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第10章
〜出歩いて…落っこちて・第10章〜





*前回のあらすじ

初めてのギルドの仕事で討伐任務をする事にした僕達。
依頼を受けた倉庫の中を探索していた所、なにかの気配を感じ取る。
僕たちはその正体を探るべく、モノ音のする方へと向かっていた。


***


――――カリカリカリカリカリカリカリカリ……。


何処からか聞こえるモノ音…


――――カリカリカリカリカリカリカリカリ……。


正体が解らない為、妙に恐怖心が出てくる…。


――――カリカリカリカリカリカリカリカリ……。


段々音が近くなった様な気がする…。


――――カリカリカリカリカリカリカリカリ……。


こちらも相手が逃げないように…なるべく音を立てずに…


――――カリカリカリカリカ「カリカリうっせぇぇ!!」


ちょっと紅!気付かれちゃうじゃないか!!

「良いんだよ!どうせ倒す事に代わりねぇんだからな!!」
「ちょっ!ちょっと紅!っもう!!」

僕と彼女は音のもとに走って行く…そして。




「見つけたぜ…」
「ま、まさかこいつが…騒動の根源!?」




―――僕たちが向かった場所で見たモノ………





―――それは。





「クルルゥ〜♪」
「お!結構可愛いなコイツ?」
「………拍子抜けだぜ…ったく。」


まっ白な…本当に雪の様に白い毛並み…四本足の生き物…。
ソレは全身雪の様に綺麗な毛並みと、2本の角が生えたトカゲの様な生き物だった…。


――う〜んと?何だろコイツ?


とりあえず向かった先の野菜とかが置いてある棚の辺りに居たコイツ。
まっ白い体毛がまぶしい体長20cm位の謎の生き物さんだ。

――コイツを見つけた時は戦うのかと思ったんだけど…

「ククルゥ!」
「おいおい!ローブを噛むなよ?ほらリンゴあげるからさ」

――何故か懐かれました…何故?

とりあえず、コイツ以外何か居ないのかと思い、この後も徹底的に探したんだけど…
この謎の生物がいた痕跡以外何も認められなかった。


「なぁ、かなめよぉ?」
「何?」
「やっぱりコイツが犯人かぁ?」

う〜んどうなんだろう?
とりあえず目撃証言にあった四本足って言うのと、食料品を食べていたってとこは一致するんだよね。

「う〜ん、調べたけど…コイツ以外生き物がいた形跡も無いしなぁ…」
「じゃあ犯人はコイツに確定か?」
「だろうね。」

とりあえず白いそいつに目をやると…

「く〜?」

首をかしげてこちらを見返してくれました…やべぇ…ちょー可愛い。
でもコイツいったいどこから来たんだ?

まぁ良いか…原因も解った事だし、とりあえずジョンさんに報告しないとね。
そう思った僕たちは再びあの重い倉庫の扉を開いて、地上へ続く階段へと足を運んだ。



この白い子を肩に乗せてね!!!あ〜なんか癒される〜♪



***



―事務室―

事務室の前に来た僕は扉をノックする。
コンコンッ!

「開いてますよ。」
「失礼します」

僕はジョンさんがいる事務室に足を踏み入れる。
紅は外で待って貰う事にした。詰まんない話になりそうだしね。

「ん?ああ、イガラシさんでしたか。首尾はどうでしたか?」
「あ、いやまぁ…犯人を見つけたっちゃあ見つけたんですけどね?」

――その時僕の服の中から何かが顔を出した。最初肩に乗ってたんだけど、
何時の間にか服の中に入り込んでたんだ。マジ可愛くね?

「く〜!」
「おや?コレは…ハニーヴァイスの子供じゃないですか。珍しいですね?」

どうやらコイツはハニーヴァイスと言う種族らしいね。
まぁ確かに小さくて白い体つきだし…良い名前だと思うな僕は。

「ハニーヴァイス…ですか?」
「おや?イガラシさんは知らないのですか?」
「ええ、お恥ずかしながら…遠いところから流れて来たものですから…」

とりあえずソレらしい事を言っておけば大丈夫な筈!
それに遠いところから流れて…って言うか流されてだけど…ってのはあながち嘘じゃないしね。

だって僕、ついこないだこの世界に来たばっかりなんだもんよ!
ある意味突然の島流し!だから知らない事があってもしょうがないんだもん!
恥ずかしいから口には出さないけどね!

「そうなんですか?まぁ確かにハニーヴァイスはこの辺の自然の中にしかいませんから、
 他の地域から来た人ならば知らなくて当然でしょう。」

――そう言ってにっこり微笑んでくれたジョンさん……ええ人や。

この後、このハニーヴァイスについて詳しく教えてもらった。
何とコイツ毛皮ふわふわの癖してドラゴン種の一種なんだって!
おまけに大きくなっても普通は大型犬サイズ。

良くて馬(ポニー程度)くらいにしか成長出来ない種類らしく、
その大型犬サイズに至るのにも、大体数十年はかかるのだとか…。

気性の激しいドラゴン種にしては珍しく、気は優しくて力持ち!
ペットとしても家畜としても優秀で、おまけに空も飛べる……らしい。

でも…ドラゴンねぇ?

「くぅ?」

なんとなく、このハニーヴァイスとかいうドラゴンの一種であるとか言うコイツの方を見てたら、
首をかしげて“どうしたの?”ってな感じな仕草をしてきました。

「何でもないよ」

そう言って頭を撫でてやる。

「くぅぅ〜♪」
すると、気持ちがいいのか眼を細める仕草をしてきた…。
あれれ?なんだかホワワ〜ンとした気分になって来たよ?

「おやおや、随分懐かれてますね?」
「そうなんですか?」

そう返しながら撫で続けている僕…うん、フワフワな毛が心地いい♪

「ええ、普通はかなり懐かないと、頭なんて触らせてはくれない生き物なんですよ?
 ほら、こんな風に…」

そう言って手を伸ばすジョンさん。
ハニーヴァイスは迫ってくる手を見ると、スイッと頭を逸らして手から逃れようとする。

「…っと、あんまりやると嫌われますからね。
 とまぁこんな具合に普通は頭とかは触らせてはくれないんですよ。」

ちょっと残念そうなジョンさん。
まぁ気持ちは解るかな?この子可愛いしね…。
とりあえずハニーヴァイスが可愛い生き物という事が解ったので、そろそろ話題を元に戻そうと思う。

「あのう、ジョンさん。この子どうしましょうか?」

そう僕が言うとジョンさんはう〜んという感じで思案顔になった。はて?

「う〜ん、飼い主がいないと普通なら処分しなくちゃいけないんだけど…参ったなぁ。」


―――その時のジョンさんの顔を見て、何を思ったのかは大体理解した。


ハニーヴァイスを処分……要するに殺すってことだけど、
この真面目な青年は多分そういった事はしたくないんだと思う。

だけど、社会って言うのは残酷でコイツの事殺したくは無くても、
すでにコイツは人間のモノに手を出してしまっている。

俺のモノは俺のモノ、お前のモノも俺のモノ―――

そう言う某ガキ大将の様な考えという訳ではないけど、
それでも社会的には倉庫の中の果物を食べてしまった“害獣”として扱わなければならないし、
倉庫を運営する立場から見てもそうしなければ示しが付かない。

出会ってからまだそんなに経って無いけど、彼は仕事に真面目な青年である事は見て取れた。
そんな彼が頭を抱えるという事は…彼はとても優しい人なのだと思う。

だから―――

「あの、なんでしたらこちらでそのハニーヴァイスを処分しましょうか?」
「あ、いや…」

―――つい、口を出してしまった。はぁ、僕も…ある意味甘いのかもしれないな…。

「そう言うのの処理も…仕事の内ですから…」
「そう…ですね…解りました。お願いします…。」

ちょっと悲しそうな顔をするジョンさん。
仕方ないとは思う。
だって彼は“大人”なのだから…でも。

「もっとも、僕は動物に好かれる質なので…
 “似た様なハニーヴァイス”が懐いてくるかも知れませんけどね。」
「!!…ありがとう」

だからこそ…僕は手を貸してあげたいと思ったんだ。


――――実は正直な話こんなペットが欲しいと思ってたんだ♪
え?紅は違うのか?いやいや、彼女は“相棒”ですからこれまた意味が違うんだよね。

ペットは愛でる為にあるのだ!それがジャスティス!こんなかわいい子殺すなんてできません!
だから僕が“貰う”という処分をします。これでいいのです!
一応原因を取り除いたって事だから多分問題は無い筈だもん。多分。

――――後で紅になんて説明しようかな…。

***

「ただ今戻りました!」
「あら〜?イガラシ君ベニちゃん、もうお仕事おわったの〜?」

あの後僕は紅と合流して、仕事が終わった事を伝えにギルドへと足を運んでいた。

「ええ、討伐対象は大ネズミでは無くてハニーヴァイスの子供でしたけどね?ハイ書類」
「あら〜そうだったの〜?たまにあるのよね〜そう言う事〜。じゃあ今回の報酬ね〜?」

僕はお姉さんから渡された報酬の5000Gを鞄に仕舞った。
……結構重いな…コレ。

「ところで〜イガラシ君の肩に乗ってるのって〜?」
「ああ、この子ですか?帰る時に心やさしいお兄さんに託されたハニーヴァイスの子供ですよ?」
「あら〜かわいい〜♪名前はあるの〜?」
「名前…ですか?」

そう言えばこの子の名前決めて無かったっけ?
う〜ん、何て名前にしようかな?

「えと、実はまだ決まっていないんですよ。
 だから後で考え「あらあら〜じゃあ私が決めてもいい〜?」……え?」

何故かキラキラと期待を込めた眼でこちらを見てくる受付のお姉さん。

「えと、別に良いですけど…」
「じゃあね〜、えっと〜、この子はまっ白だから〜」
「シロとか安直なのは無し…ですよ?」
「…………」

ってオイ!当ってたのかよ!
まぁ、初見で思いつく名前なんてそんなのだよね。

――この後お姉さんとハニーヴァイスの名前をどうするかで長い事話し合っていた。

あまりに話しあいが長かったのか、
今まで黙っていた紅がハニーヴァイスを頭に載せて不満顔で僕に話しかけてきた。

「なぁ、まだ終わんねぇのか?」
「あ、ごめん紅。この子の名前が決まらなくてさ」
「ん?チビの名前か?んな事今決めなくてもいいだろうが。それにもういい加減夕飯食いに行きてぇぞ!」
「くぅぅ…」
「見ろ!チビも腹減ったぁってよ!」

見ると僕の頭の上でクターとしているハニーヴァイスの姿が…ありゃまぁ。

「う〜ん、じゃあ紅、お金上げるからこの子連れて先に何か食べに言ってくれないかな?」
「解った。それじゃあ俺は市場の屋台んとこ行ってるからな!行こうぜチビ」
「くぅぅ♪」

ハニーヴァイスは紅に呼ばれると彼女の肩に飛び乗り、一緒にギルドから出て行った。

「さて、何て名前にしましょうか?」
「……あのね〜?私いま思ったんだけど〜」
「はい、なんですか?」
「もう〜あの子の名前は〜“チビ”ちゃんなんじゃないかしら〜?」
「……あ。」

おーのー。今までの苦労は一体…なんなの?

***

―――紅達を探す為、市場の屋台を回っていると、四軒目あたりで紅達を見つけた。

紅は屋台で買ったと思われる串焼きを食べ、
チビは多分市場で買ったとおもうメロンみたいな果物に首を突っ込んでもしゃもしゃ食べていた。

「ん?よう!早かったじゃねーか。どうだ?チビの名前決まったのか?」

僕を見つけた紅が話しかけてくる。
うん、決まったよ?確かにね?

「その子の名前はチビだよ」
「は?チビはチビって名前にしちまったのか?アレだけ悩んでソレかよ…つまんねぇの」
「……はぁ、あのね?君がこの子の事チビチビって言ってたでしょ?」
「そういやそうだったな」
「ソレの所為でチビって名前で定着しちゃったの!見ててみ?おーいチビ」
「くぅん?」

チビと呼ばれてこっちを向くハニーヴァイス。
どうやら“私のなまえはチビ”とすでにインプットされている模様。

「………ね?」
「ゴメン。なんかゴメン。」
「良いんだけどね…良い名前つけようと思ってたら意外な伏兵に先を越されたけど…
 別に気にしてないさぁ……………ハァ」
「めっちゃくちゃ気にしてんじゃねぇーか…」
「なんかいった?」
「うんにゃ…なんでもねぇ」

とりあえず、僕らの仲間にハニーヴァイスのチビが加わった。

「と、とりあえず!コイツの名前も決まったんだし飯でも食おうぜ!」
「うん、そうやね…ところで君さっきから食べて無かった?」
「アレはオヤツだ」
「……さいですか」

さすが紅、相変わらずの食欲だなぁ。
コレだけ食べても太らないって当りが周りのダイエットに励む女性たちからひんしゅくを買いそうだ。
僕はチビを肩に乗せ、紅と一緒に他の屋台に向かう。
はぁ、それにしても…クスン…せっかく良い名前あげようと思ってたのになぁ…残念。




今日もこうして一日が過ぎて行ったのでした。まる。




後書き。

どうもみなさんお久しぶりです。
ようやくテストあけたんで、投降もとい投稿を再開します。

という訳で今回はマスコットキャラとしてチビ竜のチビが登場!つーかまんまやんw
自分のネーミングセンスのなさに脱帽したわw

しかし、どうしてくれようかコイツ…。
出したのは良いんだけど、予想以上に空気になりそうな気がする。
……ま、まぁ今後の展開でどうとでもなるさ……多分。

以上グダグダなQOLからでした。




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