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これは、矢場荘
作:スグル


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S県のK市内。
サツマイモの名産地で有名。
この地には、凄いと言われてるアパートがある。
その名は、「矢場やば荘」
線路沿いの和式。
部屋は広かったが、ボロい。
洗面所はあっても、風呂場がなかった。

世の中、人の数だけドラマがある。
だから、「矢場荘」にも多くのドラマが起きている。
今日は、このアパートに住む人間の何気ないドラマを一つ紹介しよう。

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69号室に住む日山六助君(21)の場合。

彼は、東北地方から上京して、このアパートに一人暮らししている大学生。
好きな食べ物は、カレー。
だけど、大学の学食では毎日カレーばっか食べてたせいか、最近では嫌いな食べ物がカレーになりました。
好きな食べ物でも、毎日食べていれば嫌いになるということですね。


それは、どうでもいいとして、その隣の70号室に住む、お人好しで定評のある本田貢みつぐ君(19)の場合。

彼も東北から上京し一人暮らしの大学生。
初めてマツモトキヨシを見たとき、なんのお店か解らなかったそうです。
彼は休日の午後に昼食として、ファーストフード店に行って、テイクアウトでチーズバーガーを買ってきました。
どうでもいいんですけど、テイクアウトという単語にあるアウトは、野球では3回したら攻守交替になりますよ。

本田君は、チーズバーガーを部屋で食べ始めました。
「ん・・」
チーズバーガーを、口に含むと違和感が。
その違和感が気になり、本田君はチーズバーガーの上の方のパンを取ってみました。

「あっ!」

本田君は驚きました。
なんということでしょう。
チーズバーガーなのに、チーズが入ってません。
これでは、ご飯のないお寿司と同じで、ただのハンバーガーではありませんか。
本田君は、怒ります。
そして、部屋のドアを開けて、このチーズバーガーを買ったファーストフード店に向かっていきました。
徒歩で。

本田君は歩きながら、お店に向かう途中でクレームの練習をしています。
「チーズ入っとらんやんけ、ふざけとんのか、ああー、こらー」
と、ドスの効いた発声練習をしています。
クレームのトレーニングは、人が居ない所でやるのがベストです。
じゃないと、すれ違う方々に話題を提供することとなります。

やっと、度重なる道を歩き、お店に着きました。
本田君は、クレームの練習をしたので自信満々にお店に入って行きます。
「いらっしゃいませ・・」
と、やたら筋肉質のスキンヘッドの身長198センチな店員さんが出迎えてくれました。
その店員さんは、髭剃りに失敗したのでしょうか、顔面に深い傷があります。
出迎えてくれた店員さんを見て、本田君はクレームをつけるのを中止しました。

そうです、人間誰しも失敗してしまう生き物なのですから、人の失敗を責めるのはよくありません。

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と、このような日常の何気ないドラマが、この「矢場荘」で、日々起きています。
みなさんも、街で「矢場荘」を見かけたら、近寄って見ては如何でしょうか?
きっと、知らなくても良かったことを、知ることでしょう。

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