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かなり遅くなりましたが第20話を投稿させていただきます
後今回も精霊談義の方はお休みさせていただきます……(ネタが思いつかないので)
第20話「精霊争奪戦~神の座に座りし少女の為の福音~ 前編」
――始まる前に一つ昔話をしよう
 昔々、今より15年程前二人の少女がいた。
 一人の少女は全て――資産、家柄そして実力が――に恵まれていた。
 反対にもう一人の少女は殆ど――実力以外は――恵まれていなかった。
 ある時、そんな対照的な人生を歩んできた二人が相対する事となる――無論、決闘デュエルと言う形で。
 周りの大人達は『恵まれている』少女の勝利を疑わなかった。
 『恵まれている』少女も自身の勝利を絶対のモノと考えておりもはや『恵まれていない』少女の勝利は有り得ないと思われていた。
 しかし――
「私のターン……あれ? もう揃っちゃたじゃない――エグゾディア」
――蓋を開けてみれば結果は予測と違ったモノ――まさかの『恵まれていない』はずの少女が勝利すると言う番狂わせとなってしまう。
 その後、周りの大人達がこの勝利に対して騒ぎ出すが関係ないので放置しておこう。
 大事のなのはこの結果により『恵まれている』少女の心に多大な歪み――元から相当あったが――を生じさせてしまう。
 以来『恵まれていた』少女はその歪みを正すため『恵まれていない』少女に恨みを抱くようになろう。
――その所為でますますゆがんでいる事に気づかぬままに。

~SIDE:水無月~
「冥、そっちの様子はどう?」
「ダメですね……触って見ましたけど、パチッとして通り抜けられません……」
 と、冥は申しわけなさそうな顔をして報告してきたわ。
 大方自分に責任があると思ってるんでしょうね……まぁ、彼は責任感がある方だから自分を責めるのも仕方ないのよね。
 でも、そう言う意味だったら気づかなかった私にも責任があるっちゃあると言える。
 だからその事に責任を感じて気を病んでほしくないのよ。
 それに起こった事にいちいちクヨクヨしている暇があればその前にこれから起こる事に意識を集中した方が良いモノよ。
 ここまで大掛かりな事をしているのよ?――まだ何か仕掛ける可能性は十分ありうるわ。
 これ以上後手にまわる様な事、私の誇りが許るわけがない。
「警戒をお願いね、詩音」
 だから私は次の襲撃を警戒するため詩音に指示をとばしておいたわ。
「わかりました水無月先生――」
 詩音は私の指示を聞いて警戒の態勢に入り始めたわ。
……何気にこう言う周囲への警戒を必要とする場合詩音のスキルって意外に便利なのよね~。
 だって彼女は盲目故に耳が良い――それこそ周囲が見えなくても大丈夫な位ね。
 その驚異的な聴力なら最悪、不意打ちを防いでくれると期待しているわ。
「――ッ! 水無月先生、後ろです」
 って、私が考え事をした矢先に詩音が珍しく声を荒げてきたのよ。
 瞬時に私は思考を闘いのためのモノへと切り替え、振り向いたわ。
 で、振り向いた先には――
「その首、いただく!」
――怒声をあげながら私に向かって跳び蹴りをかましてくる女――巫女服に緑色の長髪をした――がそこにいたのよ。


~SIDE:風祭~
「……まだなの?」
 今、私の目の前には私が討つべき女――水無月 神無――が居るわ。
 あの女はこの私に忘れる事の無い屈辱を与えられた憎き敵よ。
 何もなければすぐにでも討ち取ろうとしたでしょうね。
 それなのに――
「まだじゃ……少しは落ち着け、風祭よ」
――このダメ狐は事この期に及んでこの私に『待て』と命令してきたのよ!
 何でもこのダメ狐が言うには「タイミングが重要」らしいが……いつ出たとしても大差ないと思わない?
 だいたいこのダメ狐が色々と策を練りすぎて、少々まどろっこしいのよ。
 敵が目の前にいると言うのにこうやって手を出す事に耐えなきゃならないなんて……イラッとしてくるわ。
「ああもう! とっとと出て、ブッ倒したい――ん?」
 と、私が何気なく内に溜まっていたとして放出した矢先――水無月の奴が一瞬だけど隙を見せたのよ。
 私は確信したわね――これはチャンスだと。
(今ならあの女の首を楽に狩る事が出来る……!)
 そう心で決心をした瞬間、私の体は自然に動いたわ。
 具体的にはまず足に思いっきり力を込めて奴の方へ跳躍――
「その首、いただく!」
――そして、勢いを保ったまま、私は足をピンと伸ばし跳び蹴りの姿勢で奴の体を貫こうと迫っていったわ。

~SIDE:水無月~

――それは咄嗟の判断だった。
「……そこっ!」
 私は女から向けられたその攻撃を首をそらす事でギリギリの所で直撃を回避――
「……くっ!」
――そのまま向きを反転して女に手刀による貫手で反撃するため近づこうとしたわ。
「だが、そう簡単に当たらせない!」
 しかし、女の方もすぐにバックステップをして距離を取り私の追撃こ逃れたのよ。
(惜しいわね……)
 今の追撃――あのまま当てる事ができれば北○神拳奥義・刃数蹴に持ち込めたのに……うまい事避けられたから決める事ができなかったわ。
 アレさえ決まれば確実に相手を潰す(物理的な意味で)事ができたのに……非常に残念な気分よ。
「今の攻撃を避けるなんて、なかなかやるじゃない」
「そっちこそ、私の完璧な奇襲攻撃を避けるとはね――正直貴様の事、甘く見ていたわ」
 そう言いながら女は瞳に激しい憎悪を宿らせながらこの私を見つめる。
「ああ、評価を改めてくれてありがとう――ところで名前を聞いても良いかしら?」
 対する私はいつものように冷静な態度――ただし相手がいつ攻撃してきてもいいように常に身構えながら――話を続けていったわ。
「いいわ、教えてあげる……私の名は風祭 霊歌――この名前忘れたとは言わせないわ」
「すまん、忘れた」
「即答か!――この私は貴様の事を忘れた事を忘れた事はないと言うのに!」
 そんな事を言われても思い出せないモノは思い出せないモノ……特に他人に恨まれる事なんてしょっちゅうあるからいちいち思い出すだけでも億劫になってくるわ。
「まぁいい、続けるわ……今から15年前、この私が人生で最初に受けた敗北! あの時の屈辱は今でも私の心に深い深い傷を残していったわ……」
(15年前? ……どこまで昔の事よ?)
「だけど、その屈辱も今日ここまで……貴様を今ここで完膚無きまでに叩きのめす事でやっと私は解放されるのよ!」
(しかも理由かそうとう女々しいし)
「さぁその命この私の栄光の為におとなしく贄になりなさい」
「(こんな奴に命をあげるわけにはいかないわね)断る! 私の命は私のモノ――あんたなんかにやれる程安くはないわ」
 そう、私は自分でも珍しい位怒りの感情を込めながら普段よりも低いドスの効いた声で返したわ。
 この際はっきり言っておくわ――この女、ものすごく気にくわない……それこそ今ここでぶちのめしたいくらいね。
「ふふふ……どうやら死にたいみたいね……」
 そう思っていたら、あっちの方から私に殺意を向けながら再び攻撃の姿勢に入っていったわ。
(早速チャンスがきたわ……)
 なんのチャンスかって?
 勿論(物理的に)相手をブッ倒すチャンスよ。
 だってそうでしょ? 相手が殺る気満々で迫って来てるのよ。
 当然ここで相手を完膚無きまでにぶちのめしても……正当防衛が成立するからもう何も(法律的に)怖くない!
 ん? 過剰防衛?……聞こえんなぁ~。
「あの世で詫び続けろ! 水無月 神無!」
 って、風祭は明らかに死亡フラグしか建たないようなセリフを吐きながら私に突撃してきたわ。
 私も再び叩きのめすため、拳を前に突きだし迎撃の準備に入る。
 そして、私と風祭の拳が交差する瞬間――

「お前らいい加減にしろ!」

――私達二人の間を邪魔をするように一人の少女が制止に入ってきたのよ。
「貴様らは少しは決闘者デュエリストなら決闘デュエルをしろ! なにリアルファイトに突入しとるのじゃ!? 訳が分からないのじゃ!」
 その少女――少し黄色がかった長髪にブルーの制服を着た――は先程までの私達の行為に声を荒げながらツッコミを入れてきたわ。
「そう言われても……こっちの方が手っ取り早いし、楽なのよね~」
 そのツッコミに対して私は若十分警戒――主に風祭が再び行動する事に対して――をしながら答える。
「じゃかぁしい! 折角わっちが氷川を引き込み、結界まで貼ったと言うのに……」
 で、その少女は私の返答にブツブツ愚痴をこぼしながら返してきたわ。
(……この子絶対に胃腸薬の世話になってるわね)
 そう少女が聞けば失礼な事を頭の中で想像していたら――
「氷川さん……? あなた氷川さんに何をしたのです!」
――と、今まで口を開かなかった冥が何か――恐らく氷川関連の事に――に反応して少女に対して一つの質問を投げかけてきたのよ。
「氷川? あやつなら既にわっちの手で『洗脳』を済ませておる……この通りな――!」
 それに少女は人の悪そうな笑みを浮かべながら答え、すぐに『パチンッ』と指を鳴らしたの。
「お呼びですか……木津根『お姉様』……」
 で、少女の鳴らした音に反応し、後ろの茂みから氷川 水月――その人が現れたのよ。
「氷川さん……どうして……」
 そんな氷川の姿を目撃した所為か、冥は動揺を隠せないまま言葉を発してしまったわ。
「キュキュキュ……見ての通り、今や氷川はわっちらの軍勢――すなわちお主等の『敵』じゃ」
 それを『待ってました!』と言わんばかりに少女――氷川のセリフから見るに名前は恐らく木津根と言うらしい――は冥にさらなるプレッシャーを与える。
(この空気はまずいわね……)
 ここまでプレッシャーを与えられると普通の人間は焦り出してくる――特に冥は元々気弱でしかも無駄に責任感が強い方だからその影響を受けやすいわ。
 現に今の冥は狼狽しまくり、端から見れば不審者にしか見えない状態よ。
 そんな状態でデュエルをすれば高確率でミスが起きる――特に親しき者同士だと尚更ね。
(面倒臭いけど……仕方ない)
 私は心の中で呟くと――
「ちょっと話があるけどいいかしら?」
――木津根の会話を中断するように口を開いたわ。
「なんじゃ? わっちに何か用かの?」
 呼び止められた木津根は自分の会話――と言うか策――を止められた事に不機嫌になりつつも私の方へ振り向いて来る。
(よし、かかった!)
 私は木津根が私の言葉――と言う名の餌――にうまくかかった事に手応えを感じつつ言葉を続けていったわ。
「この結界はデュエルで勝たなければとけない……であってるわよね?」
「うむ、そうじゃ――そしてもう一つ、わっちらに負けた場合その魂をこの札に封じられるのじゃ」
 そう言って木津根は鼻で誇らしげに笑いながら私達の前に三枚の札を胸元から取り出してきたの。
(なる程ね……)
 私は彼女の行動を観察しながら先程言われた事を吟味し、今の置かれた状況を整理し始める。
(今現在私達は木津根が貼ったと思われる結界により外には出られず解除するためにはこいつらに勝たなければならない――それも負けたら魂が封印される厳しいデュエル……)
 整理して見てやっぱりこちらにとって不利な状況ばかりだって事よ。
 だってそうでしょ? 命を賭けるようなデュエルなんて私は慣れているから良いけど学生の身である二人にはかなり酷と言うものよ――特に冥は割と緊張しやすい方だし、何より仲間が敵に回ってしまって酷く動揺しているからそのプレッシャーは想像以上に掛かってると思うわ。
 それなのに相手が賭けるのはただ結界を解除するだけと言うのは相手にとって軽すぎる代償よ。
「これじゃ不公平ね――一つ条件を加えていいかしら?」
 だから与えてやろうじゃない――
「なんじゃ? 言って見るが良いのじゃ」
「……そうね、あんた達が負けた場合お金を支払わせてもらうわ――一人一億でね」
――それ相応のリスクとやらをね。
「ちょっと待て……いくら何でも少々高すぎじゃ!――特に身内でしかも学生である氷川にまで求める気か!?」
 予想通り木津根の奴、私の出した金額に反応してくれたわ――まぁ何故か氷川の事を気にするような発言をしたのは予想外だったけどね。
 私は彼女が策にはまった事を表情などから気付かれぬように気をつけつつも話を続けていったわ。
「本来人の命が掛かっているデュエルのレートとしては軽いわ――それとも何? まさかこの程度も払えないと言うつもり?」
「……そ、そんな訳ないじゃろ――た、ただちょっと今持ち合わせが無いだけじゃ」
「(それって払えないのと同じじゃない?)そう、それじゃあ念書に書いてでも……」
「ちょ、ちょっと待て何勝手に賭ける方向向かっておるのじゃ!?――わっちは賭けるとは一言も言っておらぬぞ」
 そう木津根は声を荒げつつ、必死に賭ける流れを回避しようとするわ。
 まぁ、それも当然よね――だって最悪三億もの金を支払わなきゅならないもの……勝つ自信がなければ絶対に賭けなんてのらないわ。
 でもね、それでも木津根は私の提案にのらなければならないの……。
 だって――
「じゃあいいわ――その代わり私はあんた達とデュエルしない」
――って言っちゃえば彼女は従わざる得ないわ。
 理由? そもそも彼女達の目的は私達とデュエルをする事よ。
 当然、デュエルする事を拒否しちゃえば彼女達の目的は達成できない。
「ぐぬぬ……」
 ほら、こうして現に私の賭けにのるべきか悩んでいるわ。
 もし私達とデュエルするのが目的じゃなかったらこうして悩まず即座に断るものよ。
 だけど、それができない訳だから――相当苦しんでるわね。
(まぁ、敵だからフォローは入れないけど)
「ぐ……負けたら一億じゃと? ふっかけすぎじゃが……しかしここで断られたでもしたらわっちの今までの苦労は水の泡じゃし……う~む……」
 で、ついには小声で呟くまでに状態は悪化していったわ。
 そんな木津根を尻目に私は目線を冥の方へと移していく。
 彼は見た感じではどこも変わってないので少し不安を覚えちゃったわ。
(そろそろ切り替わったかしら?)
 切り替わってなければわざわざこんな面倒な事をして時間を稼いだ意味がない。
(それを知るためには冥が何か言ってくれればいいけど……)
 今の所それができる状況じゃないのよね……これが……
「何を悩む必要があるの? さっさと始めなさい!」
 と、思っていたら突然、荒げた声と共に傍観していたはずの風祭が口を開いてきたの。
「わかっとるのじゃが……さすがに一億となると容易に払えないと言うか……少し考えるものじゃろ? 普通」
「そんな端金を払えないの? 所詮貧乏人ね」
「貴様……! いい加減に……「でも、まぁ貸してあげてもいいわ」……なんじゃと?」
 で、開いた口から出た言葉が予想の斜め上な発言に仲間内である木津根もだけど私も驚いちゃったわ。
 だってよ? 短い間だったけど風祭と接して感じたもの――この女は私と同じで絶対にタダで物を貸すような女じゃないってね。
 それが他人にお金を貸しているのよ? 驚いちゃうのはある意味当然で、私の中の彼女の評価も――
「ただし、後で返してもらうわ――地下デュエル場で十年ほど」
――変えなくていいわね。
「ちょっと待てぃ!? 地下デュエル場で十年とはどういう意味じゃ!」
 当然の如く先程の発言に木津根は抗議してきたわ。
 まぁさすがに今のは私でもひどいと思うわ――主に十年は長すぎでせめて五年位にするべきって意味でね。
「大丈夫よ、あんたの寿命なら十年くらいなら問題ないわ」
「ちょ! 何すでに働く方向へ話が勝手に向かっておるのじゃ!?」
「当然でしょ? 借りた物はちゃんと返す……それが世の中のルールというものよ」
 うんうん、この言葉には私も賛成だね。
 最近は借りたモノを返さない若者が多くて困るわ――特にお金関係はね。
 その結果、惨い目にあったとしてもそれは自己責任ってモノで私は関係ないわ。
 私から言える事は『ご利用は計画的に』って所かしら?
 えっ、私はって?――私の場合お金は借りるんじゃなくて分捕るモノ――だから関係ないわ(ドヤ顔)
「まっ、そう言う事だから早くデュエルを始めてもいいわよね? 水無月 神菜」
「(思ったより時間稼げなかったわね……)ええ、大体決まったし……「ちょっと、わっちの事は無視か!?」……とっとと始めるわよ――と言う事だから準備はいいわよね? 詩音、冥」
 そう言いながら私は冥の方へ視線を向けたわ――自分の策がうまくいったかを確認するためにね。
 で当の本人はと言えば――
「わかりました、水無月先生」「了解よ、水無月先生」
――一見すると変わったようには見えないが私にはわかる……『彼』の中身――『冥』から『メイド仮面』――が変わった事にね。
(うまくいったわ……)
 なんとか自分の策――冥の中の魂を切り替える事で著しく精神を崩した『冥』より精神的に余裕のある『メイド仮面』にデュエルをさせると言う策――が成功した事でほっと胸をなで下ろしたわ。
「(さて後はデュエルに集中するのみ)よしいい返事ね――それじゃあデュエルを始めるわよ」
「(負けたら一億……このデュエル負けられないのじゃ……!)ふむデュエルを始める――前にじゃ」
 そう言いながら木津根はパチンと指を鳴らすと突然私達のデュエルディスクに鎖が繋がれ、もう片方の端が風祭達のデュエルディスク――それぞれ私と風祭、詩音と木津根、最後に冥と水月に――繋がったのよ。
「その鎖は繋がれたデュエリスト同士がデュエルを終えるまで離れる事はないモノじゃ」
「つまり、対戦相手はそちらが決める……って事でいいかしら?」
「キュキュキュ、そう言う事じゃ――安心せいハンデはそれだけじゃ」
 対戦相手はあっちが決める……と言う事は間違い無く奴らのデッキはこちらのデッキと相性が良く、逆にこちらのデッキとは相性が悪いデッキをぶつけてくるわね。
(まぁこの程度のハンデはましな方かしら……?)
 正直リアルダメージとかやらされたら他の二人が危ないわ……えっ? 私はって? 慣れているから大丈夫よ。
「では始めるとするかの――デュエルじゃ!」
 と、私がハンデについて考えている間に木津根はデュエル開始の宣言をしてデュエルディスクを展開し、それに反応して他の二人もデュエルディスクを展開し――
「こちらも始めるわよ――デュエル!」
――私達三人もそれに対抗するようにデュエルディスクしていったのよ。

こうして三者三様のデュエルが開始されるのよ――一つのカードを元にね。

「先攻は私がいくわ……私のターン、ドロー!――フッ」
 と、風祭の奴は勢い良くカードをドローし直後その顔に笑みが零れていたわ。
「私はカードを3枚伏せて、魔法カード『手札抹殺』を発動!――このカードが発動した時お互いの手札を捨てる……」
 この時、私は密かに舌打ちをしてしまったわ。
 なぜなら、私の手札にはエグゾディアパーツが4枚あったのよ。
 後一つ揃えば勝利が確定だったのに……あの女、余計なマネをしてくれたわね。
「……そして捨てた枚数分カードをドロー――さらに伏せてある魔法カード『魂の解放』を発動!……このカードはお互いの墓地のカードを5枚まで除外する……私は貴様の墓地のエグゾディアパーツ4枚と『王立魔法図書館』を除外!」
 さらに追い討ちをかけるようにそれらのパーツを除外してきたわ。
 おかげでさらに再利用が難しくなったじゃないの……。
「最後にモンスターを一枚伏せてターンエンドよ」

「私のターン、ドローね」
 私はそう言いながらカードをドローし、引いたカードを確認したわ。
 で、そのカードは――
(『闇の量産工場』か……)
――今の状況では只の紙以下の存在となったカード……。
 状況の悪さに二度目の舌打ちをしながらも次の手を考えていったわ。
「私はカードを一枚伏せ――」
 で、考え出された結論はブラフとして伏せておくと言うものよ。
 こうしておけば相手が攻撃反応型の罠と勘違いして攻撃を躊躇してくれればラッキーでさらにカード消費して破壊してくれれば儲けもんよ。
……まぁ期待はしてないけど。
「――さらに手札から『カイザー・シーホース』を召喚!」
『マスター、行きますぞ!』
 次に、私は自分の場に槍を持ったタツノオトシゴの兵士――カイザーシーホース――を召喚したわ。
「そして手札から速攻魔法『サイクロン』発動!――このカードは魔法・罠カードゾーンにあるカードを破壊する……私はあんたの右側に伏せてあるカードを破壊するわ」
 で、私は手札から一枚のカードを発動し、そのカードから発生した竜巻により伏せてあるカードを破壊していったわ。
「かかったわね……破壊されたカードは罠カード『献身の壺』よ!――このカードは相手のカード効果により破壊された時デッキからカードを一枚ドローできるわ」
「な!?」
 でも結果は相手の手札を一枚増やしただけ……私はカードを一枚使ったから完全に私の損ね。
「なら私は『カイザー・シーホース』で裏守備モンスターに攻撃!」
『ハァァァァッ!』
 ここで落ち込んでも仕方ないから戦闘破壊でもして損失を取り戻そうと思ったの。
「ふ……無駄よ! 裏守備モンスターは『シールド・ウィング』!――このカードは1ターンに2回まで戦闘で破壊されないわ」
 でもその攻撃さえも裏守備モンスター――細い体付きの鳥――の翼を打ち抜くには至らなかったのよ。
「くっ……これでターンエンドよ」

風祭:LP4000 手札2
モンスター:シールド・ウィング(守備表示:DEF900)
魔法・罠:伏せ(???)

水無月:LP4000 手札4
モンスター:カイザーシーホース(攻撃表示:ATK1700)
魔法・罠:伏せ(闇の量産工場)

「私のターン、ドロー――私は手札からフィールド魔法『(ミスト)(バレー)の神風』を発動!」
 そう彼女が一枚のカードを発動すると周りの景色が暴風が吹き荒れる渓谷へと姿を変化していったわ。
「――さらに手札から『守矢神社の巫女』を召喚!」
 次に一人の巫女――緑色の長髪に巫女服姿の何処かで見た事のある――が現れたわ。
「ここで『守矢神社の巫女』の効果発動――1ターンに一度、自分フィールド上の風属性モンスターを一体手札に戻す事でそのモンスターのレベル×200のダメージを与える……私はフィールド上の『シールド・ウィング』を手札に戻し効果を発動! ライフに400のダメージよ!」
 と召喚された巫女がその手に持ったごへいを真上に掲げると彼女の場にいた『シールド・ウィング』は手札に戻り、代わり突風が襲いかかってきたわ。
「くっ……!」
水無月:LP4000→3600
 その突風は僅かながら私のライフを減らしていったのよ。
「そして『霞の谷の神風』の効果を発動――手札に風属性のモンスターが戻った場合、その戻したカードのコントローラーはデッキからレベル4以下の風属性モンスターを一体特殊召喚できるわ……私はデッキから『ウィングド・ライノ』を特殊召喚!」
 さらに背景の渓谷からまた別のモンスター――サイの身体に鳥の翼を持った――が舞い降りてきたわ。
「バトル!……『ウィングド・ライノ』で『カイザーシーホース』を攻撃!」
 早速現れたモンスターは『カイザー・シーホース』に突撃をぶちかまし、角で『カイザー・シーホース』を突き刺していったわ。
『クッ……! マスター、すみません……』
 『カイザー・シーホース』は私に謝罪の言葉を告げ、フィールドから姿を消していき――
水無月:LP3600→3500
――残った私に戦闘によって発生したダメージが身体を貫いていく。
「さらに『守矢神社の巫女』であなたに直接攻撃!」
 そう彼女は何の躊躇もなくカード――ただしそれはブラフの――を一枚伏せてある私に『守矢神社の巫女』で直接攻撃を仕掛けて来たわ。
「く……!」
水無月:LP3500→2000
 当然、伏せてあるカードでは対応なんてできずに『守矢神社の巫女』の放たれる突風による攻撃をそのまま直撃してしまう結果になったわ。
「これで私のターンは終わりよ」

「私のターン、ドロー……」
 そう言って私は引いたカードと手札を見つめこのターンすべき行動を考えていったわ。
(……少し勿体ないけど仕方ないか)
「私は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動……墓地から『カイザー・シーホース』を蘇生する!」
 と、先程の戦闘によって墓地に送られた筈の『カイザー・シーホース』が私の場に再び舞い戻って来る。
「そして『カイザー・シーホース』をリリースしてレベル8の『楽園の巫女』をアドバンス召喚――あっ、『カイザー・シーホース』は光属性のモンスターをアドバンス召喚する時2体分として扱う事ができるわ」
 そして墓地から蘇生した『カイザー・シーホース』は即効でその姿を消し代わりに紅い巫女服を着た少女――私のデッキの主力『楽園の巫女』――が姿を現らわしたわ。
「いくわよ……私は『楽園の巫女』で『守矢神社の巫女』を攻撃!」
 で、『楽園の巫女』はその手から光球を作り出すと『守矢神社の巫女』に向けて放っていく。
「フフフ……罠カード『クズ鉄のかかし』を発動!――このカードは相手の攻撃を一度だけ無効にする……」
 しかし放たれた光球は目の前に現れたジャンクパーツでできたかかしに阻まれたわ。
「で、このカードは発動後フィールドにセットするわ――そして『ウィングド・ライノ』の効果を使用!……このカードは罠カードが発動された時手札に戻る!」
 さらに彼女の場にいた『ウィングド・ライノ』は空へと舞い上がり彼女の手札に戻り――
「さらに『霞の谷の神風』の効果によりデッキから『霞の谷の雷鳥』を特殊召喚よ!」
――その代わりに小さい雷鳥が谷の方から舞い降りてきたわ。
「……私はこれでターンエンドよ」
 と、またも心の中で舌打ちしつつこのターンのエンド宣言をしたわ。

風祭:LP4000 手札2
モンスター:守矢神社の巫女(攻撃表示:ATK1500) 霞の谷の雷鳥(守備表示:DEF700)
魔法・罠:霞の谷の神風(フィールド魔法) 伏せ(クズ鉄のかかし)

水無月:LP2000 手札3
モンスター:楽園の巫女(攻撃表示:ATK2500)
魔法・罠:伏せ(闇の量産工場)

 さて相手のターンが移る前の間、私の内に芽生えている一つの違和感を整理したわ。
 それは……。
(さっきから行動が読まれてる気がするのよね……)
 前のターンの『献身の壺』しかり、今のターンの『クズ鉄のかかし』しかり……どれも私の行動がわかっていたかのようにセットされたわ。
 ただ私のように勘が鋭いだけか――はたまたそれ以外の何かがあるのか……。
(いずれにしてもこのままじゃまずいわね……)
 この押され気味の空気、どうにかしないと勝てないわ。
今回使用したオリカです

献身の壺
通常罠
効果:このカードがカード効果のより破壊されたとき自分はデッキからカードを一枚ドローする

守矢神社の巫女
ATK1500 DEF1200 LV4 風属性 魔法使い族
効果:1ターンに1度自分のフィールド上にある風属性のモンスターを一体手札に戻す事で相手に戻したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える


予想以上に前フリが長くなったせいで前回と同じく前後編になってしまいました……
後編の方もよろしくお願いします


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