第2話 襲撃
一階につくとトムが恐怖を隠しきれない様子で『隊長、あそこを』と言ってきた。
怯えながらもすぐに必要な情報を伝える彼はなかなか優秀である。
トムが指差した先には黒い塊があった。
いや、居た。目の前にいたのは巨大なクモであった。
「何だ、あれは?」そうディランが言うなりそのクモは飛びかかってきた。
どうやら考えている暇はなさそうだ。
「トム、走り回りながら戦え。あの巨体にのしかかられてはたまらん。」
トムは返事をしなかったが指示は伝わったようだ。
巨大グモの光っている目を試しに撃ってみるが、どうやらほとんどダメージを受けていないらしい。
次に腹を撃ってみる。致命傷にはなっていないかもしれないが、着弾箇所から血液のような物が滲んできたので決してダメージはゼロではないだろう。
しかしそのクモはゆうに5メートルはあろうかと言う巨体ながら凄まじい速度で跳躍してくる。
これだと走りながら撃つというより、避けながら撃つため、いくら反動の少ないサブマシンガンといえども限度がある。
弾を適当にばらすように撃っていてはすぐに弾切れしてしまう。
そう思ったディランは射撃モードをフルオートからセミオートに切り替えた。これなら弾のムダをなくすことができる。
回避を重視して、隙ができたときに確実に銃弾を撃ち込んでいった。
クモも体を傷だらけにされて苦しいのか最初の頃より動きが鈍ってきた。
しかし既に2人で30発以上は撃ち込んでいるはずなのにまだ生きているクモの生命力には驚きだ。
徐々に2人が優勢になってきた。トムも弾道があまり安定しないまでも、よく戦っている。
しかしそこでトムのサブマシンガンの銃声が消えた。弾切れである。
クモもそのことに気がついたのか、リロードに手間取っているトムに飛びかかる。
「避けろ!」その声に反応したトムが銃を捨ててクモの体当たりをかわす。
しかしトムはそのまま尻餅をついてしまった。
それを見てディランはすぐに自分のサブマシンガンをフルオートに切り替えて、クモに撃ち込んだ。
薬莢が落ちた音が二回したところで何も音がしなくなる。
クモはトムに止めをささんと足を振り上げている。
ディランはすぐに弾切れとなったサブマシンガンを捨て、懐からコルトパイソンを取り出す。
そして両手で構え巨大グモの腹めがけて一気に全弾撃ち込む。
やがてクモの全身から力が抜け、クモは倒れた。
トムはまだ息を荒くしていた。
「トム。すぐに自分の銃を拾ってリロードしておけ、いつでも戦えるように。それからメインの武器が弾切れになったらすぐに新しい武器を取り出せ。次は守ってやれんぞ」
そこまで言ってやっとトムは反応した。
こんな過酷な戦場では下手に励ますよりもどうすれば生き延びられるか、を教えてやったほうがいい。ディランはそれをしっている。ディランも自分の銃を拾い、リロードをした。 |