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黒猫のタンゴ
作:池田コント



第21回:別たれた絆


 かくして魔女と使い魔は別たれた。

 魔女ユーワは組合の白い部屋に連れて行かれ、監視つきの生活を過ごすことになる。許可なしでは魔女の世界に関わることを一切してはならない。自分の家に帰ることも許されず、魔女の友人に会う事もかなわず、本も読めず、使い魔にも会えない。
 学校に通うこともできず、魔女組合の管理する建物の白い部屋で、通信教育の教材を相手に毎日を過ごす。
 まるで、牢獄のような。
 咎人の烙印が薄らぐまで、この日常は続く。

 咎人の魔女は使い魔を飼えない。
 だからタンゴは魔女グロリアのもとに預けられた。
 告発者が使い魔も監視する義務を持つというのは組合の規則である。
 グロリアは初日から後悔する羽目になった。
 ユーワが捕まった日のタンゴの泣き声といったら!
 よく赤ん坊の泣き声を「火がついたようだ」というが、むしろタンゴ自身の泣き声は雨だ。たとえば空一面厚い雨雲の覆った日の土砂降り。包まれて世界中で雨が降っているかのような錯覚を起こす静かで耳障りな雨音。グロリアはやめさせようとしたが、どんなに言い聞かせようと、痛めつけようと、決してとまることはなかった。
 やがて夜になり、声も涸れて、グロリアの家は静寂を取り戻した。
 ジェラスは痛ましそうにタンゴを見ていたが、結局言葉が見つからず、声をかけそびれていた。

 翌日、使い魔仲間のロンドとポルカが主人とともにやってきて、慰めの言葉をかけ、ユーワに面会に行こうと誘ってくれた。面会と言っても実際会話ができるわけではない。マジックミラーで一方的に覗くだけだ。
 咎人の魔女は魔女の世界との関わりを禁じられているだけでなく、使い魔の瞳を覗き込むことで魔女は瞳に焼きこまれた記憶を読むことができるから、視線を交わすことすら許されないのだった。
 あの春のそよ風のような優しいまなざしも、陽だまりの匂いのする腕の中も、愛しく撫ぜてくれた鈴のような声も、昨日までは確かにあったはずのそれらはすべて、今となっては遠い存在もなっていた。

 タンゴはまた泣いた。
 一番大切なものを取り上げられてしまったから。


半月と言いながら一月も間が空いてしまいました。
動機付けを怠らずこれからもがんばっていきたいです。











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