FILE1 [1]薔薇に狂う男
「――で。依頼を受けて“きちゃった”わけだ?」
一枚の紙をひらひらさせながら白宮翠は言った。
明らかに白い目で。
「あ、うん。駄目だった?」
あ、あははと笑ってごまかす男――雪野真一を憎々しげに一瞥し、翠はわざとらしく深いため息をついた。
「何だよ、言いたい事あるならちゃんと…」
「浅はか男」
「うっ」
「低脳」
「あぅっ」
冷めた瞳で、淡々と言う。
優しさなんてどこへやら、だ。
真一も本当の事なので言い返せない。
「小学校からやり直せば?」
カッチーン
流石にこればっかりは、真一も聞き捨てならなかった。
「どーゆう意味だよっ!悪いって言ってん…」
叫んでから、真一ははっと気付く。
平然と真一を見つめる翠の口許には、微かに笑みが浮かんでいた。
一見、天使のに見えるそれは――今は悪魔の微笑みでしかなかった。
「へぇ逆キ゛レ?悪いと思ってる人間が、逆ギレするんだ?」
「で、でも小学校はないかなー…なんて。あは、あははは」
「そう。じゃあ“頭が良い雪野くん”は、頑張って働いてくれるんだね?」
反論できるわけが、無かった。 |