第二十九話:勝率
「切り裂き魔? あの最近噂になってる?」
先発隊出立前、快は今回の重要人達の写真を高校生バスター達に見せた。
「ああ、名前は岩崎政一。元軍医で人体実験を行っていた第一任者だ。
その腕を買われて細胞バンクに入ったらしいが、
掃除屋界では切り裂き魔として有名だ。
先発隊はもしこいつと遭遇した場合、
出来るかぎり逃亡を第一とする」
「ええ〜っ! 敵前逃亡なんて剣士の道に反するよ!」
白真はおもいっきり駄々をこねるが、
「先発隊だろ。少しぐらい我慢しろよ」
「いや! いいえ、言うことききます・・・・」
快の殺気にあてられ、白真は大人しくなるのだった。
「で、俺はどう逃げたらいいのかね。
ここの破壊も任務のうちなんだが・・・・」
大地は考える。一応、実力の差は多少ありそうだが、
闘って勝つ確率は六十パーセントはありそうだ。
「いいねぇ、君は健康そうだね」
「そりゃコックだからな。栄養バランスとれた食生活はしてるんで」
サラリと大地は答える。
「そうかい、それは私のコレクションに是非とも加えたいね、橘大地君」
「へぇ、俺も結構有名人なのかな?」
大地は少し嬉しそうな表情を浮かべた。
「一応ね。君のお父さんはかなりの有名人だったから調べておいたんだよ」
「さいですか」
何かとあれば出て来るのが父親である。
致し方ないことと言えば納得するしかなくなるのだが。
「だから興味を持ってね。
橘太陽の息子ならかなりいい実験材料になりそうだ」
「・・・・俺は調理の具材かよ」
「医者にとってはな!!」
岩崎は襲い掛かって来た!
「土壁!!」
自分に直線に向かって来た切り裂き魔は、
メスを土壁に突き刺す状態になった。
「自然系のバスターか」
「端くれだけどな」
「確かに」
大地は土壁に亀裂が入り始めたことをすぐに見抜いて高く飛び上がる!
「脆い壁だ」
土壁が簡単に崩された。
「なんかショックだな」
空中で体勢を整え、岩崎から一定の距離をとる。
「ほう、身のこなしは良いようだな」
「体育の成績だけはいいんで」
大地は微かに笑った。勝率は半分以下だとようやく気付いたのである。
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