第7話 仲間
ディランがレポートを読み終わるとジーンとナオコが怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
「2人とも、これを見てくれ」そういってディランはレポートを手渡す。
レポートを読み終えた2人の反応はディランのものとほぼ同じだった。
『そんな、アンブレラ社がこんな事態を招いたなんて』
『なんてことだ』
机の引き出しを漁っていたディランは緊急用のカードキーを見つけた。
「もうこんな町にとどまっている必要は無い。町を出よう。俺達が乗ってきたヘリがまだあるはずだ」
カードキーを差込み、ドアを開けるとゾンビが現れた。
ディランはそのゾンビの腹に前蹴りを食らわせ、ショットガンで止めを刺した。
ディランが薬莢を排出しながら前に進むと、そこには大量のゾンビがいた。
「2人とも、援護を頼む」そういってディランはゾンビの集団に突っこんだ。
目の前のゾンビの集団に向けて、ディランはショットガンのトリガーを引いた。
目の前にいたゾンビは腹に穴を開けながら大きく吹っ飛び、後ろにいたゾンビも巻き込まれていく。
そしてダウンして動きの止まったゾンビの頭をナオコが的確に撃ち抜いていく。
ジーンはショットガンを使い、迎撃手を務めていた。
ディランは常に周りを見ながら動き回り、死角を無くす戦い方をしていた。
人間がゾンビに勝っている点はスピードだった。生き残りたければ、その差をフルに使わなければならない。
ディランは自分の横にいたゾンビを蹴り飛ばし、ショットガンの引き金を引いた。
しかしゾンビの頭がはじけることは無かった。弾切れだ。
「しまった」
ディランが思わず半歩ほど後ずさると、ゾンビの頭が吹き飛んだ。
銃声のした方を見るとジーンがショットガンを構えて立っていた。
『ちゃんと数えながら撃てよ』
「すまない」
ディランは肩に掛けていたM4に持ち替え、応戦する。
ゾンビの頭を、サブマシンガンよりも貫通力の高いカービン弾が次々と撃ち抜いていく。
ようやく現れたゾンビを倒し終わると、そこは血の海だった。
皆、自分の銃をリロードしていると突然ディランの無線がなった。
『こちらAチーム。救援を乞う。繰り返す、こちらAチーム救援を乞う。場所はメインストリートへリポート前だ。この無線を聞いている隊がいたらすぐに来てくれ』
そういって無線は切れた。
『隊長。救出に向かいましょう』
M4のタクティカルリロードを終え、射撃準備を終えたナオコが言う。
「そうだな。俺達もヘリに向かうことだし」
銃を構えたままディラン達は駆け出した。
「急げ、Aチームが全滅してしまうぞ」全部隊最高の能力を持つ者の集うAチームが救援を求めるということはただ事ではない。
メインストリートに着くと、Aチームの隊員と思われる人物がアサルトライフルを発砲していた。
確認できる隊員は彼だけだった。
「彼を援護するぞ」
ディラン達はストリートに飛び出した。
そこには不気味な怪物がいた。
人間の大男に近い体躯に、浮き出た血管。
そして何より不気味なのは、飾りにもならないであろう大きさの左腕とその代償で手に入れた
長く、大きな右腕だった。
Aチームの隊員はこちらに気付き、怪物から目を放さずに話しかけてきた。
『来てくれたのか、ありがたい。奴の右腕には気をつけろ。伸ばして攻撃してくるぞ』
丁度その隊員が言い終えたとき、その怪物は隊員めがけて右ストレートを放った。
怪物と隊員の距離は、ゆうに三メートルはあったが隊員は身をかわさなければならなかった。
隊員は横に転がり、即座に反撃した。
しかし、隊員のアサルトライフルから放たれた銃弾は、怪物が盾のように構えた右腕で弾かれてしまった。
『チッ』隊員は回避行動をとりながらリロードをした。
その間に怪物はまた、長い右腕でパンチを繰り出した。
隊員はそのパンチをかわす、だが怪物の狙いはパンチを当てることではなかった。
怪物はコンクリートに爪を食い込ませ、そのままジャンプして一気に距離を詰めた。
一気に隊員との間合いを詰め、怪物は大きな右腕を振り上げた。
「下がれ!」
ディランの一声でその隊員は素早くバックステップして距離をとる。
ディランは隊員に散弾が当たらないように狙いに気をつけ、がら空きになった怪物の上半身にショットガンを向け、トリガーを引く。
ショットガンの轟音が響き、怪物が仰け反る。
そこでナオコが銃を向け、「下がって下さい」と叫んだので、それを聞いたディランと隊員は後ろに下がり距離をとる。
直後、ナオコはグレネードランチャーの引き金を引いた。
体勢を立て直したばかりの怪物に、直径40mmの榴弾が襲いかかる。
近距離で爆発したグレネードの熱風が吹きぬける。
グレネードの直撃を受けた怪物は大きく吹っ飛び、壁にぶつかった。
しかし、まだ動いていたのでディランは怪物の頭に向けてショットガンを発砲し、止めを刺した。
『ふう、助かったよ。俺はドラゴだ。よろしく頼む』
その時、ストリートの建物にもたれかかっていた人物が咳き込み始めた。
それに気付き、ドラゴが近寄る。
『大丈夫か』
彼女は再び咳き込んだ。
『ドラゴか。化け物は?』
どうやら内臓を強打したらしい。息が少々苦しそうだ。
ドラゴが息絶えた怪物を指差すと、彼女は安心したように息を吐いた。
ドラゴが肩を貸すと、彼女はディラン達に気付いた。
『こいつらは?』
彼女は野生的スタミナで、もう息が安定してきた。
『救援に駆けつけてくれた仲間さ。彼らが化け物を倒してくれたんだ。』
彼女は既に1人で立てるまで回復したようだ。
『そうか。私はアンジェラだ、よろしく頼む』
その後、軽く自己紹介をした。
辺りに他の人がいないことを不審に思ったディランが質問をした。
「Aチームの生き残りは君達だけか?四人一組が基本だが」
ドラゴは難しい顔をして首を振る。
『いや、隊長ともう1人ははぐれてしまったんだ。Aチームは全員無線を持ってるから、無事なら連絡があるはずなんだが』
この状況ではぐれてしまっては、発見することは難しいだろう。
「それより、これからヘリポートへ向かうところなんだが一緒に来るか?」
その台詞にドラゴは残念そうに首を横に振る。
『いや、あそこにはもう何も無い。ヘリが爆破されているんだ。この状況で生存者がいるとは思えないんだが』
ディランはそれを聞いて、アンブレラ社の施設で見てきたことを2人に伝えた。
『なんだって、それじゃあヘリを爆破したのもやつらか?』
「ああ、恐らくな」
『それじゃあたし達は捨て駒にされたってのか』
2人とも怒りに震えていた。
「とにかく、町から出る方法を探そう」
2人とも異存は無いようだ。
『ああ、こんなところで人生を終えるつもりは無い』
『アンブレラ社の奴等をぶん殴ってやんないと気が済まないからね』
二人は武器の点検をし始めた。
ドラゴの持っているアサルトライフルはシグ社のSG550だった。
命中精度が高く、半透明のマガジンによって残弾の確認が容易である。
その他にもシグ社のP226をサイドアームスとして装備していた。
圧倒的な耐久性と命中精度を持つ一丁だ。
アンジェラの持っていた武器はサブマシンガンでFN社製のP90であった。
50発という多い装弾数と人間工学を重視した独特なデザインが特徴的な銃である。
この銃のマガジンも半透明で外から残弾を確認することが出来る。
サイドアームスは同じく、FN社製のファイブセブンピストルを装備していた。
その名前の通り、P90と同じく5・7ミリの専用弾を使用する。
どちらの銃も貫通力が高く、反動が少ない為扱いやすい。
新たな二人の仲間が加わり、デイラン達は死者の町と化したラクーンシティをさまようことになる。 |