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オルゴールの音色は色あせない

作者:野口剛
 今、俺は真夜中の自宅でオルゴールを聴いている。オルゴールはメリーゴーランドのデザインで、ネジを回せばゆっくりと音を発しながら回転する。この音色はなんの曲だっけ。懐かしくもあり、心が落ち着く。そして、ゆっくりとオルゴールは止まった。

 俺が翌日に目を覚ますと、一つの違和感に気付いた。この部屋がいつもより大きく感じる。俺は冷蔵庫の前に立って、やはり自分の背が縮んだと感じた。大きい鏡で俺は映し出された姿に途方にくれることになる。自分が子どもに逆戻りしていた。なぜだ? 俺がどうして子どもになっている?

 俺は外に出るのも一苦労だった。ドアを開けようにも手が届かない。やっとこさぴょんぴょん飛び跳ねながら、ノブに手を掛けて外に出れた。外の世界はもっと大きく感じた。俺はこれからどうしたら良いのだろう?

 そのうちに夜がやって来た。俺は子どもになったまま。オルゴールの音色を聴きながらグウとお腹が鳴る。一体、これはどうしたら良いのか。まるでわからない。ただ言えることは、このまま待っても誰も助けてくれない。俺の両親はとうの昔に亡くなったからだ。オルゴールは形見でもあった。

 俺はいつの間にか寝ていたようだ。すぐに鏡で自分の姿を確認した。すると元に戻っていた。なんだったのだろう? 夢だったのか? それにしては生々しい夢だった。俺はオルゴールに見やる。オルゴールは何かを言いたそうだった。このオルゴールが俺の宝物であり、形見でもある。俺は涙を一筋だけ流した。

 結局、俺は昨日の記憶がなんなのかはわからない。オルゴールの音色を聴きながら、今日も夜がふけていく。お父さんとお母さんはきっと天国で幸せに違いない。俺の視線はオルゴールに注いでいる。ゆっくりと、ゆっくりと、音を発しながら回転する。俺はそろそろ寝ようと思う。もう子どもになったりはしないと思うけど、俺はいつまでもお父さんとお母さんの子どもだ。幸せに浸って、オルゴールはいつまでも回る。

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