノリ?」
一「絶望した!」
信「あー・・・、あそこでゴミがいじけてるから代わりに俺が次回予告をしよう。
次回は各地の大名の見聞を一話使ってやる予定だ。
ってなわけで次回も宜しく!」
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。