第二話:2人のサチコ
俺は幸子の他にもう1人スポンサーを確保している。
その女の名前も『サチコ』と言う。
字が佐智子という違いはあるが、呼ぶ分には間違いが無くて良いので非常に便利だ。
『幸子』には俺はプロミュージシャンになるという夢を持っている男。
『佐智子』には弁護士を目指して司法浪人中ということにしてある。
女には与えて欲しい女と与えたがる女と二通りに別れる。
両方のサチコとも与えたがる女だ。
一緒に夢を見せてあげているんだし、身体の方だって十二分に満足させてるのだから安いモンだろう。
幸子は所謂キャリアウーマンで、自分で輸入雑貨と輸入インテリアの店を三店舗経営していて、ネットのショップもやっている。
そのどの店も黒字を出しているという男顔負けのやり手だ。
佐智子はネイルサロンと美容室を経営していてこちらも中々の景気の良さだ。
幸子との付き合いはもう3年程になる。佐智子とは1年くらいだ。
両方とも結婚願望が無いのと仕事が忙しくほとんど逢わなくて良いのが、俺にはすこぶる都合が良かった。
俺はヒモ男には珍しいタイプかもしれないが、どの女とも同棲はしない。
両方の女にワンルームのマンションを借りてもらいそれを行ったり来たりしている。
電話は携帯しか持たないので、どちらからかかって来ても相手は自分の借りてるマンションに居ると思うだろうし、固定電話と違ってどこに居るかなんて分からないのだから便利で都合の良い時代だ。
電車で三駅ほど離れた町に借りていたら案外、一方の女と歩いていてもう一方の女と鉢合わせするなんて事もほとんど皆無だ。
以前は面白いように女が引っ掛かるので5股をかけたり、アパートも一部屋を借りるだけで居た。
例え女が鉢合わせして去って行っても、またすぐに次が見つかったりしていたので、余裕をかましていたのだ。
だが、何度か殺されかけるような事があったり、紆余曲折があり年を重ねるに連れ、俺もしんどくなったので今の方法へと落ち着く事にした。
なんでも欲張ったら負けなのだ。
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