第一話:ヒモ男の涙
「なぁなぁ、幸子待ってくれよぉ。」
やばいこのままでは一番の金づるに捨てられてしまう。
俺は生活が掛かっている為、かなり焦っていた。
「涼はいつもそうじゃない。私のこと金づる位にしか思ってないんでしょ?」
図星な幸子の言葉に俺はドキッとしたが、そんな事はおくびにも出さず、いきなりお願いしますだぁ〜モードから、怒りを抑えながら悲しんでる男モードへシフトチェンジした。
「幸子、それ本気で言ってるの?そんな風に思われてたなんて・・・。」
俺はひとすじ涙を流しながら言った。
「由香里のことは悪いと思ってるよ。お前の友達なのに手を出したりして。でも、一時の気の迷いなんだよ。」
由香里は事務員で給料はしれてる。切るとしたら由香里だ。
幸子は付き合いも長いし、何よりキャリアウーマンでほとんど逢わなくて済むのに給料もいい。
幸子を切るわけには行かない。
「涼・・・。ごめん。私・・・。言いすぎたわ。」
幸子が申し訳無さそうに俺の頬の涙を指で拭う。
『よしっ!』
俺は心の中でガッツポーズをとる。
涙は女の武器とか何とか昔から言われてるけど、そんなの男女差別だ。涙は男の武器でも有る。
ただ、男は武器をやたらめったら出さない。だからこそ効果が有るのだ。
「涼の涙初めて見たわ。傷つけてごめんなさい。」
幸子は俺の身体を抱きしめながら耳元で更に謝った。
「分かってくれたら良いんだ。幸子愛してるよ。」
幸子を抱きしめながらキスをするとベッドルームまでお姫様抱っこをする。
女はこのお姫様抱っこに弱い。
これでたっぷり時間を掛けて愛撫すれば、幸子は又今月も機嫌を損ねることなく俺の口座にお金を振り込んでくれる。
夢を追いかけている男を支える女の優越感に浸りながら。
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