第1話 戦場の街
その日ディランは戦場に居た。
だが戦っている相手は軍人ではない。いや、正式には人間ですらなかった。
「こちらBチームのディラン。任務続行中の隊は応答せよ。及び隊の状況を答えよ。」
小型の無線にディランが話しかけると、銃声に混じった声が返事をする。
『こちらCチームのマイク。現在のところ負傷者0、戦闘中。』
『こちらEチームのグレイ。隊員が一人負傷しているがまだ戦える。』
『こちらDチームのアレックス。敵に囲まれているが状況は悪くない。ここから本領を発揮する。』
どの隊もまだ戦えると聞いてディランは僅かながら安心した。
「Aチーム、応答せよ」話しかけるがやはり返事はない。
電波状況が悪くなる事ぐらい、日常茶飯事だったが、この状況では声が聞けない以上、最悪の結果も頭に入れておかなくてはならない。
Aチームの安全が分からない事が今のディランにとって唯一の不安材料だった。
最も、全兵士の中で最高の能力を持つ者だけが配属されるAチームに限ってそんなことは無いと思うが。
「よしBチーム先へ進むぞ。」Bチーム隊長であるディランが声をかけると了解と返事する声が三つ。
1人はベテランの傭兵であるジーン。もう1人は元警察官であるトム。最後の1人は先日入隊したばかりの新米隊員、ナオコである。
サブマシンガンを構えなおし、辺りを警戒しながら先へ進む。
しばらく進んでいると、大きな教会が見えてきた。
「よし、ジーンとナオコは入り口の安全を確保。トムは俺と一緒に来い、生存者の捜索を開始する。」
そういうとディランはドアを蹴破り、中へ入る。
教会の中は薄暗く、気味が悪かった。
「トム、弾薬は充分か?」教会に入りフラッシュライトをつけたトムが返事をする。
『大丈夫です。まだ戦えます。』
そうかと軽く返事をし、互いの死角をカバーしながら先へ進む。
『隊長、階段があります。』 トムが指差した先には二階へ続く階段があった。
「トム、お前はこのまま一階で生存者の捜索を続行せよ。俺は二階を探す」
『了解』
ディランは二階へ上がった。ライトで壁や床の辺りを照らすと、所々赤黒い血痕が見られた。
ディランは気を引き締めなおし、いくつかある部屋のドアノブに手をかけた。
部屋ははっきり言ってとても荒れていた。
恐らくこの部屋でも無差別な殺戮が行われたのだろう。
ディランが部屋を出ようとしたとき何かが動き、迫ってきた。「まあ、当然か」
そういってディランは弱点である頭を撃ちぬき、それを倒した。
倒れた死体を見てみると、腰にホルスターをしていた。
そしてホルスターには黒光りするリボルバー拳銃が収められていた。
まあサイドアームスにはなるだろうと思い、ディランはその銃をホルスターから抜き取った。「ヒュー、コルトパイソンか。これ、貰ってくな。」
既に返事をしなくなった銃の持ち主に声をかける。
その時『た、隊長』とトムの若い声がした。
ご丁寧にも六発フルに装填してあるコルトパイソンを懐にしまい、ディランは階段を降りていった。 |