14☆蘭の真実
「ピスコを殺すように命令した・・・」
蘭自ら“殺した“と
言った。
オレはその言葉を聞き逃さなかった。
「なぜ・・・殺人なんて命令したんだよ・・・・
蘭、教えてくれ..」
蘭はしばらく黙っていた。
とても険しい顔になっている。
「ピスコのためよ・・・・」
その一言だけつぶやいた。
蘭はオレに背を向けた。
「オイ、ピスコのためってどういうことだ?」
何も言わなかった。
オレは、何回も蘭に
聞いた。
しかし蘭は何も言わない。
その後ろ姿だけが、
とても寂しそうだった。
「じゃあ,新一に組織の目的がわかるの?」
蘭はいきなり意味深なことを言った。
とつぜんのつぶやきにオレは驚いた。
「それは蘭が言っていたじゃねぇか・・・
死者を蘇らせる秘薬の開発だろ?」
「それもあるわ。
でももう一つあるのよ・・・」
「何なんだ?それは?」
「“記憶喪失の秘薬“」
記憶喪失の秘薬。
何だ?
記憶喪失の薬ってどういうことだ?
何に使うつもりなんだ?
「私には、その秘薬が必要なのよ…」
「目的は・・・」
「目的を話すのね‥
長くなるけど、いい?」
「ああ,教えてくれればいいよ。」
蘭は、ピスコについてから詳しく説明した。
「あのね、ピスコは本当は
とてもいい人なの。
私の幼い頃にピスコは一緒に遊んでくれた。
ちなみにピスコは博士の兄。
その時は博士と私とピスコで遊んだの。
その日々はとても楽しかった。
私はその頃から組織に入っていた。
組織には冷酷な人ばかりで
全然和めない。
しかし、2人と遊んでいるととても和める。
そんな環境だった。
でもピスコはある日を境に組織に入った。
何がきっかけで組織に入ったかは、わからないけど、
とても残酷な瞳をした
老人に変わっていた。
最初私は、ピスコが博士の兄だとは
気付かなかった。」
「ピスコが博士の兄だという話なら、
博士本人から聞いたよ。
しかもかなり年の離れた兄弟とも聞いたが・・・」
「ピスコを殺した動機はここから始まったのよ…
最初は別にピスコを殺そうなんて、
思わなかった。
そんなことを思い始めたのは
最近ピスコの正体が
博士の兄だと気づいてからよ…
ピスコは約8〜9年間ぐらい
組織に所属していた。
彼は、いままでに何人もの人々を
殺し続けた・・・
彼は殺人鬼になってしまった。
平気な顔をして人を殺していた。
それは毎日のように
悪魔になって
人を殺し続けた・・・
その表情は、とても恐ろしかった。
私にも止めることなどできなかった。
もう私には、ピスコを止める手段は一つしかなかった。」
「それが、ピスコを殺すことなのか?」
「ええ..そうよ
殺人鬼になったピスコを一旦殺しておかないと
また殺人を犯してしまうから..
もうこれ以上ピスコがいや、
博士の兄が殺人を犯すところなんて、
見たくないから・・・・
殺すなんて、そんな方法はダメだと
思った。
しかしそれで殺人鬼のピスコの存在が、
消えるならいいと
思った。
私は歯を食いしばり
ジンにピスコを殺すように命令した。
そしてジンは、
ピスコを殺してしまった・・・・
死んだピスコは哀れな姿だった。」
「それで今ピスコはどうしたんだ?」
「ピスコはあの杯戸シティ事件が終わってから
こっそり組織のアジトの地下室に
置いてあるわ。
腐らないように保存しているから一応大丈夫だわ。
そして私はピスコを再び蘇らせるために
死者を蘇らせる秘薬を
求めている。
その秘薬でピスコを蘇らせるつもりよ…
しかしそれだけだと
組織の頃の記憶も同時に蘇ってしまう・・・
だから記憶喪失の秘薬も
求めているのよ…
私はピスコを蘇らせて、
組織の頃の記憶を失わせ
そして普通に過ごしてほしいのよ。
記憶を失うってことは
私や博士と遊んだ記憶も
なくなるけど
また1から仲良くなればいいことだし..」
蘭はピスコについてついて
たくさん語ってくれた。
オレにも事情がわかった。
蘭はピスコのこと大切に
思っていることがわかった。
今は夜明け。
だんだんと辺りが明るくなってきた。
冷たい空気が、だんだん溶けていった。
オレは少しでも蘭のことが
分かってよかった。
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