第二十二話:土
まずい予感がしていた。
珍しく咲とは違う任務につかされていた龍二は、
TEAM本社に戻った途端、
息を切らして戻って来た修から咲のピンチを聞かされたのである。
そして闇の中を四つの影が走り出す。
「もっと飛ばせ!!
咲が殺されたら殺した奴を灰にしてやる!!」
とても影の部隊に所属しているとは思えない言動だが、
それだけ咲のことが大切だと友人達は知っている。
「落ち着け、龍二。相手はライ・タナーだ。
冷静さを欠けば足手まといにしかならないだろう」
快は冷静だった。若干の焦りは見えるが、咲の実力を知らないわけではないからだ。
そして幸運なことに、治療兵である翡翠が同じ部隊にいれば、
咲が重傷でも命だけは取り留めることが出来る。
「龍二、咲は殺されていないことだけは確かだ。
だが、とんでもない力を持った奴が乱入してやがる」
「修ちゃん、この力の持ち主は敵なの?」
翡翠は不安そうな目をして修に尋ねるが、
「いや、敵とは思えないな。
何と無くだが、社長に似た感じがする」
そして、その力の持ち主は余裕そうな表情でライを見ていた。
「瀬野龍一・・・・!!」
「飢えた目をこっちに向けるな。
まっ、俺も考古学者だから研究対象に関する興味を抑えられない気持ちは分かるが」
カラカラと龍一は笑う。
少し苦しそうな息をしながら、咲は龍一に尋ねた。
「おじ様、どうしてここに?」
「ん? 義臣から聞いてないのか?
細胞バンクを潰すために召集がかけられたことを」
たたき付ける覇気が味方にさえ恐怖を与える。
元・影の総隊長の実力は健在である。
「・・・・篠原義臣もだいぶ焦っているようだ。
一体何を知られるわけにはいかないんだろうな」
「お前だって知らない癖して偉そうにするな。
あいつの隠したいことはそのまま闇の中に置いときゃいいんだ。
余計な詮索はする必要はない。
そしてそれが嫌なら」
パチンと指を鳴らした途端、ライの体が土に変わっていく!
「なっ!! 幻術か!!」
しゃべる口までが少しずつ土になっていく。
「いや、それは現実に起こっていることだ。
お前は溶解術を使うなら分かるだろう?
この世には人間を他の物質に変えることが出来るってよ」
もはやライはしゃべることさえ許されなくなった。
そして龍一はライから背を向けると、
「永遠に消えろ」
ライは土になった・・・・
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