第十二話:尋問
「・・・・三年前、私達の隊が細胞バンクに潜入し、
大きな過失をおかしてしまいました」
「ああ、俺の細胞と快の細胞があいつらの手に渡ったことだろう。
だが、そいつは取り返したんだ。
今更気に病むことなどないだろう」
その任務が翔達が遂行したものであった。
三年前、万が一自分の細胞が相手のものになったとしても、
必ず日本の細胞バンク本部に戻るように策を練っていたのだ。
「それだけではありません。
確かに社長と快の細胞の分析は困難となり、
三年間で解析することが支部では不可能でした。
しかし、利用する方法を見つけたものがいました」
「風野博士か・・・・」
翡翠の父である風野博士は、
掃除屋界では天才科学者でその名を轟かせている。
中でも
「デビル・アイ」の研究は、
数カ月前に崩壊した
「ブラッド」に大きな戦力をもたらしていた。
「はい、風野博士の研究のテーマの一つであった
「クローン」。
それに快の細胞が取り込まれたのです」
「そしてどうなった?」
義臣の目つきが厳しくなる。
「実験は成功。
快の細胞、いえ、能力を持つクローン人間が完成しました。
その力は今の快を超えています。
「なるほど、そりゃ厄介だな」
義臣は笑った。
まるで全てを予想していたかのように・・・・
「とりあえず、クローンは快に潰させる。
オリジナルがたった一パーセントにもみたない細胞に負けてたら話にならない。
何より、風野博士の研究を利用している細胞バンクに、
そろそろ制裁を加えてやろうと思ってたところだ。
そういうことだから覚悟しとけよ」
陽子の耳についていたミクロサイズの盗聴器が、
パチンという音を立てて潰れた。
「社長!」
「これで宣戦布告は終了。
だが、陽子。
俺にはまだ気掛かりなことがある。
お前ほどの使い手が細胞バンクの支部で失態を犯すとは思えない。
ましてや、あいつが隊長だったにもかかわらず、
お前をここまで追い込めるはずがない。
三年前にお前の兄貴達は何をやらかした?」
陽子はピクリと動揺した。
だが、刺される視線は彼女を逃すはずがない。
「・・・・兄達は、裏切られて殺されたんです」
「まさか!」
義臣はハッとした。
「そのまさかです。
兄の、哲兄さんの婚約者でありチームメートだった香に・・・・」
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