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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第452話 デパートも結構店舗で埋まり始めましたし、特色も出てきました

「馬車ですね。急ぎ用意をします」


 部屋に入ると、銘々が寛いで遊戯に興じていた。

 前にも思ったが、基本的に休みの無い世界なので、こういう機会でも無ければ、休まない。その為、休む時はきちんと休む。馬車での移動の際にも準備はしながらも遊んでいるのはそう言う意味も有ってだ。

 また、レイでも良かったのだが、レイは防衛軍の編成作業中なので、手の空いているテスラにお願いする。


 テスラは女性陣のトランプ組に組み込まれていたが、デパートまで出たい旨を伝えると、素直に動き始める。周りも仕事と言う事で何も言わない。


「戻ってきたら続きを教えるわ」


 ティアナが優しく言うと、テスラが嬉しそうに頷く。颯爽と、外套を羽織り、馬車の準備に向かって行った。


「テスラは遊びには興味は有りそうだった?」


「そりゃ人間だもの。有るわよ。飲み込みも良いし。すぐに慣れるわよ」


 ティアナが苦笑で答える。


「そうか……。いや、楽しそうなら、何よりだけど」


「そうね。雨の時ぐらいゆっくりして欲しいけど。何か有ったの?」


「いや。中央の店に入っている服飾店に各種の制服を頼んでいるから。それの進捗を確認したいと思って」


「わざわざ雨の日に確認しないと駄目なの?」


「そう言う訳じゃないけど、行かないとずるずる行かない気がするから」


「テスラは巻き込まれたわけね。折角、少しづつ覚えて、さぁ、遊ぼうと言うタイミングだったのに」


「うー。悪いとは思うけど、帰ったら、またお風呂に入ってもらおうかな。冷えるだろうし」


 そう言うと、ティアナが苦笑を強める。


「そうしてあげて。別に何度入っても問題は無いわよね?」


「うん。温泉療法とか有るくらいだから。何度入っても問題無いよ。逆に何度か入る事で血流が良くなって体の調子が良く成る事も有るかな」


 そう答えると、ティアナは聞きたい事をすべて聞いたのか、遊びの輪の方に戻っていく。


「ヒロ、雨だから、冷やさないでね。風邪をひかないように」


 そう言って、リズが自分達の部屋から外套を持って来てくれる。ティアナと話している間に、取ってきてくれたようだ。


「ありがとう。でも、馬車での移動だから。どちらかと言うと、テスラの方が大変だよ」


「それでも。雨は雨だから。気を付けてね」


「うん。ありがとう。助かる」


「いってらっしゃい」


 そう言って、外套を羽織らせてくれるので、素直に袖を通す。本格的に傘の生産を考慮しても良いのかな。和傘は油紙の作り方がちょっと分からない。洋傘の歴史ってどうだったっけ?どちらにせよ、調べないといけない案件か。


 そんな事をしていると、準備が整ったのかテスラが迎えに来る。


「用意が出来ました。では向かいましょう」


 テスラの先導で、玄関の方に向かう。馬車はもう正面まで回してくれているようだ。


「雨の日に申し訳無い。戻ったらもう一度お湯を入れるから、お風呂で温まって欲しい」


「それは嬉しいです。春の雨は油断すると、風邪を招くので。温まれるのは幸いです」


 馬車に乗り込み、緩やかに移動を始める。

 雨はしとしとからざーざーに近いところまで強まっている。視界もかなり悪い。馬車も事故を起こさないようにゆっくりめの移動だ。ぽこぽこと言う濡れた石畳を蹄鉄が叩く音を聞きながら、デパートに向かう。


 暫く馬車を走らせて、デパートに到着し、馬車から降りる。


「少し時間はかかるから、最上階で軽食でも取っててくれるかな。そっちに迎えに行くよ」


「そう……ですか。分かりました。馬の方も問題有りませんので、少し休憩しておきます」


「うん、お願い。じゃあ、行ってくるね」


 デパートに入ると、前に来た時よりも空き店舗は格段に減っている。雑貨関係でも被らないように店舗が入っている。香油専門店とか、現代日本なら、香水専門店とかなのかな。


 そんな事を考えながら階段を上る。途中で分かれて、テスラはそのまま上に登っていく。私は、例の服飾店に向かう。服飾階もどんどん店舗で埋まっている。マネキンは大工の方に独占販売で作らせたけど、何体か立っているのを見かけた。やはり吊るしより、マネキンの方がイメージが湧きやすいだろう。そう思って目的の服飾屋に到着する。流石老舗で決断力もある。結構な数のマネキンを広い空間の中でシーン毎にイメージしてさり気なくディスプレイしている。

 店の中に声をかけて、従業員に店主を呼んでもらう。さて、メイド服、執事服、ディーラー服の状況はどうかな?


「おぉ、領主様。お久しぶりです」


 店主が若干憔悴しながらも、喜色満面で店の奥から出てくる。


「お久しぶりです。頼んでおきながら、様子も見ずに申し訳無いです」


「いえいえ。そろそろ進捗をご報告せねばとは考えておりました。どうぞ、奥に」


 店主に先導されて、奥の応接室に入る。


「今、お茶の用意はさせております。寒かったでしょう」


「領主館から、馬車で移動するだけなので、大丈夫ですよ。従業員の方々は大丈夫ですか」


「はは。中央近くの家を何軒か買い上げましたので、その点では問題有りません。朝方はそこまで雨足も強く無かったですし。この調子なら、夕方か夜にはもう少し弱まるでしょう。この時期の春の雨は強弱を繰り返し長く続くのが常ですから」


「ふむふむ。この辺りで生活するのは初めてですが、そう言う降り方ですか」


「一度降り始めると、長く続きますね。これが止めば、徐々に暑さが出てきます。その目印みたいなものです」


 そんな雑談をしていると、お茶が出て来たので口に含む。と、驚いた。ハーブティーかと思ったら、紅茶だった。


「むむ。驚かそうかと思いましたが、流石にご存知でしたか?」


 少し悪戯染みた顔で店主が言う。


「いえ。紅茶は知っていますが、よく茶葉を仕入れましたね」


「あぁ、それに関しては上の料理店で一軒お茶に強い店が有りまして。そちらの物です。南側にも販路が有るらしく、そちらから仕入れているとの事ですね」


 あぁ、チャノキは南の方で生産しているって言っていたっけ。ノーウェが普通に出すから普通に飲んでいたけど、まだまだ驚くほどに高い。しかし、久々の紅茶の香りの高さに鼻と口が喜ぶ。


「採算は取れるんでしょうか? 紅茶も高いですよね」


「そこは従業員も給料が良いですし、大口のお客様、商家の方もご来店頂いておりますので、問題は無いですね。日常のちょっとした贅沢として、楽しみにしていますよ。それにこんな所で本格的な紅茶が飲めると思っていなかったお客様からは大変ご好評頂いておるようです」


 そんな感じで、雑談を進めていると、従業員が入ってきて店主に囁く。


「はい。準備が整いました。現状、量産体制の確立の最中では有りますが、一旦型紙からの起こしは完了しました。望まれている物になっているかはご確認頂ければ幸いです」


 そう言って、店主が別の仕切りの部屋に誘導してくれる。さて、異世界の制服はどういう感じなのかな。型紙は型紙だ。後はアレンジが入るものなので、その辺りは楽しみだ。

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